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3BECAUSE  作者: Guru
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第26話「発動①」

ジョーカー、キングの消滅を目的とするために作られたチーム



“ライジングサン”



ライジングサンを結成してから、2日の時が流れた。




「今日も来なかったな…ジョーカーの連中…」



「あぁ……」



これまで頻繁に襲撃してきたジョーカーの動きが、ぴたりと止まった。


今までが連戦となるくらいに、ジョーカーから即座に刺客が次々と送り込まれてきた。



そんな傾向がみられていただけに、これだけ動きがないことが


善たちにとっては、かえって不気味に思えるほどだった。



「それにしてもおかしいわよね…


以前は、ほとんど間髪いれずに新たな刺客が送り出されていたと言うのに…

何があったっていうのかしら…」



「それと…あれから“キング”のやつも姿を見せないな…」




ジョーカーとは別の、善たちのもう一つの敵“キング”。


キングも“謎の女”が善の視察に来たのを最後に、一向に姿を見せていない。



「一体どうしちまったって言うんだよ!


せっかくこっちはチーム・ライジングサンを作って、やる気満々だってのによ!


来るなら早く来やがれってんだ!!」



善の軽はずみな発言に、さすがにレトインも聞き逃せないようだ。



「バカ野郎 来ないに越したことはない

何事もなく過ごせるのが一番だろう」



「それが逆に不気味だっつーの。

こんなんじゃ夜もオチオチ眠れやしねぇ!


どうせいつかは戦うんだ

やるなら早めに終わらせてぇーよ俺は」



「………

まぁ、それもそうかもな」



ここで、一人ずっと考え込んでいた大悟が話し始める。



「今回ばかりは、ジンの野郎が何を考えてるんだかさっぱり分からん…」



ジョーカーに長く滞在していた大悟に、志保は聞いた。



「ジンと付き合いの長いあんたでさえも、よく分からないの?」



「あぁ…俺が善の抹殺命令を下されたのは、善が志保との戦いを終えた直後


疲れきった善を始末するといったやり方だった。


しかし…すでにもう俺を送り出してから2日もたっている…

ジンの当初の考えは、一体どうなった…?


やつが何を考えているのかが全く分からねぇ」



「そうよね…あれから2日もたてば、傷も癒え、メンタルも十分回復する


こちらが好条件になっていく一方だわ」



ジンの考えを全くもって理解できず、困惑する志保と大悟。


そんな中、レトインが言い出した。



「今となってはもう、そのような手段を取る必要はなくなったんじゃないか?」



「えっ…?」



「疲れきった相手を倒す

そんなものは、明らかに汚い手口だ


そのような姑息な手を取る必要は、もうなくなったのかもしれない」



善は不思議そうにレトインの話を聞いていた。



「じゃあ…ジョーカーが正々堂々と戦うつもりでいるってことか?」



「正々堂々…そう言えば聞こえはいいが…


ジョーカーのジンは、きっと遊んでるんだ

俺たちと」



「遊んでる…?」



「そう…



『俺に勝てるかな?』


『俺のが強いんだ』


まるで子供の考え

自分のが力が上だと、俺たちに見せつけたいんだ」



「何よそれ…どれだけふざけてるつもりなのよ!」



これはあくまでレトインの仮説に過ぎないが、大悟も妙に納得してしまっていた。



「今までは、あくまで勝ちにこだわったやり方だった…

いや、負けというリスクを減らす戦い方と言うのが正しいか


善が強力なリミテッドの使い手になるまえに、あらゆる手段を取って善を確実に潰す


それが以前のジンのやり方だった…


だが、今ジンが欲しいのは、ジョーカーの存続といったものなんかではなく…



“価値のある勝利”



リミテッドの力を開花し始めている善を、どう料理し、いかにして倒すか…


そういうことか!?」



「推測にすぎんが、そうなのかもしれん…

やつは…


俺たちと、この命のかけあいを楽しんでやがるんだ」






BECAUSEスリービコーズ


第26話

 「発動」






「私たちとの戦いを楽しんでるですって!?


ふざけんじゃないわよ!

こっちは命がけで食い止めようとしてるっていうのに…」



怒りをあらわにする志保に対し、善はレトインの説に、まんざらでもない様子で、どこか嬉しそうだ。



「まぁまぁ!落ち着けよ志保!


用は才能を開花し始めてしまった、この俺がジンを倒しちまえばいいってわけだろ?」



そんな調子に乗る善に釘を刺すレトイン



だったが……



「調子に乗るな善!!


と、言いたいとこだが…


それもあながち間違った考えではないかもな

これは俺たちにとってはチャンスとも言えるぞ」



「チャンス…?」



「そうだ

善を倒してしまいたいなら、ジン本人が出向いて善を倒せばいい


恐らくそれが一番確率が高いのだろう

しかし、手下を使ったりするまでもか、今となっては勝負を楽しんだりしている


そんな悠長なことをやってる間に、善が強くなり、ジンを越える力を身につける…

これほど俺たちにとってのチャンスはないぞ!!」



レトインの発言に、大悟も心の中で賛同していた。



(確かにな…レトインの言う通りだ

もし今、ジンが直接俺たちを殺しに来たら…


間違いなく終わる…俺たち全員が力を合わせても恐らくな…

そう考えると、これは大きなチャンスなのかもしれん!!)



先程まで気の抜けていた善も、どうやらやる気に満ち溢れてきたようだ。



「おっし!!なんだか俄然燃えてきた!!


俺たちを見くびったバカジンを、ぶっ潰しちまおうってわけだな!!」



「善…張り切るのはいいけど、恐らく次なる相手は“四天王”


大将じゃないからって、甘く見れないわよ?」



どこまでもお調子者な善に、不安を覚える志保。

しかし、それでも善は闘志むき出しで、やる気全快だ。



「分かってるって!何が来たって負けやしねぇ!!」



その善とは裏腹に、一人怖い顔で、レトインをじっと見つめている大悟がいた。



(レトイン…やはりこいつは、相当頭がきれる人物だ


冷静沈着で、的確に事を捕らえ、次なる目標を迅速に割り出している


だが…驚くとこはそこじゃない…


いくらあいつの頭がいいからって、ジョーカー・ジンの思考…

そんなものまで分かるわけがない


けど…あいつが出した推測は、なぜか俺も納得してしまっていた…

幼稚なジンの考えそうなことだ…


レトイン…貴様は一体何者なんだ…?)




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