第99話「待ち続けた男①」
ライジングサン・レトインVSジョーカー四天王・東條
2人の戦いは、探りあいから始まった。
まずレトインが東條に牽制する。
「今更になって、反乱の意思を見せようとするとは…
ここで少しでも歯向かっとけば、自分の罪が軽くなるとでも思ったか?」
「罪…?違いますね
そもそも、なぜ人が人に裁かれなければならない…
この行為自体が間違っている」
首を傾げるレトインに、東條は続けて言った。
「それに、この“リミテッド”という、人を超越した力…
この力の存在を、人が作った法律などで、いったいどう裁こうと?」
東條 時宗
この男の中にある、“闇”は深すぎる。
完璧すぎる人間ほど、脆いものはない。
一度壊れただけで、こうも闇へと引きずりこまれてしまうとは…
3BECAUSE
第99話
「待ち続けた男」
東條は自らのことを語り始めた。
「正直な話、自慢ではないが昔から私は何をしても人より優れていた
勉強も然り、スポーツも然り、たいした努力もせずにね…
そして私は、とうとう“リミテッド”の力を得た
まさにすべてを手に入れたのではないかと、勘違いしたほどだ…
しかし…いたのだよ…
私を超える存在が…」
生い立ちを語る東條の顔色が突如変わる。
しかめ面を見せた。
レトインにはその人物が誰なのか、すぐにピンときた。
「…………
二階堂 仁か…」
「あぁ!そうさ!
私の時の力に敵う者などいない…
そう思っていたが、ジンさんのまえではすべてが無力
完全に私の負けだった…
そのとき、私は気づいたのですよ…」
「気づいた…?」
「えぇ…世の中には、必ず上には上がいる
自分より強いものは必ず存在する
いくら努力しても敵わない、そんな存在がいるということに」
「それはそうさ…
世の中そんな思い通りいくものでもなければ
そのような存在など、ごまんといるだろう」
「そこで分かったのですよ…
すべては生まれながらにして、平等なんかではないと
同じ人間であるはずなのに、なぜ優劣を決めなければならない?
上とはなんだ?勝ち負けってなんだ?」
「人によって勝ち負けは違うだろう…
何をもって、勝ち負けを決めているかが分からん」
「違う…そうではない…」
東條はうつむきながら、レトインを否定した。
「人の物を盗んではいけません…人を殺してはいけません…
それが世の“常識”
しかし、その“常識”は一体誰が作った?いや、誰が作りあげた!?
“悪”…
何をもってして、悪と呼ぶ…?
今の時代じゃ人殺しも、戦国時代であれば英雄にすぎない
善も悪も、塗り替えられるんですよ…
法律、社会のルール…
誰かが勝手に決めつけた世の中などで生きて
実につまらないと思わないか…?」
東條の中にある深い闇。
その闇を垣間見たレトインだったが、レトインは簡単に一蹴した。
「いや…世の中捨てたもんじゃない」
「何!?」
「たった一度の挫折…
ジンにやられただけで、こうまで追い込まれるとはな…
俺は知っている
何度やられようと、立ち上がる男を
何度も挑戦する男を…」
レトインは、大悟達をちらっと見た。
「そして、そいつに触発されたやつらを…な
おまえはすべてを、世の中のせいにして逃げているだけだ
悪いのは社会、作られたルール…
違うだろ…
世の中がつまらないんじゃない…
つまらないのは、おまえという男だ」
「なんだと!?」
「一度負けたからってなんだ?
だったらまた立ち上がればいい
勝つことができないからって、ジンの言いなりに成り下がる…
そんなんでいいのか?それでよかったのか?おまえは!!」
真っ直ぐな目でレトインは東條に訴えかけるも、東條はレトインから目を反らした。
「興味ないんですよ…どちらに転ぼうが…
ジンさんが勝とうが、負けようが、どちらでも…
恐らく、ジンさんがライジングサンを倒せば
時代は大きく変わる…
その結末がどうなるか、気になっただけの話
ですが、あなた達を見ていると
とてもじゃないが、ジンさんに勝てるとは到底思えない…
どうせ私は何の影響力も持たない存在
ジンさんの味方につこうが、敵になろうが
どちらでも関係ない」
「フン…結局は自分の意思など持たないってわけか…
時代の流れに身をまかせているだけ…
何にも抗うことなどなく、操り人形のように動く…か」
「ふっ…そんな私を笑うか?
先導者の後ろをただ歩くだけの存在を…
さぁ、来るがいいレトイン!!
敵わないと知って抗うことの
惨めさを思い知らせてやる!!」
探りあいも終わり、とうとう始まった。
東條VSレトイン
レトインは雷の力で、槍を作り出した。
「私の時の力に沈むがいい!!
スロウ!!」
東條は時の力を繰り出す。
しかし……
(!!!
こいつ……)
「貴様の時の能力は把握している…
最初から全力を出さざるをえん」
レトインの体は光輝いていた。
“リミテッド・ブレイク”
“エレクト”の力により、レトインの体は雷、すなわち“光”と化す。
レトインが一人、ぼそぼそと呟く。
「真空中における光の速さは1秒間に299792458m…
その速度は決して…
時には影響されない
光の速度は“不変”である」
光と化したレトインは、時の力を完全に無効化していた。
東條は即座にエレクトの力に気づくが、一瞬反応が遅れる。
「やはり私のまえに立ちふさがるか…!!
リミテッド・エレクト!!」




