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3BECAUSE  作者: Guru
87/131

第87話「覚醒①」

善の気持ちから迷いはなくなり、ひとつとなる。



(もう…誰も死なせやしないんだ…


志保、大悟、エーコ…

レトインも!!



俺がやってやる…

俺が“エレクト”の力で全部!全員守ってやる!!!)



すると突然、善の体は強い光に包まれた。



「善!!それだ!!


“エレクト”の力!!



今度こそ、掴むんだ善!!」






BECAUSEスリービコーズ


第87話

 「覚醒」






善が強い光に包まれたと共に、体は燃え上がり炎に包まれる。


善の右手の甲にあるマークが光輝いた。



「力が…みなぎってくる…!!溢れてくる!!

なんなんだ…この力は…!!」



「それこそがエレクトの奥義…

自らをリミテッドの力と化す大技



“リミテッドブレイク” だ!!」



「リミテッド…ブレイク…?


だ、だめだ…力を抑えきれねぇ…

体が言うことをきかねぇ…!!」



善は暴れだす自分の右手を抑えつける。

溢れ出る力を、制御しきれていない様子だ。



「その感覚を忘れるな!善!


遠慮はいらん!

全力で来い!!全力で俺にぶつけて来るんだ!!」



レトインが善に気合いを入れると

善同様にレトインの体も光り始め、全身雷の力で覆われた。


そのレトインの姿を見て、鏡を見るかのように、自分がどういう状態に陥っているのか善は理解する。



「これがリミテッドブレイク…


(来いって…いいのか…?

どうなっても知らねぇぞ!?レトイン!!)」



“エレクト”を持つ者同士のぶつかり合い。


いくら熟練者のレトインといえど、気は抜けない。

レトインは構え、集中力を高める。



(善…今はうまくコントロールできないでいるだろう?


構わん 俺が受け止める…!

これを機に、一気にエレクトを身に付けろ!!)



善は叫びながら、抑えきれない力をレトインに向かって放出した。



「うわぁぁぁっ!!!」



善の右手からは普段の数倍もの大きさの、ファイヤーが飛び出した。


レトインは素早い動きで、善の炎をかわす。



(凄まじい力だ…


多少の反撃はしかたあるまい…)



レトインはリミテッドの力で武器を作り出した。



「パルチザン!!」



雷で作られた、いかずちの槍だ。

レトインは善めがけて、槍を突き出す。



エレクトの力に圧倒されている善の動きは妙に遅く、レトインの攻撃を回避することができない。


雷の槍は善の脇腹をかすめ、善の体からポタポタと血が垂れ落ちた。



「くっ!!


なぜだ…?これがエレクトの奥義・リミテッドブレイクなんだろ…?


俺の体は今、炎と化してるはず…

なのに、槍が俺の肉体に突き刺さる…」



腑に落ちないでいる善に、レトインが一蹴する。



「勘違いするな!

確かにおまえの体は今、炎と化している


しかし、生身の人間の体に変わりはないんだ!



炎でありながら、人間の体でもある…

何とも説明しがたいが、そんな状態だ」



「チッ…なんだそれ…

じゃあ無敵ってわけじゃねぇんだな…」



「当たり前だ!


逆に無敵では困る…

ジンも同じ能力を持っているんだからな!」



「確かに…」



僅かな時間にも関わらず、善の体にはどんどん疲れが見えてくる。



「くそっ…全然体がもたねぇ…」



「まだ体が慣れてはいないんだ!


何度も使い続ければ、いずれ体も慣れる」



そう話すレトインは、確かに善とは違い、余裕を見せていた。


レトインがエレクトの力を、完全に扱えている証拠だ。



「と言っても、リミテッドブレイクはエレクトの集大成


俺とて長時間は保てない…

だからエレクトの最終奥義なんだ」



レトインの説明も、今の善には聞こえていやしない。


今にも善の意識は飛びそうなくらい、ふらふらの状態だったのだ。



このままでは善はたいしてコツを掴めず、燃料切れで終わってしまう…


そう頭によぎったレトインは、たまらず善にふっかけた。




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