第69話「???VS???①」
キング・ヤコウトウマと黒崎嵐は、キングのアジトにて、これから先の計画を立てていた。
そこに、ある一人の人物が忍び寄って来ていた。
「ん?…あれは…?」
「お、おまえは……」
キング・ヤコウと黒崎のまえに、突如あの男は現れた。
「ジン…!!!
二階堂 仁!!」
3BECAUSE
第69話
「キング・八光 灯馬 VS ジョーカー・二階堂 仁」
二階堂 仁
細身で長身。
黒髪で、髪は目が隠れるくらい長い。
その髪の毛の隙間から、時折覗かせる目は、恐ろしく鋭い目つきをしている。
まずはジンから話しかけた。
「久しぶりだな トウマ」
「何しに来た!?なぜ貴様が今こんなところに…」
「久しぶりに会ったというのに、そんな言いぐさはないじゃないか…
少しは喜べよ」
「喜べだ…?
“あんなこと”をしていて、よく言えたなジン!!
俺は今まで、一秒たりとも貴様を忘れたことはない!!
貴様を倒すために、すべてをかけてきた!!」
ジンとヤコウ。
以前は知り合いだったのであろう…
お互いの間には温度差が感じられる。
久しぶりの再会を喜ぶジンに対し
怒りをあらわにするヤコウ
2人の間に、以前何かがあったに違いない。
敵意むき出しのヤコウだったが、ジンは余裕を見せる。
「俺を倒すねぇ…」
「昔の俺とはもう違うんだ!
見せてやる…鍛えに鍛え上げた、俺の力を!!」
「はっはっは!
まるでその言い方では、以前に俺と戦ったことがあるように聞こえるな…
おかしいな…
俺の記憶の中では、おまえと俺が戦った覚えなどない」
「黙れ!!
見れば分かるはずだ!今の俺の、この力が!!
(まさか…今ジンが自ら出向いて来るとは…
せっかくもう少しで、俺の計画通りになるところだったのに…
善とレトインが揃ったその時、ジンに挑むはずだった…
早すぎる…
でかい口叩いたものの、俺と嵐の二人でジンに挑むのは…
正直無謀だ…
せめてここは嵐だけでも…)
ジョーカー・ジンVSキング・ヤコウ
あまりに早すぎた頂上決戦
強敵ジンのまえで、あきらかにヤコウは準備不足
ジンの強さを知っているがゆえに、ヤコウが下した判断…
今戦っても、ジンに勝つことは不可能。
勝てる見込みなど、0%に等しい。
それを察したヤコウは、ジンに聞こえない程度の小さな声で、黒崎に話しかけた。
「嵐…いいか…よく聞け…
おまえは今すぐこの場から逃げるんだ」
「!!
なっ、なぜですか!?」
「俺とおまえで力を合わせたからといって、ジンに勝つことは不可能だ…
ここは俺が時間を稼ぐ…
その間に、おまえは一人で逃げるんだ!
さすがに多少の時間稼ぎぐらいなら、俺にだってできる」
ヤコウの案に不服なのか、黒崎は反発した。
「なぜ逃げなければならないんですか!?
私はこんなところで死にませんよ…」
「おまえが自分の力に自信を持っているのは分かっている…
しかし、相手が悪すぎるんだ…
いいからここは俺の言うことをおとなしく聞いてくれ…」
そう言って、ヤコウはちらっと黒崎の顔を見た。
すると黒崎は……
「だから…
なんで私がここで死ぬんだって話ですよ」
にやついていた。
まるでヤコウをあざけ笑うかのように…
「嵐……?」
黒崎嵐の様子がおかしい。
ジョーカー・ジンを目の前にして、笑みを浮かべている。
黒崎の異変にヤコウが気づくと、それを見たジンが大声をあげて笑った。
「はっはっは!
相変わらずバカだな…トウマは」
「何!?」
「俺の性格はおまえならよく知っているだろ?
ジョーカーを潰すために存在するキングだ…?
そんなもの、俺が野放しにするわけがねぇだろ!」
「!!!
ま、まさか…」
ヤコウの背すじに、一気に寒気が走った。
とうとう気づいてしまったのだ。
黒崎の笑みの理由に。




