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異世界もふもふ調教師  作者: 鳴嶋ゆん
プロローグ
1/16

1.キツネの精霊に導かれて異世界へ

 俺は堂島雅史どうじままさし、大学四年生だ。

 就職も内定をもらったってことで、結構気楽な日々を送っている。


 昨日からサークルの仲間たちと郊外の山に一泊のキャンプに来ていた。

 楽しい二日が終わって現地解散。親のキャンピングカーを借りて来ていた友人がほとんど荷物は持っていってくれたので、俺は自分の荷物だけリュックに詰め込みバイクで一人での帰宅ってわけだ。


 急カーブの多い山のワインディングロード、気をつけてバイクを走らせていたつもりなんだが、少し疲れがあったのかもしれない。急に飛び出したキツネに俺の反応が一瞬遅れてしまった。


「うわぁぁぁぁ!」


 慌ててしまってレバー操作を完全にしくじっちまった。そのまま俺はガードレールを飛び越え、崖下へ一直線に……




 ってところだったんだけど、ここはどこだろう?

 真っ白な光に包まれた世界。

 天国かな?


 そこへ現れたのが一匹のキツネ、やはり光に包まれている。

 でも、しっぽがたくさん生えているな、九尾の狐ってやつだろうか?


「我が眷属のために命を落としてしまい、誠に申し訳ないことをしました」

 九尾の狐って日本語が話せるんだな。

 でも、やっぱり俺は死んだのかな? 眷属ってのはさっき飛び出してきたキツネのことか。


「あなたは?」

 どうやら俺もちゃんと話せるようだな。


「わたしはキツネの精霊です」

 九尾の狐でなくて、キツネの精霊なのか。


「で、俺は死んじゃったってことだけど、これからどうなるんでしょうか?」

「眷属のために死なせてしまってそのままにすることはできません。とはいえ、この世界で生き返らせるような力はわたしにはありません」

 そりゃそうだよな。神様ってわけじゃなさそうだし。


「ですから、あなたさえよろしければ、異世界でなら生き返らせることが可能なんですが……」

 異世界? 異世界で転生ってよくラノベとかであるやつか?


「俺は異世界で何か特別な能力をもらって赤ん坊からやり直すって感じですか?」

「いえ、赤ん坊に転生っていうのはわたしの力ではできません。そのままの姿で異世界で生き返ることになります。

 特別な能力ですか……わたしに与えられる能力と言ったら、動物や魔獣を使役できるようにする『ビーストテイマー(魔獣調教師)』の能力くらいですが、それでよろしければ」

 動物や魔獣を使役っていうと、よくMMORPGとかであるテイマーってやつだな。結構あれって強いんだよな、バランスを壊しかねない能力だ。


「あ、それいいですね。それでお願いします」

「わかりました。それではあなたを異世界にて生き返らせます。

 ビーストテイマーの能力については、頭の中でステータスと念じればいろいろわかると思います」

 ステータスが見れるってゲームみたいだな。まぁラノベでもそんなご都合主義な設定見かけるけどさ。


「それでは、新しいあなたの人生にさち多からんことを」

 そう言うとキツネの精霊は高らかに鳴いた。


「コーーーーン!」

 再び、猛烈な光に俺は包まれた。




 それで、ここが異世界ってことだろうか? それとも今のはただの夢?

 俺の横で燃えたバイクがまだくすぶっているが、俺は無傷なようだ。特に痛いところはない。

 バイクごとあのガケから落ちたらしい……それなのに無傷ってことはないよな、普通。


 背負ったリュックからスマホを取り出して見てみる。

 うーん、予想通りの圏外か。キャンプ場でもアンテナ半分くらい立ってたから完全に圏外って考えにくいよなぁ。

 そういえば、ステータスが見れるって言ってたよな、試してみるか。

 俺は言われたとおり頭の中でステータスと念じてみた。


 ☆★☆

 堂島雅史:レベル1

 HP:250/250

 MP:168/168


 種族:人間

 職業:ビーストテイマー

 状態:平常


 スキル

 魔獣使役:レベル1

 キツネの精霊の加護


 使役魔獣

 なし

 ☆★☆


 うわ、本当に見れたよ!

 どうやら、さっきまでのは夢じゃなかったようだ。ステータスが見れちゃうってことは、ここは異世界ってことで間違いなさそうだな。


 それにしても、ステータスってこれだけか……攻撃力とか防御力とか装備とかそういうのはないんだろうか?

 スキルも「キツネの精霊の加護」と「魔獣使役」ってやつだけか。

 そもそも「魔獣使役」ってどんなスキルなんだろう?


 ☆★☆

 魔獣使役 レベル1


 使役可能な魔獣の目を見つめ、『使役テイム』と念ずることで成功すれば対象の魔獣を使役することができる。

 対象の魔獣の現在のHPが自分の最大HPの1/2以下の場合のみ魔獣使役を実行することが可能である。

 ☆★☆


 おや、スキルを知りたいと思えばそのスキルの詳細な説明がわかるのか。これは便利だな。

 RPGとかでテイマーの戦いっていったら、最初は動物とかを使役テイムしてそれを戦わせるんだよな。

 普通ならそれに合わせて本人も戦うってわけだけど、俺って戦えるの?

 少なくとも強くなってるような感じはまったくしないんだが。


 さて、もうひとつのスキルの「キツネの精霊の加護」ってのも見ておこうか。


 ☆★☆

 キツネの精霊の加護 常時発動


 魔獣から好かれやすくなる。

 危険な魔獣から少しだけ襲われにくくなる。

 ☆★☆


 まぁこの職業柄、魔獣に好かれやすくなるってのはきっといいことだよな。

 危険な魔獣から襲われにくくなるってのもいいんだけど、少しだけってのが微妙かも。

 結局襲われることになるんだよな。

 なんか微妙なスキルだけど、どこまで役に立ってくれるんだろう?

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