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3BECAUSE  作者: Guru
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第44話「晴れのち曇 そして雷雨①」

「行こう

3日後 キングが待つところへ


待っていてはだめなんだ

動かなきゃ…進まなきゃ…


俺達の未来《明日》は、俺達で切り開く」






BECAUSEスリービコーズ


第44話

 「晴れのち曇 そして雷雨」






善の中で、気持ちは固まっていた。

大悟はすでに腹をくくっていたようだ。



「フン…おまえのことだ そう言うと思ったさ!」



その大悟に対し、志保は不安な気持ちでいっぱいだ。



「でも…本当に大丈夫なのかしら…?


キングのリーダーが待ち受けているのよ?

やつはリミテッドの中でも“最強の能力”を持つと聞くわ…」



“最強の能力”


その言葉を聞いて、余裕をみせていた大悟も、顔をこわばらせた。



「最強の能力か…


くそっ!せめてそいつがどんな能力かさえ分かれば、こっちも対策が打てるんだが…」



漠然とした情報だけで、策を練ることができない。

そう思われた矢先、レトインがぽろりと呟いた。



「知ってるけどな キングのリーダーの能力は」



「!!!

なっ、なんだと!!??」



一同は驚いた。

元ジョーカーの志保、大悟は特に驚いているようだ。


そんな驚く一同を置き去りにし、レトインは淡々と告げる。



「やつの能力は“ライトリミテッド”

“光”の力だ


光と言っても、ただの光ではない


やつの放つ光は“放射線”

目に見えない、不可視光だ」



「!!!

目に見えないだって…?」



「それこそが最強の能力とまで言われるゆえんだ


そしてやつが放つ放射線を浴びてしまえば…

全身被爆の場合、数時間で死にいたることもある」



全員が言葉を失った。

目に見えない力を相手に、戦う術はあるのか…?


善の声は震えていた。



「そんなの…どうすればいいって言うんだよ!!」



怯える一同に、レトインはどっしりと構えて答えた。



「対処方は0ではない


目に見えはしなくても、リミテッドであれば体で力を感じることができるはずだ」



「その力をいち早く感じ取って、かわすしかないと…?」



「あぁ もしくは、やつに力を使わす隙すら与えないこと


それぐらいしか手段はないがな…」



確かに0ではないと言っても、無謀すぎる。

すでに善は弱腰になってしまっていた。



「もし判断を誤って、遅れをとってしまったら…?」



躊躇なく、レトインがはっきりと答える。



「そこに待つのは死だ


集中力は全く欠けない

一瞬の油断が命取りになる」



その言葉を聞いて黙る善。

善に比べれば、志保はまだ冷静さを保っていた。



「そんな状況下じゃ、メンタルの消費量は恐ろしく激しいでしょうね…」



絶句する善に、改めて志保が聞いた。



「そんなやつを相手にしろって言うのよ


ねぇ…

本当にキングの元へ行くの…?善……」



善はぎゅっと握り拳をつくって、歯をくいしばった。



「確かに怖ぇけどよ……


でも…いずれかはキングも倒さなきゃならねぇんだ…


早いか遅いかの違いだ

だから…行くぞ… 俺は」



善の決意は固かった。恐怖を押し殺してでも貫いた。


その善の姿を見て、大悟は少し安堵する。

それぐらいでためらってしまうのならば、初めから行くなど言わない方がいい。



「どうあっても、意志は曲げないつもりなんだな…」



「悪いな…それに…

キングのエーコと黒崎が、俺達に話があると言っていたあの時…


やろうと思えば俺たちを簡単に殺せたんじゃないか?

俺たちは四天王との戦いの後で、傷だらけだった…


しかも黒崎は相当なリミテッドの使い手だ

それでもやつは俺達には手を出さず、キングのリーダーに会わせたいと言った…」



何も精神論だけではない。

善にはちゃんとした理屈もあったのだ。


いつも以上に、色々頭が回る善に、レトインは感心していた。



「確かにな…俺達の命が目的なら、あの時始末していただろう…


何か他の目的があるのかもしれんな


(善…よほど考えたんだろうな…

おまえにしては冷静な判断だ)」



一番不安を感じていた志保も、善とみんなの意見に呑まれるように同意する。



「そう…分かったわ 私も覚悟を決める」



全員の意見は一致した。

善は自分の勝手な意見に合わせてくれた皆に感謝した。



「ありがとう…みんな!!


3日後、全員で行こう!」



「あぁ!!」






そして、3日後。

運命の日が訪れる。



「よし…エーコからもらった地図…

この地図の示された場所に行くぞ」



善がキングのアジトの地図を片手に、出発しようとする。



そんな、いざ…という時に……


レトインがこの場を一人だけ離れようとしていた。



「おい!!」



そんなレトインを大悟が見つけて呼び止め

レトインの腕をがっしりとつかんだ。



「どこへ行く…?レトイン…」



「見逃してはくれなかったか…」



「当たり前だ」



大悟は気付いていた。

この3日、レトインの様子がおかしかったことに。


レトインは皮肉を込めて大悟に言った。



「フン…俺のこと信じてくれているんじゃなかったのか?」



「あぁ、信じてるさ おまえは仲間だ

ライジングサンのメンバーだ


だから連れて行く

善は全員で行こうと言ったんだぞ?」



レトインは返す言葉がなかった。

しぶしぶレトインは頷いた。



「そうだったな…悪かった」



「おーい!大悟にレトイン、2人で何やってんだ!

早く来ねぇと置いてくぞ!!」



善が遠くから声をかける。

善と志保の二人は、早々と地図の示す場所へと向かい、歩き出していた。



「すまない!今行く!


ほら、行くぞ!!」



大悟がレトインの腕を引っ張り歩き出す。


こうして、多少のいざこざはあったが、ライジングサンの4人は、キングのアジトへと向かった。



その道中は、不思議と会話はなかった。



『目的は俺たちの命ではない…』



そう心の中で思っていても、体は嘘はつかない。



最強の力と唱われる、キングの“ライトリミテッド”に


いざ戦うとなったとしたら、果たして勝てるのか…?



そんな恐怖心が、メンバー全員にあった。



そしてとうとう不安は消えぬまま、地図の示された場所へとたどり着いた。




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