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3BECAUSE  作者: Guru
3/131

第3話「襲いかかる恐怖」

善は背後に“何か”の気配を感じ、後ろを振り返ると…


そこには志保が睨みつけて立っていた。






BECAUSEスリービコーズ


第3話

 「襲いかかる恐怖」






「あれっ…?さっきの女の子…」



「………」



(ん…?なんか怒ってる…?)



「橘善 見せてみなさい あなたの“力”を!!」



「力…?なんの話??」



すると突然…善のまえにあった、マンホールから水が吹き出してきた。



「うわっ!!なっ、なんだ!?」



「何のことか分からないのなら…私が分からせてあげる」



志保は右手を挙げ、手のひらを善の方に向ける。



「……?」



善があっけに取られた次の瞬間


志保の右手からもの凄いスピードで“水”が光線のように放たれた。



「!!!」



善の顔をかすって通り過ぎ、後ろのブロック塀に当たり、ブロック塀は粉々になった。


もし顔に当たっていれば、ひとたまりもない。



「次は…当てるわよ?」



何が起こったのかさっぱり分からないまま、とにかく善は逃げた。



「なっ…なんだこいつ!!!」



「待ちなさい!橘善!」



逃げる善を追いかける志保。



「はぁ…はぁ…


(どうなってんだよ!?あの女の手から水が出てきた!?

なんなんだよあいつは!!人間かよ!!)



さすがに走れば善の方が足は速かったが、なかなか振り切ることができない。




「おい!!おまえ!!こっちに来るんだ!!」



誰かの声がどこからか聞こえた。



「あ…あんたは!!」



その声の主は、朝、善に不吉な予言をした長身のフードをかぶった男だった。



「こっちに来い!隠れるんだ!」



その男の言うとおりに、わき道に隠れる。



「み、見失った…どこに行った!?橘善」



なんとか志保を振り切ることに成功したようだ。



「はぁ…はぁ…助かった…」



疲れきってうつむく善に、フードをかぶった男は言った。



「どうやら…誘いは断ったようだな」



「!!!」





『誘いは決して受けるな 絶対受けてはならない だが断れば…


おまえは殺される』




『あなた、私たちのチームに入る気はない?チーム“ジョーカー”に』



『ジョーカー…?


わりぃな そーいった話か 俺パス!俺いいわ!そんじゃぁな』




(確かに俺はあの女から誘いを断った…そしたら俺は命を狙われるはめに…)



考えこむ善に、男は言う。



「断ったなら…それでいい」



「よくねぇよ…」




感情を抑えきれず、善は怒りをあらわにしながらフードをかぶった男の胸ぐらをつかんだ。



「こっちは本当に死にかけたんだぞ!?いいわけねぇだろうが!!」



男は善の手を軽く振り払った。



「そんなこと、俺に言われても困る」



「あんた一体何者なんだよ!?本当に全部あんたの言った通りになったじゃねぇか!!


しかもなんだよ…あいつの変な力は…」



「………」



「なんか知ってんだろ…?俺がなんで命を狙われてるか!!あんたなら分かってるんだろ!?」



男は一呼吸おいて、ゆっくりと答えた。



「おまえが命を狙われている理由か…


あぁ 知っている」



「や、やっぱり!!教えてくれ!!頼む!!」



「それはおまえが“リミテッド”だからだ」



「リミテッド…?なんだそれ…?もっとちゃんと教えてくれ!!」



「俺がおまえにその理由を教えることは構わないが…


これから話すことを、おまえが全部信じるかどうかは分からんぞ 橘善」



「!!!


(こいつも俺の名前を…

もしかしてあの女とこいつはグルか!?)」



「なんだ…?知りたくないのか?」



(いや、迷ってる暇はねぇ!今はとにかく情報が欲しい…)


「頼む!!教えてくれ!!俺が命を狙われる理由…“リミテッド”とは何なのか!!」



「分かった いいか…よく聞け

これから話すことは、全部現実だ それを忘れるな」



「あぁ……」



「橘善…数ヶ月前、おまえの家は火事になったな…?」



「!!あぁ!よく知ってんな…」



「その火事のとき、おまえは………」







逃げた善を見失ってしまい、志保は途方に暮れていた。

そしてまた携帯を手に取り連絡した。



「すみません…橘善を見失ってしまいました」



「まぁいい…やつには一度チャンスをやろうじゃないか

もういい志保 帰ってこい」



「分かりました」




志保が電話を切った直後、悲鳴とも言える叫び声が聞こえた。



「うわぁぁぁ!!!」



その声は明らかに善の声だった。

志保も誰の声だかはすぐに分かった。



「気づいたようね…自分の持つ“力”に…

まぁいいわ…あなたには一度チャンスをあげる」



そう言い残し、志保は電話をしていた謎の男の元へと帰って行った。





「チッ…バカやろうが…大声出してどっか行っちまいやがって…

またあの女に見つかったらどうするんだ…」




フードをかぶった男から“真実”を知った善は、男の前から逃げ去っていた。




(ウソだ…ウソだろ…あいつの言ったことなんかウソに決まってる…)



善は地べたにうずくまり、ひたすら考え込んでいた。



「いた!こんなとこにいたか…」



逃げ去った善をやっとのことで見つけたフードをかぶった男。



「現実を受け入れられないでいるのか?橘善」



「受け入れるとかの問題じゃねぇ!!おまえが言ったことは全部ウソだ!!

そうに決まってる!!」



「違うだろ善…ウソだと“思ってる”ではなく…

ウソだと“思いたい”だけなんだろ?


おまえだって自分の目で見たではないか…

いや!自分で“その力”を示したじゃないか」



「うるせぇ!!!黙れ!!!」


(ウソなんだろ…なぁ…ウソだろ…?

そう言ってくれよ…なぁ…親父…)






第3話 “襲いかかる恐怖” 完

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