第67話「交わりあえぬもの②」
「悪い…みんな…
ちょっと今は、一人になりたい
行きたいところがあるんだ…」
「えっ!?あんたそんな体でどこか行くつもり?
おとなしくしてた方がいいし!」
先程のふらふらになった善を見ると、まだ安静にしていた方がいいと思われ
あの楽観的なエーコでさえも、善の身を心配するほどだ。
「大丈夫だ 心配しないで平気だ
それに…
考えたいこともあるんだ…」
一人きりで考えたいことがあるのだろう…
メンバーといっしょでは集中できない。
「………
分かった
一人で無理はするなよ?」
「あぁ…分かってる…」
その善の気持ちを察してか、大悟は善の提案を許可した。
もちろん大悟も心配ではあったが、善によっぽどの考えがあるのだろう。
善は重たい体を叩き起こしながら
ゆっくりと歩き、とある場所へ向かっていった。
「着いた…」
善がたどり着いた場所は、レトインと誓いを交わした
“あの海の見える場所”
初めて訪れた時、善はここでレトインと誓いを交わした。
次に訪れた時、レトインは善にこう言った。
『善、おまえが“太陽”になるんだ
おまえが“希望”になれ!!』
『変えろ…おまえがジョーカーを変えろ!!』
今となれば、この時の言葉の意味も、少し分かる気がする。
俺がジョーカーを変える…
これはもしかして俺が…
レトインを止めろってことだったのか…?
なんとなく理解したつもりだが
結局すべては分からずじまいだ…
そして、3度目に訪れた今回は……
善たった一人だった。
いつも隣にいるはずの人物はいない。
(“リミテッド・エレクト”…
志保達の話を聞いても、未だよくどんな力なのか分からねぇ…
分かっていることは、とてつもなく強力な力ってことだ!
で、その強力な力を、ジンとレトインが持っている…
もしかするとキングも…エレクトなのか…?
本来なら俺は四天王・琢磨に殺られていた…
今俺がこうして生きていること自体が奇跡だ…
またレトインに助けられちまった…)
善はあれこれ考えることは得意ではない。
思い立ったら即行動、本能のままに進むタイプだ。
難しいことは分からない…
だが善は、それでも自分なりに一人で真剣に考え
善は覚悟を決めた。ある決心をしたのだ。
(よし…決めた…!!
奇跡だろうがなんだろうが、俺は生きてる!
そうとなりゃ、いくらでも勝つ見込みはある!!)
決意は固まった。
メンバーと離れ、一人きりになり、この場所を訪れたことは、どうやら善にはプラスに働いたようだ。
「善…戻ってきたのね」
あの場所からライジングサンのアジトのところへと戻ってくる善を、志保が出迎えた。
「あぁ…すまなかったみんな…
心配かけたな!
俺、一人になって考えて、決めたことがあるんだ…
聞いてくれないか?」
心なしか善の表情がスッキリしたようにも見える。
単に先程のエレクトの後遺症が消えただけかもしれないが、志保の目にはそんな風に映っていた。
「そのために一人で…
決めたこと?何?話してみて」
「あぁ…じゃあ、よく聞いてくれ
俺達ライジングサンは、キングと手を組む
同盟だ 同盟を結ぶ」
「!!!
なんだって!!??」
突然の善の決断に、一同は驚いた。
そして、その一報を聞いた、キングの一員であるエーコが飛ぶように喜んだ。
「さすが善だし!これだから善は好き!
よく言ってくれたじゃん!!」
騒ぎ立てるエーコを善が大きく手をパーにして広げて制した。
「落ち着けエーコ!それに勘違いするな!
あくまで手を組むだけ…
向こうが言ってた条件通り、これは一時的なものだ」
少ししょんぼりして、エーコは落ち込む。
「そ、そんなの分かってるし~…」
「だがな、エーコ…
これはおまえが俺の心を動かして、こうなったようなもんなんだよ」
「えっ…?」
「だいたいな…いくら俺でも分かってんだよ!
なんか裏があんだろ?
エーコが俺達の仲間になろうなんてよ…」
「うっ……」
エーコがライジングに近づいてきたのは、元々はスパイ
ライジングサンとキングが、手を組みやすくするためである。
いくら勘の鈍い善であっても、何かしら裏があることはお見通しだった。
だが、そんなスパイとしてきたはずのエーコも、善達といっしょにいるうちに
本当の仲間のように信頼し、助け合うようになっていたのだ。
「エーコは本気で俺達といっしょになって戦ってくれた…
間違いなく、おまえは今、俺達の仲間だ!」
「善……」
だいぶキングの目論見は違うが、結果的にライジングサンとキングが
同盟を組むという、キングの思惑通りの形へとなってきてしまっていた。




