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3BECAUSE  作者: Guru
82/131

第82話「5人②」

立ちあがれないのも無理はない…


エーコにこの現実は、辛すぎる。



レトインはエーコのもとへ歩みよった。

そして、腰をおろし、ゆっくり話しかける。



「エーコ…いいんだぞ…?


おまえこそ無理しなくたって

俺達がいる 俺達がジンを倒すんだ


おまえは、これから先…

何も俺たちといっしょについて来なくたっていい


無理して、戦わなくたっていいんだ」



レトインは、エーコに

このリミテッド同士の戦争から


身を引くことを勧めた。



そのレトインの言葉に対してエーコは…



「………」



無言を貫き、何も反応することはなかった。



「誰も逃げたなんて言わないし

そんなことを思いはしないさ…


戦うことも勇気だがな…

もしかしたら俺達は…



“生きること”の方が

勇気がいるのかもしれない


生き延びることこそが

何よりも大変なことなのかもしれないな」



新たな優しい一面を見せるレトインの言葉も、今のエーコには何も聞こえやしない…



レトインは

『エーコはもう無理』


そう判断して

善の方を見て、首を横に振った。



善も本音は寂しく、戻ってきてほしかったが…

ぐっと堪え、言葉をのんだ。




善達はエーコをここで置いていき、出発しようと歩き始めた。


だが、その時…



志保が声をあげる。




「待って」



志保がみんなを止めた。

そして、エーコの背後まで近づいて、エーコに声をかける。



「あんた…何いつまでも泣いてんのよ


何そんなとこで、ずっと立ち止まってんのよ!!」



「おい…志保…」



「あんた…そんなガラじゃないでしょ?

そんな弱くないでしょ?


分かってんの…?

あんたの力が必要なのよ…



ジンを倒すには…

ジョーカーを倒すには、まだまだ力が足りないのよ!!」



いつもいがみあっていた志保とエーコ


しかし、志保はしっかりとエーコを認めていた。



エーコも、ライジングサンの

“仲間”だった。




「………




なんだしそれ…」



今まで黙り続けていたエーコが

ようやく口を開いた。



「分かってるし…そんなこと…


あんたらいつも、あたしの氷の盾に守られてばっかじゃん…


あたしがいなきゃ、あんたらなんて

すぐやられちゃうんだから…」



そう言うと、またエーコは黙る。

辺りは静まりかえった。


そして……




「ジンのバカーーーーー!!!


てか嵐ふざけんなし!!

一番ふざけてんの嵐だし!!!



許せないし!!

誰が戦いから降りろって!?


そんなのこっちから願いさげだし!!!」



エーコは爆発した。

溜まりに溜まっていたものが、一気に溢れだした。



「あたしも行くに決まってんじゃん!!

置いてくつもりだったの!?善!!



“また”あたしを一人にしたら…

許さないし!!!」



「おいおい!そんなことするわけねぇだろ?


おまえもライジングサンのメンバーだっての!!」



やかましいエーコの目覚めに、大悟がため息混じりに言った。



「うるさいやつが目を覚ましちまったな…


そのまま寝かせとけばよかったか…?」



「なに言ってんだし!大悟!!


あんた凍らせてやろうか!?

氷人形にしてやろうか!!!だし!!」



急に大きい声をあげ、ハイテンションになったエーコ。


しかし、エーコの目からは

涙が流れ続けていた。



無理して笑顔を作り、元気に振るまっていたことは一目瞭然だった。


けれど、そんなエーコの姿を見て

志保は少し微笑んだ。


エーコは志保の言った通り…



強かった。




新生・ライジングサン

5人のメンバーがそろい


ジョーカー、ジンを倒すため

全員が立ち上がった。





一方、その頃

ライジングサンの敵


ジョーカー・ジン



ジンは黒崎嵐と供に

ジョーカーの本拠地へと戻っていた。




「おかえりなさい!!ジンさん!!」



「あぁ、ただいま戻った」



一同はジンを出迎える。

その中には、四天王・東條もいる。



「おかえりなさいませ ジン様

そして…




黒崎様」



深々と東條が黒崎に頭を下げる。

まんざらでもない様子で、黒崎は東條に笑みを見せた。



「久しぶりだな!東條!!


う~ん…堂々とここに戻ってこれるのは

実に何年ぶりだろうな…


元気にやってたか?東條!!」



「はい もちろんです!!


久しぶりに帰還されたわけですし、どうぞゆっくりしてください」



黒崎が去るまで、頭を下げ続ける東條。


黒崎の姿が見えなくなるやいなや、東條は顔をあげ舌打ちをした。



(チッ…黒崎め 偉そうに…

1対1で戦えば、恐らく私の方が実力は上…


しかし、ヤツはジンさんの側近でありながらも

正直、何を考えているか分からない…


ジンさんも頭はいいが、幼稚な一面もあり

考えが読みやすい…



それに比べ黒崎…

一番厄介なのはおまえだ!!


ジンさんの側にいたいのか…

それとも出し抜こうとしているのか…



何を考えているのかさっぱりだ!

本当は実力さえも私より上なのかもしれない…


貴様は一体何を…

ジョーカーをどうしようとしているんだ!?黒崎!!)」






第82話 “5人”  完

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