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3BECAUSE  作者: Guru
40/131

第40話「消失①」

善は強大な火の力により、凍り付けになった志保と大悟の救出に成功する。


残すはキング・英子を倒すのみ。

善の目の色がガラリと変わった。



「あとはおまえだけだな 英子!!

覚悟しろよ…


志保を、大悟をいたぶってくれた分…

いや、利子がつくぐれぇ返してやっからよ!!!」






BECAUSEスリービコーズ


第40話

 「消失」







先程の氷一面とは打って変わって、今度は炎で包まれる。

物凄い熱気に、英子の額から汗が流れ落ちた。



(熱い…なんなんだし…この立ち上がる炎は…

これじゃ……



あたしの“アイスリミテッド”の能力が、まるで力にならないじゃん…)



善が作り出した“火炎地獄”


この技は志保達を救っただけではなく、キング・英子からの攻撃も、完全に防ぐ形となっていたのだ。


戸惑う英子の姿に、善も勘づく。



「はっはっは!

さてはてめぇ…攻撃できないな?


志保の水の力に対し、あんたの氷の力は相性バツグンだったみたいだが…


どうやら俺の火の力は、あんたの氷の力に相性バツグンらしいな!!」



「チッ……」



「反撃できないんなら…さっさと終わらせちまうぜ…」



そう善が言うと、善は片手を空高くあげた。


すると周りを囲っていた、いくつもの立ち上る炎は生き物のように動きだす。


炎は一ヶ所に集まり、勢力を上げながら、みるみるうちに肥大化していく。


この莫大な力を、英子にぶつけるつもりだ。



「よし…準備は整った…」



善が一呼吸おいた瞬間を狙って、英子がなんとか攻撃を防ごうと反撃する。



「させないし!アイスニードル!!」



無数の氷の矢を、善目掛けて放つ。

しかし…



「無駄だ そんなちっぽけな攻撃じゃ、なんの意味もねぇ」



熱気により、善の体に届くまえに氷は溶けてしまった。

大きすぎる力のまえに、英子はなす術がない。



「終わりだぜ!キング!!


くらいやがれ!!!」



善は巨大な立ち上がる炎を、英子に向かって放った。


英子は助かる方法を必死で考える。



(避ける…?いや、無理…


でかすぎるし…)



ボロボロの体になって観戦していた大悟も、思わず起きあがって叫んだ。



「いけぇー!!この一撃で終わらしちまえ!!!」



(無理じゃん…どうすることもできないし……)



英子は結局何もできずに、立ち尽くすしかなかった。

終わりを覚悟した。



英子に炎が触れる…

その直前…




ほんの直前の出来事だった。




「何をやっているんですか…あなたは…」



突然、謎の男が善達のまえに姿を現した。



「あ、あんたは…!!」



英子が声のする方を振り向いた瞬間。


そのわずかな時間で

“ある力”を使い、強大な力の立ち上がる炎を…




一瞬のうちにかき消した。



「!!!


な、なんだと!?


か…かき消しやがった…

あのバカでかい炎を…


こ、こんなことありえるのか…!?」



善は開いた口が塞がらない。

一体、今何が起こったのか…?


まだ理解できていない様子だ。



「助かった…助かったよ“黒崎”」



英子がほっと肩を撫で下ろす。

謎の男に向かって、“黒崎”と呼び掛け話しかける。



「クロサキ…?


(こいつ…こいつももしや、“キング”のうちの一人…?)」



善がそんな推測を立てている間も、余裕の表情で謎の男、黒崎は英子と会話を続けた。



「まったく…何をやっているのですか…“エーコ”


今日は話をするために来ただけのはず…

それなのにあなたと来たら…」



「仕方ないじゃん!!あっちから先に手出してきたんだし!!

あっちが全部悪いんじゃん!!」



「だからと言って…今あなたは完全にやられる寸前でした…


見張りに来といて正解でしたよ!」



英子のことを、親しくあだ名のように黒崎はエーコと呼ぶ。


どうやら黒崎もキングのメンバーの一人と見て、間違いなさそうだ。



しかし、善が驚いていたのはそんなことではない。



(なんなんだよこいつ…


今一体てめぇが何をしたのか分かってんのかよ…?

俺の最高の攻撃を、一瞬のうちに消しちまいやがったんだぜ…?


なのに、こいつのこの表情…

今のがまるで当然の如く、できて当たり前のような…


なんでそんな平然でいられんだよ…)



何事もなかったかのように淡々と話を続ける黒崎。


善は驚きと焦りを隠しきれないでいたが、先程の一瞬の出来事には、レトインさえも驚いていた。



(すごい…

これほどまでの力を持っているとは…)



恐る恐る大悟が、黒崎に話しかける。



「おい…さっきの攻撃…


貴様…貴様も“リミテッド”なんだな…?」



「!!

あぁ!失礼いたしました


申し遅れましたね

私はチーム・キングの一人



“黒崎 嵐”



“ストーム・リミテッド”


“嵐の力”



どうぞよろしく」



自己紹介がてらに、自分の名前や能力を自ら発信する黒崎。



「嵐…ってことはさっきの…


嵐の力で炎をかき消したってわけか!!??」



“ストーム・リミテッド”



一瞬にしてあの攻撃をかき消してしまう程の、強力な力。


大悟は嵐の力と聞き、リミテッドの圧倒的な力に納得した様子だったが…


それ以上に善は……



(こいつ…自分から能力や存在を明かしやがった…


なんなんだ…なんなんだよ!こいつのこの余裕は!!)



不気味で仕方がなかった。

黒崎の存在が恐怖でしかなかったのだ。


善が声を震わしながら、黒崎に尋ねる。



「もしかして…てめぇが“キング”の頭、リーダーなのか…?」



相変わらずの立ち振舞いで、何も隠すことなく黒崎が即答する。



「いや、私はリーダーではないですよ


リーダーは別にいます」



(!!!

こいつがリーダーじゃない…?


ってことは、リーダーは更に上…)



どんどん黒崎、キングの存在に恐怖を覚える善だったが、その善の表情を見て感じ取ったのか


黒崎が優しい口調で語りかけた。



「しかし…本当に申し訳ないですね…

みなさん…


うちのエーコがみなさんに手を出してしまって」



突然の謝罪に、一同は唖然としたが、エーコは黒崎につっかかる。



「だから……


悪いのはあっちだって何度も言ってんじゃん!!」



「今更どちらが悪いとか、先に手を出したとか、どうでもいい話…


私が今日来た本当の目的は、ライジングサンに話があったからなのです」



エーコの言葉を一蹴し、黒崎はメンバーに話をもちかける。


体をまだ十分に動かすことのできないでいる志保も、耳を傾けながら聞いていた。



「そんなことあの女も言ってたけど…


話って、なんなの…?」



「そうよ!だから初めっから言ってたじゃん!


あんたらライジングサンに話があるって…

なのにこのバカ女が手だすから…」



「なんですって!?」



またエーコと志保が言い争いを始めようとしたところで、黒崎が仲裁に入る。



「やめなさい エーコ

この任務はあなたではなく、私が行くべきでしたね」



呆れ気味の黒崎に、大悟が改めて聞き直した。



「貴様…本当に俺たちを潰しに来たわけじゃないんだな…?」



「えぇ だからさっきから何度も言ってるでしょ?


ここまで言って、もしそれでも私達と戦うというのなら…

相手になりますよ?


“ストーム・リミテッド”は、あらゆる能力に相性がよく…

あなた達の能力すべてに相性がいい


それでもやり合いたいと言うのなら……」



黒崎のスイッチが入ると察した善が、慌てて黒崎を止める。



「わ、分かったよ!話せよ!!

話を聞くよ!!


(チッ…どうもこいつとは、能力以前に人間としての相性が悪いぜ…)」



その声を聞いて、にっこりと黒崎は笑って肩の力を抜いた。

どのかその笑顔は、嘘臭く見える。



「ありがとうございます

分かってもらえたのならいいのです


私達が今回ライジングサンの全員に会いに来た理由はただ一つ…



あなた達に会って頂きたいんですよ…

“キングのリーダー”に」




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