表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3BECAUSE  作者: Guru
89/131

第89話「覚醒③」

レトインは善を睨みつけるようにして、ゆっくりと立ち上がった。



「はぁ…はぁ…

だめかよ…?今のでも…?


確かに、こんぐらいでへばってちゃ


使いもんにならねぇかもしんないけどよ…」



善の息づかいは荒れている。

今にも倒れそうだ。


レトインは静かに答えた。



「いや…



合格だ


(出来すぎたほどにな…)」



「!!!


えっ!じゃあ…

大悟達のところへ行っても…」



「もちろんだ」



まさかの合格をレトインにもらい、善は嬉しさのあまり、飛び上がろうとする。



「よしっ!!じゃあ俺…


ぐっ…」



しかし、善は立ち上がれないほどにエレクトの反動が大きかったのだ。

再び善は地面に膝をついた。


そんな疲れきった善を見て、レトインが言う。



「そんな体でどうするつもりだ…


行っても足手まといになるだけだ

大悟達の下に行くのは…



俺だ

おまえはそこで、回復するのを待ってろ」



「!!!


くそっ!

話が違う…!!」



どうしても自分が何とかしたかった善。


納得がいかなかった。

だが……



「今は体を休ませるのが先決



おまえとの“約束”は…

俺がきっちり果たしてくる」




そのレトインの言葉を聞いて、善の熱くなった気持ちは一気に冷め、おさまった。



(てめぇ…また、いっぱい食わされた…


覚えてたくせに…

わざと言いやがったな!


ひん曲がった性格は、相変わらずだったなレトイン!!)



善はにやけながらも、大人しくレトインの言うとおりにし、一切文句を言うのをやめた。


大悟達のことはレトインに任せ

自分は体の回復をはかることに専念しようと決めたのだった。



「動けるようになったら、おまえも来い!」



急ぎ足でレトインが大悟達のところへ向かおうとする。



「待ってくれ!!」



だが、急ぐレトインを善が呼び止めた。



「………?


なんだ?どうした…?」



「行く前にひとつはっきりさせてぇことがある…」



「………?」



善は下を向いて、こわばった表情で話す。



「もちろん、俺はみんなを信じてる…

それに、絶対俺も負けるわけにはいかない…


そんなことは当たり前の話…

けど…万が一のことだってある…」



突然ネガティブな一面を見せる善に、レトインは戸惑う。



「万が一…?


さっきの威勢はどうした!?

おまえらしくもない…」



「いや、違うんだ…

聞いてくれ!レトイン!!」



真剣な善の訴えに、レトインは黙り込み、聞き入った。



「俺のためにも、みんなのためにも

俺はジンを、ジョーカーを倒すと、心から誓ってる…


だけど…

レトインが最初に俺に話した…



“俺がやらなければならない 3つの理由”



この…

最後の、3つめの理由を俺はまだ聞いてねぇ…!!」



「………


そのことか…」



「そりゃここで死ぬわけじゃねぇし、すべてにカタがついてからでも聞ける…


だけど…

もう一度、覚悟を決めたいんだ!!


ジンと戦うまえに、その理由を聞いて

決戦に臨みたいんだ!!!」



レトインは善から目を背けた。

それでも善は熱き思いをレトインにぶつける。



「だから…なぁ!

頼む!レトイン!!


教えてくれ!!最後の理由を!!



俺がやらなきゃならない3つめの理由を!!!」



レトインはゆっくりと善の方に顔を向け、善の目をじっと見た。


その善の目から、レトインは感じ取る。



『やってやる!!』という善の強い意思を


不安など感じさせない、“希望”に満ち溢れた思いを。




覚悟を決めたかった善に対し

もう一人の男は、その覚悟に答えるために…



自らをも“覚悟”を決めた。





「分かった 話そう


善がやらなければならない、最後の理由…

3つ目の理由を!!」





第89話  “覚醒” 完

今更ですが、プロフィール画面にホームページを追加しました。


3BECAUSEの一番初めに書いた、修正なしの低レベル文章バージョンや

PC用の自作RPGゲームなど、色々載ってます。


よかったら見てください。宣伝、失礼いたしました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ