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3BECAUSE  作者: Guru
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第52話「魔性の女②」

突然変わったエーコの言動と態度に、志保は頭を抱えていた。



「はぁ~…私ほんとこの女だけはだめ…


なんなの急に…

超苦手だわ…なんとかして…」



どうも志保は、エーコと馬があわないらしい。

志保は善と大悟に助けを求める。



「なんとかしてって言われても…


こうも張り合いがないとなぁ…」



「あぁ…やりづらいな…それに…

ジョーカーに多くの強敵がいるのが分かった


明日はもしかしたら四天王と戦うかもしれない…


ここでの無駄な戦闘は、なるべく避けたい…」



善と大悟はエーコにたじたじ。

二人の調子は完全に狂わされている。



「じゃあ…どうすんのよこいつ…

ついてくるって言ってるわよ…?」



強引に仲間に入ろうとするエーコだったが、志保に対しては厳しく当たった。



「ちょっと!あたしあんただけは許さないし!


ライジングサンは気に入ったけど、あんたは嫌い!!」



「……?なんでよ…」



「忘れたの?


あんたがリミテッドでの攻撃を仕掛けてきたから、戦うはめになったんじゃん!

きっかけはすべてあんたよ?


あの後、嵐とトウマさんにこっぴどく怒られたんだし!

あんたのせいだし!!」



「執念深い女ね!まさかそんな理由とは…」



東條が現れた時の、さっきまでの緊張感が、まるで嘘のようだ…


醜い言い争いが繰り広げられている。



ひどく落ち込んでいた善も、このわけの分からぬ事態のおかけで、少しは気が楽になっていた。


その点だけはエーコに救われた。


善がひきつった顔で大悟に言う。



「で、四天王のまえに…


まずこいつをどうする…?

大悟…」



「そうだな…キングの何かの狙いか…


イマイチ信用はできんが…」



判断を委ねられた大悟は心の中で、一人考えた。



(レトインがいない今、以前よりも一人分…

いや、それ以上に戦力を失ったに等しい…


正直なところ、一人でも多く戦力が欲しいところ…

仕方あるまい…)



そして、大悟は苦渋の選択をした。

せざるをえなかったと言うべきか…



「ついてくるって言ってるんだ…

こいつの相手をするだけ、時間の無駄だろう」



「やった!いいってこと?


あんた話分かるじゃん!」



大悟の許しが出ると、エーコは跳び跳ねて喜んだ。


大悟の肩をポンと叩いて、喜びを表現するが

加減を知らないのか、勢いが強く少し痛い。


そんな喜ぶエーコに対し、志保は明らかに嫌な顔をした。



「ちょっと!大悟~…」



「だったらおまえがなんとかしろよ」



「えぇ~…無理 こいつだけは…」



こんな拍子で、ちゃっかりとキング・エーコはライジングサンと行動を共にすることとなった。


仲間に加わったといっても、はっきりしなければならないことが善にはある。



「言っとくけどな…

だからってキングと手を組むって話と、これはまた別だからな?


そこだけは勘違いするなよ!」



「はいはい!そこはあたしだって分かってるし」



一時的なもののつもりだが、キング・エーコを受け入れた善。


今までの善ならば、考えられないことであったろう。



これもすべては、強敵、東條の出現によるもの。


驚異的な強さを見せつけられ、善の心境も以前とは大きく変わっていた。



「そんじゃ、よろしくね!

善に大悟に…


あとメス豚」



「メ…メス豚!?」



エーコと志保の仲は相変わらずではあるが、善と大悟は何とかやっていけそうだ。


だが……




(きゃはは!簡単じゃん!ライジングサン!


あたしがあんたらに感動した?気に入った?

バカじゃん!!


これはトウマさんからの指令だし!!


すんなり仲間に入れちゃった!

あたしやったよトウマさん!!)




突然、人が変わったように好意的となり近づいてきたエーコ…


実はこれには裏があった。

エーコはキングが送り込んできたスパイだったのだ。



元々分かりあえない者同士…

うまくやっていけるはずがない。


キング・ヤコウトウマは、だいぶ先のことまで見据えて計算していた。



エーコを送り込んだ理由には二つある。


ひとつは、エーコがライジングサンと親しくなり、キングと同盟を組みやすくするため。



そしてもう一つは、協力してジョーカーを倒した後の


二つのチームは、またお互い敵同士に戻ることとなるだろう…


その時、善達を倒しやすくするために、ライジングサンの弱点を探すこと。



この二点のために、ヤコウはエーコをスパイとして送り込んでいたのだ。


その作戦に、まんまとライジングサンはハマってしまっていた。


偶然ではあるが、ジョーカー・東條の出現が、

ライジングサンを狂わせてしまったのは言うまでもない。





一方、その頃

番狂わせ張本人の東條は…


ジョーカー本陣へと帰還したところだった。



「ただいま戻りました ジンさん」



早速、東條はジンに成果を報告する。



「おぉ…東條 早かったな!

どうだった?」



「はい 伝えるべきことは、伝えてきました


しかし…

お言葉ですがジンさん…


ライジングサンの橘善 ジンさんが気にかける男…

実力はいかほどなものかと、とても楽しみにしていたのですが…


あれでは…話になりません

ジンさんほどのお方が、橘善など、まるで相手にする必要はないのでは?」



「そうか…そう判断したか…

確かに現状ではそうだ…まるで話にならん…


だがな東條…

のんびりやってると、おまえもいつか足下をすくわれるぞ?」



ジンの鋭い眼光に、東條の背筋は凍った。



「!!!


はっ!大変失礼いたしました!

誰が相手だろうと、油断してはならない…


申し訳ございません」



「そう…それでいい 東條

下がれ」



「はっ、はい!失礼します」



ジンから思わぬ渇を入れられた東條は、ジンのもとから慌てて離れていった。



東條がいなくなると、ジンは左手をさすった。


遠く離れた場所にいる、善に話しかけるように独り言を呟く。



「橘善…まだまだこれからだろ…?

おもしろくなるのは…

もっと俺達を楽しませろよ…


俺の相手に相応しい…


そう呼ばせるほどの、高みまで早く上りつめて来い!!橘善!!」



ジンのさすった左手には、謎のマークが光り輝いていた。



明るみを好まないジンは、いつも闇に包まれている。



その闇の中で一つだけ明るさを持つ光…


その唯一放つ光が、ジンの不敵に浮かぶ笑みを捉え

より一層不気味にさせていた。






第52話 “魔性の女” 完

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