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3BECAUSE  作者: Guru
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第63話「2度目の終わり②」

琢磨がまわりの闇の力を吸収し、すべてを鎌に込める


その強力な力を、善めがけて解放し、鎌を振りぬいた。



「ぐっ…!!!」



気配を直前で感じた善は、二刀流となった2本の火の剣で

必死に攻撃を防ごうとした。


無論、その程度の防御など、無意味である。



しかし…

善の手には、琢磨の攻撃など一切感じ取ることはできなかった。



「………?」



善が真っ暗闇の中、うっすらと目に映ってきたものは…

ゆっくりと膝から落ちていった、志保の体だった。



「志保!!!!」



志保が善の身代わりとなり、琢磨の攻撃を受け止めていたのだ。



「なんで…おまえが…」



「あいつの狙いはあんただがらね…

闇の中、あんたの“声”を頼りに来た…


水の壁…作ったけど…

エーコみたいに、うまくいかないもんね…



善…あきらめちゃ…だめだよ…」



そう言い残して、志保は倒れた。



「志保!!!


あきらめるなって…

こうなるから…こうなって欲しくないから!!


だから…言ったんじゃねぇかよ!!!」



善の目には少しばかりの涙が浮かんでいた。



「あぁ~ぁ…斬ったのは志保か…


チッ…意外と水の壁…

抵抗力あるじゃねぇか…


まぁいい…これで残すは善のみだ

めんどいけど、また力を溜めるまで!」



善に哀しむ時間などない。

琢磨がまた先程と同じように、また闇の力を集め、攻撃を仕掛けようとしている。


今度こそ…攻撃を受けるのは善だ。



「大悟…エーコ…志保…」



善はとうとう最後の一人となってしまった。

志保が言い放った言葉が、妙に耳に残る。



『善…あきらめちゃ…だめだよ…』



(あきらめるなって…だったらこっからどうすりゃいいんだよ…


勝てんのかよ!こんなんで…)



仲間を失い、善には覇気もなくなってきている。

決してなってはいけない、弱気な善となっていた。



(あぁそうかい…

やればいいんだろ…?やれば?


どうなっても知らねぇかんな…

やってやるよ…



もうあいつの攻撃は防がねぇ!

こっちも…おもいっきし、ぶった斬ってやるよ!!)



もう善は考えることをやめ、ヤケを起こしてしまっていた。

こんな状況の男に…




勝利の女神が微笑むわけはない。




「さぁ…今度こそ…

本当の本当の終わりだ…


死ね!善!!

終わりだ!ライジングサン!!!」



琢磨は善にむかって、すべての力を解き放った。

それに対抗して善も…



(こうなりゃ…なるようになれだ!!


終わるなら…

終わっちまえ!!!)



がむしゃらに琢磨に突っ込んだ。

結果など、分かりきっていることである。


善は、この琢磨の攻撃で

間違いなく…




死ぬ。




善が意を決して飛び込んだ。

善と琢磨の闇の鎌が触れる直前……





バチバチバチッ!!!




とてつもなく大きな音がこだました。

そして…


闇しか存在しないはずのこの空間に…

強い“光”が差し込んできた。



「なっ、なんだ!?

いったい何が起こった!!??」



突然の強大な光の存在に、琢磨が慌てる。



「フン…あきらめた者に勝機などない…


“あきらめない男”があきらめれば…

残るものなど何もないか…」



何者かが上方で、そう言ったのが聞こえた。

善はその声のある方を見上げた。


琢磨の闇のテリトリーは謎の光の力に脅かされ、視界は良好 辺りはよく見える。



工場の外へ通じる、2階の階段の入り口に

その何者かは立っていた。




「レ…レトイン……」



そこにいたのは、ライジングサンのメンバーの最後の一人

レトインだった。



「なんでおまえが…ここに…」



激しい音と、強い光…

工場内には、大きな雷の力が放たれている。


雷、すなわち“光”

その大きな光は、琢磨の闇さえ吹き飛ばすほど大きな力だった。


闇のテリトリーまでもか、琢磨が手にしていたはずの闇の鎌さえも、かき消していた。



「俺の闇を壊すとは…


おまえ…何者だ!!!」



琢磨の投げかけなど、一切聞くことはせず

レトインは一言、善に向かって言った。



「おまえなんて…


俺がいなければ、こんなもんだ」



「!!!」



善の体の中に、“何かが”フツフツと込上げてきた。



(何やってんだ…俺は…

何をやってたんだ俺は…


みんなに逃げろなんて言っといて、全員やられちまって俺だけが残って…


ここまでみんなが繋いでくれたのに、ヤケになって最後は諦めた…



しまいには…

自分から突き放したレトインに助けられた自分がいる…


情けねぇ…情けねぇよ…

俺は…俺は…)


「何やってたんだよ!!!!」




善は心の底から叫んだ。

自分を憎み、自分に激怒した。


すると、善の体から…



レトインの力とはまた別の

“強い光”が放たれた。



琢磨は善を見て、目を疑った。



「こ…これは…!!」



善の右手に刻み込まれた謎のマーク

そのマークが、強く光り輝いている。


それとともに、善の体は真っ赤な炎に全身包まれた。



その姿を見たレトインは、心の中で呟いた。



(そうだ…善…


それだ…その力だよ!

今こそ、目を覚ますんだ!!


おまえは…選ばれたんだよ…

奇跡の中の奇跡…



“リミテッド・エレクト”)






第63話 “2度目の終わり” 完

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