表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3BECAUSE  作者: Guru
59/131

第59話「捨てられぬプライド③」

一度も自分から攻撃を仕掛けてこなかった、四天王・琢磨


ここに来て始めて自ら攻撃を仕掛けだした。



琢磨はリーチのある大鎌を振る。

リーチが長い分、大悟の体から若干の距離がある。



(何!!!速い!!!)



琢磨のキレのある攻撃に、一同は驚いた。


特に驚いたのは善だ。



(なんだこいつ…


弱いんじゃないのか…?)



琢磨の俊敏な攻撃が続く。

今までののんびりなイメージが、ガラリと変わった。



「だ、大悟が…


押されてる…?」



善は大きなショックを受けた。

大悟は剣術において、自分より上の存在。


その大悟が、琢磨に圧倒されている。



琢磨を完全に見くびっていた。

ようやく善にも琢磨の、あの自信の意味が理解できた。



琢磨の鋭い攻撃の連続に、大悟は身動きが取れないでいる。



(くそっ…


あの鎌のリーチでこの速さ…

これでは全然ヤツの懐に入り込めない!!


ちまちま俺達の分身で体力削られるより、よっぽど強力じゃないか!!)



防戦一方の大悟に、がっかりの琢磨。


 

「なんだ…

こんなもんだったのか?大悟って…」



「だ、黙れ!!」



傍観者となりかけている、善たちに琢磨が気づいた。



「他のやつらも暇だろ?


もう一人の俺が、今そっち行くからさ!」



大悟と琢磨が1対1の戦いを繰り広げている中…

善たちの前には…



「これは…琢磨の影…

琢磨のドッペルゲンガー!!」



琢磨の分身が立ちふさがった。

琢磨は自らの分身を作り出していたのだ。



「あれだけ大悟が苦戦するのを見せられると…」



「大丈夫だし!こっちには相性がいい善がいるんだから!


さぁ善、また火炎地獄おみまいしろだし!」



苦戦する大悟を見て、志保は弱気になるが、エーコは常にポジティブ思考だ。



「簡単に言うな!

あれはすげぇ時間かかるんだよ!


さっきもみんなに時間稼いでもらってやっとだったろ…」



火炎地獄には時間を要する。

エーコの考えるほど、甘くはない。



「でも相性がいいのは確かだ


俺がやるしかねぇな…」



それでもカギを握るのは善だ。

善は気合いを入れ直す。



とは言ったものの、どうしても一人戦う大悟が気になる。


善が志保とエーコに声をかけた。



「俺の方はいい

どうせ分身だ 倒しても意味がねぇ!!


2人とも、大悟のサポートに回ってくれ!」



「そうだね!大元を倒さなきゃ、何もならないしね!


大悟、今行くから!」



志保とエーコが、大悟のもとに急いで駆けつけようとする。


しかし……



「来るな!!!」



「えっ…?大悟…?」



大悟が助けに来る志保とエーコを叫んで止めた。



「俺の方は大丈夫だ…


いいからお前たちは、影の方を相手していろ!!」



「でもそれじゃ…」



「いいからそうしろ!


琢磨は俺が一人で倒す 俺を信じてくれ、善」



手を差しのべるも、大悟は言うことを聞かない。

大悟は善に自分の思いを訴えかけた。 

 

今のセリフを聞いていた琢磨。

完全にスイッチが入る。



「言ってくれるねぇ~…大悟くん


キミの意地…プライド…

立派なもんだよ!サシでの勝負、受けてたつよ!!」



普段やる気をあまり出すことのない琢磨だが


今の一言で、どうやら琢磨の闘志に火を着け、本気にさせてしまったようだ。



「何言ってんだよ…何やってんだよ!!


こんな時に、勝負なんかにこだわってる場合かよ大悟!!」



善は大悟の身勝手な行動に怒り、声を張り上げた。


そして大悟は、その善をじっと見つめるように、静かに言葉を返した。



「………


俺を信じろ…善」



「バカ野郎!!!



(俺だって大悟が勝つことを信じたい…


けどこっちは分身だぞ!?戦ったって意味ないんだぞ…?


そんなプライド…必要あるのか…?

どうしたらいいんだ…俺は…


今すぐ1対1の戦いを止めるべきか、それとも…

大悟の意志を尊重すべきか…



こんなとき俺は…

“あいつ”みたいに冷徹にはなれない…


俺はどうすれば…

どうすればいいんだ…)






第59話 “捨てられぬプライド” 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ