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12 狐人

 ついに森を抜けたようだ。木々の間隔はまばらになってきた。

 現れる動物たちも変わってきた感じだ。どちらかと言うと最初にこちらの世界に来た時の動物たちとよく似ている。


 お、ウサギたちもいるぞ。と思ったがちょっと違うな。

 頭に鋭いツノを生やしている。


 「鑑定」してみると、


 ☆★☆

 イッカクシロウサギ:レベル3

 HP:92/92

 状態:平常

 ☆★☆


 弱いと言えば弱いけど、ラビよりは強そうだ。あのツノに貫かれたら俺とか致命傷になりかねない気がする。

 幸いなことに、襲ってこないようだ。

 そのままほっておこうと思ったら、グレイが戦いたがってる感じだ。


「グレイ、やめろ」


 やっぱこれまで全戦闘になってたのは、グレイがケンカ売ってたんだよな。

 このウサギとか格下だし、きっとレベル上げ的に考えても対して美味しい敵でもなさそう。戦闘しないで済むなら無視してさっさと行こうぜ。

 食べるためって時は別として。


 そのまましばらく進むと、以前にもあったMP回復できる木を発見。

 新鮮な葉の方がはるかに効率的にMP回復できるからここでMPマンタンにしておこう。

 グレイもムシャムシャ食べてるけど、この苦味とか青臭さとか平気なんだろうか?


 そして待望の川。

 前にあった川と違いずいぶん広い川だ。

 グレイが水をゴクゴク飲んでるけど、飲んでも大丈夫なんだろうな?

 少し躊躇したけど、俺も少しだけ飲んでみることにした。

 水にあたったりして腹を壊したときって、「魔獣治療」スキルって有効なんだろうか?

 有効だといいな。スキルを頼りにムチャはしたくないけど。


 これまで水を節約して、血で汚れた手もそのまま旅してきたから、とてもありがたい。

 そのまま川で体を洗うことにした。俺は服を脱いで体を洗い、ついでに下着も洗っておいた。

 グレイもキレイにしておこうな。グレイは当たり前だけどずいぶん汚れたいたようだ。


 そのまま川から少し離れたところで夜を明かし、翌日から川に沿って下流を目指すことにした。

 どうやら、水は飲料に適していたようで、お腹の具合も問題なく一安心。


 川沿いを進んでいくと、遠くで戦闘の気配がする。

 そちらの方へ進んでいると、人型同士の戦いのようだ。


 気付かれないように近くまで行くと、人間の女性っぽい姿の一人と、見るからにモンスターっぽい姿の二体。

 「魔獣鑑定」スキルが使えるか試してみたところ、


 人間の女性っぽい姿は、


 ☆★☆

 狐人:レベル10

 HP:260/280

 状態:平常

 ☆★☆


 そして、モンスターっぽい姿は


 ☆★☆

 ゴブリン:レベル8

 HP:190/212

 状態:平常

 ☆★☆


 ☆★☆

 ゴブリン:レベル7

 HP:120/202

 状態:平常

 ☆★☆


 狐人? そういう種族なのかな?

 そしてモンスターっぽいのはゴブリンか、ファンタジー物では定番の敵だよな。


 どっちに味方するかって?

 決まってるよな、もちろん狐人の女の子の方だ。


 うまくお友達にっていうのはムリかもしれないけど、初めて出会う人間……じゃないけど、そんなような存在。

 いろいろ情報も聞きたいからお助けしないと。


 でも、ずいぶんまだ距離があるよな。

 俺は走りながら戦闘の様子を眺めている。すると、狐人の女の子の手にした杖から火の玉が!

 あれって、魔法か。

 やっぱり魔法ってあるんだな。俺の使ってる「魔獣回復」もなんかそれっぽい感じなんだけど、これが魔法かっていうとちょっと違うような感じもする。


 狐人の女の子の杖からもう一度、火の玉が飛んでいってゴブリンが一匹倒れたようだ。

 もしかして、俺が到着するまでに決着が着いちゃいそう?

 まぁそれなら、そうでいいんだけどさ。


 あ、もう一匹のゴブリンが狐人の女の子に切りつけた。

 とりあえず、大丈夫そうかな?


 もう一度、「魔獣鑑定」で様子を見ると、


 ☆★☆

 狐人:レベル10

 HP:221/280

 状態:毒

 ☆★☆


 ☆★☆

 ゴブリン:レベル8

 HP:190/212

 状態:平常

 ☆★☆


 あ、狐人の女の子の方が毒にやられてる。あの剣に毒が塗られてるってことか。

 このままじゃ不味いかもしれない。


「グレイ、いけ。敵はゴブリンだ」


 ちゃんと指示しておかないと、狐人の女の子の方に攻撃しかねないな。

 グレイの足でもまだ時間がかかるか、間に合ってくれよ。

 俺も必死で走るけど……ちょっと息切れが。


 狐人の女の子はゴブリンの攻撃を避けようとして転んでしまったようだ。そこへゴブリンがのしかかっていく。

 不味いぞ。そういえば、ゴブリンってあれだろ。

 姫騎士とか捕まえて、「くっ殺せ」とか言わせる相手だよな。

 このままじゃ、狐人の女の子の貞操とかが危ないぞ。


 だが、そこにグレイが間に合った。

 ゴブリンの後ろから、首元に噛みつき、そのままゴブリンの首筋を噛みちぎった。

 どうやらゴブリンは即死のようだ。


 俺もやっとのことで追いついた。狐人の女の子は気を失っているようだ。


 ☆★☆

 狐人:レベル10

 HP:52/280

 状態:毒

 ☆★☆


 毒か……困ったぞ。

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