第68話「交わりあえぬもの③」
「おいおい…いいのか善…?」
さすがに大悟も、これには納得いかなかった。
「いくらエーコが信用できるからって…
キングの野郎は分からんぞ…?
それに手下の黒崎ってやつだって、謎が多い男だ…」
「そりゃ志保や大悟は、納得行かないよな…
けど、俺だってよく考えたんだ
エレクトの力…まだよく分かりはしないが、こいつはとんでもない力だ…
そいつをジンとレトインが使ってくる…
それに対抗するには、どうしても力が必要なんだ…
それと、もしかしたらキング・ヤコウなら、エレクトのこと、何か知ってるかもしれねぇ!」
そんな説明を受けても、納得がいくはずがなかった。
いや、むしろどんな説明を受けたところで、納得いくものではないのだろう…
ライジングサン、ジョーカー、キング
すべてが分かり合えるものではなく、交わりあえるものではない。
「チッ…納得いかねぇけどな…
エレクトでもない、四天王・琢磨にあんだけ苦しめられたんだ…
力が欲しいってのは…間違いではないけどな…」
「そうだろ?
俺だって気は進まねぇけど、こうするしかないんだ…」
ライジングサンが、キングと同盟を組む決断をした頃
キング・ヤコウ トウマと
その手下、黒崎嵐は…
「トウマさん…
あれからエーコがライジングサンのスパイとして行ってから、結構な日にちがたちますが…
実際のところ、どうなのでしょう?
橘善は、同盟など組む気はあるのでしょうか…?」
「間違いない…
善は俺達の力を必要としてくるだろう
それほどまでに、ショーカー・ジン…
あいつは強すぎる…」
「そうですか…」
「我々にも感じた共鳴反応…
あれは恐らく、善がエレクトとして目覚めた証…
そうなればますます、エレクトの力を持つ、ジンの強さが分かってくるはずだからな…」
橘善のエレクトとしての目覚め。
これはすべてのリミテッドの者に影響を与えていた。
もちろん、キングにも共鳴反応が見られた。
キング・ヤコウが黒崎に釘を刺す。
「だがな、嵐…
それだけではまだ足りないんだ…」
「足りない?
善達を仲間にしたとしてもですか?」
ヤコウは歯をくいしばり、険しい表情を見せる。
「そうだ…
“あの男”の力を借りるのは、しゃくだがな…
ジンに対抗するには、やむを得ん…」
「あの男…?」
「あぁ…
ジンに勝つためには力を借りざるをえない…
“レトイン”
ヤツがいなければ、まずジンに勝つことなど不可能だ」
「レトイン…ですか…
しかし、トウマさんはレトインを煙たがってはずでは…?」
以前、ヤコウとレトインが対峙した際、ヤコウは異常なまでにレトインを嫌っていた。
そこに黒崎は引っ掛かった。
「あの時の俺は感情的になってしまっていたな…
冷静に考えれば、本気でジンを倒すには必ずヤツの力が必要となってくる…
気は進まないがな 俺が頭を下げるしかあるまい」
レトインの力を借りるなど、ヤコウの本望ではなく、屈辱ではあったが…
ジンの圧倒的な強さを考えれば、致し方のないこと。
キング、ライジングサン、そしてレトイン
すべての力を合わせねば、ジョーカー・ジンには対抗できない。
黒崎は己の恥をさらしてまで語る、ヤコウの本気を知った。
ジン討伐までの準備は整いつつある。
「トウマさんがそこまで考えていたとは…
恐れ入りました
ただ、レトインも一筋縄ではいかない男…
ヤツを手中に収めるのも困難かもしれませんね…
ん…?あれは…?」
キング・ヤコウと、黒崎が話す中…
黒崎が何かを見つける。
キングのアジトには、ある一人の人物がやってきていた。
「お、おまえは……」
第68話 “交わりあえぬもの” 完




