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3BECAUSE  作者: Guru
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第41話「消失②」

想像だにしない話に、一同は驚いた。



「!!!

リーダーに会うだと…?」



志保は真っ先に嫌な予感が働く。



「ど、どういうつもりよ!?

それで私たちをおびき寄せて殺そうって気!?」



黒崎はゆっくりと首を横に振り、大きくため息をついた。



「どうやらあなた方は、私達のことをえらく誤解してるようですね


そんなつもりは毛頭ない

リーダーがあなた方に直接会いしたいらしくてね…」



どう説明されても、善は腑に落ちない。



「チッ…怪しいな…」



「さぁ、エーコ 例のものを」



黒崎に言われた通り、エーコは善に、ある一枚の紙を手渡した。



「ん!?これは…?」



「それはキングのアジトが書かれた地図です」



「!!!」



「その地図の示す場所に、3日後の夜10時 全員で来ていただきたい


そこに私とエーコ、そしてリーダーがいます」



善は渡された地図を眺めながら、考え込んでいた。



(アジトだと…?

そんなもん簡単に教えるか?フツー…


こいつは…罠か…?)


「ちょっ、ちょっと待て!!

話は分かったが…


まだ俺たちが行くとは決まったわけじゃないぞ!?」



善の発言を予想してたとばかりに、黒崎は答えた。



「分かってます だから3日後としたのです


考える時間が必要だと思いましてね」



どこまで用意周到だったのだろうか。

すべて善達の行動は、キングに読み通されていたかのようだ。



「話は以上です 

3日後 私達はその場所で待ってます


来てくれると信じていますよ



おい、エーコ帰るぞ!」



「わ、分かってるし…」



黒崎とエーコは、用件だけを伝えると、おとなしく帰る準備を始めた。



「いいのか…?呼び止めなくても…」



大悟が善に声をかけるが、善は沈黙を貫き、キングの二人を呼び止めることはしない。



善には突然の出来事すぎて、心の整理ができていななかった。

だが、もうひとつとして…


今やり合っても勝てない


そう、判断したからなのかもしれない。



結局、黒崎とエーコは自分達のアジトへと帰っていってしまった。



「い、行っちゃったわよ…あいつら…」



「あ、あぁ…

なんだかよく分からなかったな…


本当に話があっただけだったのか…?


それにしても善…

キングのアジト…あまりにも怪しすぎるな

行くつもりなのか…?」



大悟が善に尋ねたが、いつもならその場の感情で答える善も


今回はがりは、少し考えている様子だ。



「3日の時間がある


ちょっと考えさせてくれ…」



「あぁ…そうだな…」





“キング”



この組織のやることには、善達の理解のできないこと、不可解なことがいっぱいある…


しかし、それ以上に大悟には気がかりことがあったのだ。



それは…やはり…




レトインの存在だ。



(キング…確かに気になることばかりだが…


レトイン…何よりおまえの存在が今は一番厄介だ


仲間の中に、こんな謎だらけのやつがいることが、何よりもの不安…)



大悟は一人地べたに座り込み、考え事をし始めた。

レトインは一体何者なのか、ゆっくりと考え出す。


一方志保は、まだ思うように体を動かせず、体を休めている。



思えば、ライジングサンの一同は、ようやく体を休める時間が来たのだ。


ジョーカー四天王、キングとの連戦で、一切体を休める時間などなかった。



自然と各々が休息を味わう中で、レトインが善に近づき、善にだけ聞こえるように耳打ちした。



「善…………」



「えっ!?なんだよ…よく聞こえねぇって…」



善とレトインが話していることに、志保と大悟は気づいてない。


横になり目を瞑る志保。


そして黙々と一人で考え込み、一人の世界に入る大悟。

まるで周りの声など聞こえていない。



ひたすら考える大悟だが、大悟にはある一つの仮説があった。



(レトイン…おまえはなんらかの“リミテッド”だ…

それは間違いない…


以前、おまえは善に声を大にして言っていた…



“キングは相手にするな ジョーカーだけを気にしてろ”


とな…

俺はあの時からこの言葉がずっとひっかかっていた…

だから俺は思ったんだ…




“レトインはキングの一員

いや、もはやキングのリーダー”



そうなのではないかとな…しかし…



ならばなぜ、俺達とキングが戦っていたとき、戦いを止めなかった?


いずれ俺たちも邪魔な存在となるからなのか…?



だが黒崎は言っていた

“キングのリーダーに会って欲しい”と…


そうなるとレトインはキングのリーダーではないのか?

はたまた、レトインはキングとは全く無関係なのか……?



レトイン……

おまえは一体……)



止まることない大悟の推測。

ずっと一人考え込む大悟に、目を覚ましていた志保が声をかける。



「ねぇ!大悟……」



「………」



集中していた大悟には、志保の声が届かない。

それでも志保は大悟をしつこく呼んだ。



「ねぇ!!大悟ったら!!!」



「!!


な、なんだ!?」



ようやく声が聞こえ、大悟は我に返った。

志保が困まり顔をしている。



「いないんだけど」



「いない?」



「そうよ いないんだよね…

善とレトインがどこにも」



「!!!

なっ、なんだと!?


さ、探せ!!早く善を探すんだ志保!!」



突然慌て始める大悟。

志保にはその理由がよく分からなかった。



「何をそんな焦ってんのよ…

すぐ帰ってくるとは思うけど」



「いいから!!!早く善を探すんだ!!!」



「なんなのよ…分かったわよ!!」



志保にはさっぱりだったが、重たい体を動かし善達を探す。


大悟は慌てて駆け回り、走りだした。



(別に決まったわけではない…


だがレトイン…貴様は信用できん…

何が起きても不思議ではない…



どこ行った…どこにいる?善!!)





第41話 “消失”  完

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