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3BECAUSE  作者: Guru
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第43話「Second Because②」

善は首を傾げて、レトインに聞き直す。



『不思議な力…リミテッドじゃなくて…?』



するとレトインは、少し笑みをこぼした。



『そういった類のもんじゃないさ…』



そして、笑っていたと思われたレトインが、今度は真剣な顔つきへと変わった。



『悪いが俺は、おまえについてのことを調べさせてもらっていた

おまえに初めて出会う、あの日より前の話だがな


おまえは本当不思議なやつだよ…

学生時代は悪さばかりしていたようだな』



『うっ……』



嫌な所をつかれ、下を向く善。

構うことなくレトインは話を続ける。



『だがそれでもおまえは、周りのみんなから好かれていた


意外と人望もある

普通そういうやつはな、周りの奴らに嫌われていくもんだ


でも善は違った……』



何でこんな話をレトインはしているのだろうか…


善が顔を上げてレトインの顔をちらっと見た。

いつになく、レトインは真剣な表情をしている。


変わらずレトインは、どこか遠くを見つめながら話す。



『おまえと出会ったばかりの時は、まだ自信はなかったが…


今なら確信をもって言える……』



少し溜めて、レトインは今度はしっかりと善の顔を見ながら言った。



『善…おまえがリミテッドを変えろ』



『えっ…?』



善はレトインの言った言葉の意味が理解できなかった。

それを予想してたのか、レトインは丁寧に説明する。



『自分では気づかないんだろうな…


今まで何一つ崩れることのなかったジョーカーが、崩れ始めている


しかも内部からな

志保に大悟、敵だったはずのやつらが、いつの間にかおまえの味方だ』



『確かにそうなってるけどよ…』



『おまえはそんな力を持っているんだ


人を変える力…

他人を巻き込んで、そいつの人生を変えちまうようなほどの力をな!!』



『それが二つ目の理由…


でもよ、巻き込んでって…あんまいい気しねぇな…』



『そんなことないさ おもしろいもんだよ…


何の根拠もないのに、おまえの言葉には何か説得力がある

不思議な力さ…』



善の気持ちは複雑だった。

喜んでいいのか、バカにされているような気もして、怒ればいいのか…



『けっ!褒められてんのか、けなされてんのか分かりやしねぇよ!』



『悪かったな これでも褒めていたつもりだ


いいか善…おまえは“あれ”になるんだ』



『あれ…?』



座りこんでいたレトインが突然立ち上がり、手をあげて指を差した。


善がその先を見ると、そこにはちょうど昇り始めている太陽の姿があった。


海を明るく照らす、朝日。以前とまるで同じ光景だった。



善が見とれるように朝日を眺め、ぼそりと一言呟いた。



『太陽……』



『そうだ 太陽、朝日は“希望の光”だ

また今日が始まるんだ


そしてきっとまた陽は昇り、明日が来る…

明日があるから、今頑張れる 今を生きられるんだ』



『明日がらあるからか…そうかもな…

もし世界が今日で終わっちまうって言うなら…


何もする気失せるな

学校だの勉強だの、将来のためってずっと言われてきたもんな…』



『あぁ…よく人はどんな時でも、必ず明日は来るって言うけどな…


それは違うと思う

何もしなきゃ、明日なんて来やしない』



予想とは反するレトインの考えに、善は少し戸惑った。



『えっ…?そうなのか…?』



『あくまで俺の持論だがな


もし仮に何もせず、明日が訪れたとしても…

それは本当に自分が望んだ世界か?未来なのか?』



『そう言われると…自信ないな…』



『だから待っているだけじゃだめなんだ

自分で何とかしなきゃ、自分から動いて頑張らなきゃいけない


昇ってくる太陽を眺めているのだけではだめ…


善、おまえが“太陽”になるんだ

おまえが“希望”になれ!!』



こんなレトインは初めて見たかもしれない。レトインが熱く善に語りかけている。


善はその驚きもあったのか、キョトンとしてしまっている。



『俺が希望……』



『そうだ!!もしジョーカーが滅んだとしても…


また新たな第2のジョーカーが現れるだろう

だから普通に倒すだけでは、何も解決はしやしない…


変えろ…おまえがジョーカーを変えろ!!』



善は黙り、すっと立ち上がった。


果たして善にレトインの言葉は響いたのだろうか?

不安になり、レトインは善に確かめた。

 


『分かったか?善

俺の言っていることの意味が…』



『あぁ、分かったよ


レトインが俺のこと調べまくってる、ストーカー野郎だってことがな』



『おい!!善!!俺はふざけて…』



やはり届いていなかったのか、レトインが怒り口調で強めに善に言おうとする



だか、すぐさま善がレトインを制した。



『冗談だよ!


レトインがこんな臭せぇこと話すなんて、マジに決まってんだろ』



レトインはホッとした。

心配しなくても、善にはしっかりとレトインの気持ちが届いていたのだ。


善は朝日を見つめ直し、更なる決意を込める。



『変える 俺が変えてやる!!

ジョーカーもキングも…全部まとめて俺が変えてやる!!』



『あぁ!!』





決して語られることのない、善とレトインだけの二人のやり取り。


志保や大悟に隠す必要は全くないのだが、どうも説明するのがこっ恥ずかしくて


善は大悟に、今までどこにいたのか話すのを拒んだ。



「ん~大悟…

どこ行ってたって言われても…


大したとこじゃねぇよ まぁ気にすんな!」



「チッ…


(こっちはどれほど心配したことか…)」



説明のない理由が、大悟はもちろん理解できるわけもなく…

まったく腑に落ちなかった。


そんな不機嫌な大悟のまえを、レトインがタイミングよく横切る。


レトインがちょうど大悟の目の前に来たとき、大悟がそっとレトインに囁いた。



「信じていいんだよな…?おまえのこと…」



レトインは足を止め、大悟から感じる鋭い視線に、目を合わせず返した。



「何度同じ事を言わせるつもりだ


言ったはずだ 敵か味方は自分で判断しろとな」



そう冷たくあしらって、再びレトインが歩き始めた。

すると、大悟はすかさずレトインに声かける。



「信じるぞ 俺はおまえのこと


怪しいことだらけだがな」



「フッ…血相変えて善を探してたやつが、何バカなことを…



勝手にしろ」



大悟の本心ではないような、心のこもってない言葉に対し、レトインは少し笑ってみせた。


だが、次の瞬間にはいつもの冷たいレトインに戻り、大悟を突き放した。




善とレトインの消失により、善達と大悟に行き違いが起きてしまったが


大悟の嫌な予感は幸いにも外れ、メンバー全員が無事にそろった。


しかし、そう喜んでもいられない。

メンバーには決めかねなければならぬことがあったのだ。



志保が口火を切る。



「どうするの?善


3日後…キングに招待されているのよね…

答えは出たの?」



ライジングサンの一同は、キングの“リーダー”に招待されている。

この結論を出さなければならない。


危険を伴うため、さすがの善も慎重になっていた。

より慎重な考えの大悟が、その危険度を促す。



「向こうが何を考えているのかさっぱり分からんな…

これは罠かもしれんぞ…?」



善は静かに頷き、話し出す。



「実は、さっき2人と離れていた間、少し考えていたんだ


みんなに相談しないで、勝手に決めちまうのはどうかとは思うけど…


俺の中での答えは決まってる…」



どうやらレトインが志保と大悟から遠ざけたことが、ひとついいきっかけとなったようだ。


善にはゆっくり考える、いい時間が生まれていた。



善が勝手に決めてしまうことに、大悟は何の反論もしない。


大悟の気持ちはすべて善に預けている。

どんな結果でも、腹を決めているようだ。



「そうか ならば教えてくれ


俺達は善についていく」



善はみんなの顔を一通り眺めて、一度深呼吸をしてから伝えた。



「行こう

3日後 キングが待つところへ


待っていてはだめなんだ

動かなきゃ…進まなきゃ…


俺たちの 未来あしたは、俺たちで切り開く」







第43話 "Second Because"  完

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