第27話「発動②」
一方、ジョーカーは、着々と四天王発動の準備が整いだしてきていた。
ジョーカー・ジンは四天王アヤネに期待の言葉をかける。
「アヤネ…とうとう明日だな」
「えぇ 本当に長く感じましたよ
この2日間…」
「さぞ待ちくたびれたことだろう
明日、楽しみにしてるぞ!アヤネ!」
「はい 必ずやジンさんのもとに吉報が届くでしょう
私が負けるわけがありません!」
「はっはっは!そうだな、おまえが負けるはずがない!
(さぁ…見せてみろ 橘善 貴様の力を
そして…レトインだったか…?
この危機をどう回避してみせる!?レトイン!!) 」
そして…
四天王発動の日。その日が訪れる。
3日間、全く動きを見せなかったジョーカーが、ついに動き出す。
この日は、善たちも朝から雰囲気が違った…
独特の空気…言葉ではうまく説明できない、何かがいつもと違う気がする。
『もしかしたら今日動きがあるのでは…?』
ライジングサンの全員が、不思議と何かを感じ取っていた。
そして、日も暮れて太陽は姿を消す。
代わりに現れたのは闇と交える、不安に恐怖。
静かな足音と共に、一人の女が善たちの前まで歩み寄る。
善もすぐに分かった。この女がジョーカーの一員だと。
「あら、志保に大悟…久しぶりね…
すっかり橘善のお友達になっちゃって」
ライジングサンVSジョーカー・四天王
意外にも静かに始まった。
善もいつもとは違って、落ち着いている様子だ。
「もうこいつらは、橘善のゆかいな仲間たちなんかじゃねぇぞ…
“ライジングサン”
俺たちはてめぇらを倒すために生まれたチームだ」
「ライジングサン…?何それ…?
初めて聞いた名前だけど?」
「あぁ…3日前に作ったばっかだ
てめぇが俺たちチームの第一号の相手
そんで第一号の屍になる
歴史に残るぜ?光栄だろ?」
「歴史…?そんなもの生まれないわよ
あんたら全員ここで死ぬんだからね」
「けっ!!なぁ…あんた…
“四天王”なんだろ…?」
「あなた…私が四天王のつもりで、さっきのふざけた冗談言ったの…?」
「あぁ…まぁ冗談じゃねぇ…それが現実になるんだがな」
「ふふ…あなた本当に面白いわね…
この技を受けても…まだそんな冗談言ってる余裕はあるのかしら?」
ドン!!
アヤネは、背中に背負っていた大きなバッグ…
いや、ケースを地面に置いた。
そして、中からあるものを取り出した。
「!!!
ギター…?エレキギター!?」
「さぁ…死ねやてめぇら!!
全員あの世に送ってやるよ!!!」
アヤネがさっきまでとは、全くの別人のように豹変した。
ついに戦いが始まった。
そのアヤネの目つき、表情を見て、みんな一斉に構えだした。
善がファイヤー・リミテッドの力で
“イフリートソード”を。
志保がウォーター・リミテッドの力で
“アクアウィップ”を。
大悟がグランド・リミテッドの力で
“グランドセイバー”を。
一気に、3人が即座に武器を作り出した。
そこで突然、レトインがバカでかい声で叫んだ。
「信じろ!!自分を信じろ!!
惑わされるなよ!!!!」
「……?だから意味がよく…」
四天王・アヤネは、すぐさまギターを弾き始めた。
「さぁさぁさぁ!もっとテンション上げな!!」
「一体…何が始まるって言うんだ…?」
すると、まず大悟が異変に気付いた。
「!?ん…?
なっ、なんか…」
またレトインの叫ぶような、でかい声が響きわたる。
「善!!危ない!!!」
「えっ!?」
善がレトインに呼ばれて振り返ると…
もの凄いスピードで“何か”が善の頭めがけて向かってきた。
「おわっ!!!」
善がギリギリのところで、その何かをかわす。
そして、その物体がなんだったのか、確かめてみる。
「!!!
お、おい!大悟!てめぇ何しやがる!!」
善に飛んできたその“何か”とは、大悟の武器“グランドセイバー”だった。
「大悟!おまえどういうつもりだよ!?」
「いや、すまん…何だか無性に腹が立ってきてよ…」
「腹が立ったからだって!?ふざけんな!
そんな理由で俺に斬りかかってくるんじゃ…
ねぇよ!!!」
そう怒りながら言っていると、善は知らず知らずのうちに大悟に向かって剣を振り下ろしていた。
キン!!!
大悟が大剣で、善の攻撃を受け止める。
「き、貴様こそ何しやがる!!!」
「えっ…いやぁ~…つい…」
「ついで済む問題かぁ!!!」
「いいから落ち着けおまえ達!!」
レトインがまたもや声を張り上げて、二人を止めた。
ここで志保が感づく。
「も、もしかして…これも全部あの女のせい!?」
アヤネはニヤついて、見下すようにして言った。
「気付くのがほんと遅いねぇ…
私の力のまえでは、何もかもが無力!!!
“サウンド・リミテッド”
音の力さ!!!」
第27話 “発動” 完




