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3BECAUSE  作者: Guru
24/131

第24話「ライジングサン①」

ジョーカーから送られた強力な刺客、大悟。


善は志保・レトインの協力を得て、見事打ち破ることに成功した。



そして、その大悟が善達といっしょに、ジョーカーを倒す味方となってくれたのだった。


そんなジョーカーにとっての悪い知らせが、リーダー・ジンの耳へとすぐさま連絡が入ってきた。



「ジンさん…ご報告が…」



「なんだ?どうした?」



「橘善の抹殺へと向かった、大悟が…


やられました」



「なんだと!?そんなバカな…


戦力的に確実に大悟が上…負けるわけがないはずだ…」



「それが…志保が善の加勢をしたという情報がありまして…」



「!!!

志保め…橘善に命を救ってもらって、情でもうつったか!?」



「それまでもか、今度は大悟まで善といっしょにいるという話が…


例の大悟の人質の件…

志保が全てをバラした模様です」



「チッ…どこまで余計な真似をするつもりだ…」



第一の刺客、志保が善に敗れることは、ジンの計算の内に入っていた。


しかし、次なる刺客の大悟の敗北…



これはジンの想定外の出来事であった。


善と大悟にあった、あまりにも大きな力の差。

大悟が負けるはずはない。



だが、それも元ジョーカーの志保によって狂わされてしまった。


ジンは志保を支配することで、手中へとおさめていた。

それは単に志保をチームに拘束させていたにすぎない。



大悟の敗北は、そんな非情な事態が生んだ結果であり


ジョーカーは、自分で自分の首をしめる形となってしまったのだった。



大悟の能力に、とても相性のいい志保。

それでもジンには、まだ合点のいかない様子だった。



(おかしい…いくらなんでも、志保が加入しただけで、大悟が負けるわけがない…


やはり、人質の妹が死んでいることを証されたのが響いたのか…?)



「それとジンさん もう一つ、ご報告が…」



「黙れ

俺は今考え事をしているのだ…


これ以上騒ぐのなら、貴様…」



「も、申し訳ございません!


しかし、これは重要な報告かと思いまして…」



「重要な報告…?何だ 言ってみろ」



「はい…先程説明した通り、橘善に志保と大悟が味方に加わったと伝えましたが…


その他に、もう一人“謎の男”がいるという情報がありまして…


その男、レトインと名乗る男のようなんですが…」



「レトイン?誰だそいつは?何者だ?」



「いえ、それが一切素性の分からない男で…


どうも話によると、志保もこのレトインの存在により、敗れたと言われています」



「なんだと?そんなやつがいたなんて話、初耳だぞ…?」



「すみません…


その人物は、やたらリミテッドやジョーカーのことに詳しく

橘善に色々とアドバイスを送っているようです」



「!!!

リミテッドやジョーカーに詳しいだと…?」



その話を聞いて、ジンは何かを察した。



「待てよ…そうか…“あいつ”か


あいつが橘善のそばにいると言うのか!!

これはおもしろくなってきたぞ!!


おい、アヤネを呼んで来い」



「アヤネ様!?ついに“四天王”を…


は、はい!ただいまお呼びして参ります!」



ジョーカーの下っ端は足早に去り、ジンのまえにアヤネを呼び出した。



「何でしょうか?お呼びですか?ジンさん」



「アヤネか

次はおまえの番だ 橘善を葬り去って来い」



「やっと私の番ですか…待ちくたびれましたよジンさん


では、ただちに橘善の抹殺に取りかかります」



ジョーカー四天王のアヤネは、早々に善のもとへと向かおうとしたが、ジンはアヤネを止めた。



「いや、待てアヤネ


3日後だ あと3日待っていろ」



「えっ…私の準備は万端です


いざと言うときのために、いつでも行けるよう仕上げてあるんですが…」



「いいんだ 今は行かなくていい」



「………


そうですか 承知いたしました」



やる気満々のアヤネも、ジンには逆らえない。


おとなしくジンの要求を受け入れ、ジンのまえから立ち去った。



一人になったジンは高笑いして喜ぶ。



「はっはっはっは…まさか“あいつ”がなぁ…


これは楽しみになってきた!

実に楽しませてくれるじゃないか、橘善!!」






3BECAUSE 《スリービコーズ》


第24話

 「ライジングサン」






強敵の大悟を倒せた一つの要因の、あの“奇跡”とも呼べる雨もすっかり上がり


辺りは次第に明るくなり始め、夜の世界が終わりをつげようとしていた。



「そろそろ夜明けか…

なんだか今日は散々な日だったぜ…」



善にとっては、驚きの連続であり、いくつもの波乱を巻き起こした一日だった。




まず、敵であるはずの元ジョーカー・志保が、レトインと共に舞い戻ってくる。


この時点で、善の頭の中では意味不明。



そして、新たなリミテッドの組織“キング”の存在…


もう善の頭は限界突破。理解不可能の状態に陥った。



それからジョーカーの大悟が味方になるなど、様々な出来事が起きていた。


善の頭がついていけなくなるのも無理はない。



それともう一つ…善の限界を突破していたものがあった。それは…




腹減った…



「おい…もうジョーカーの四天王だとか、キングだとかの話はどうでもいいよ…


まずメシ!腹減って俺はもうだめだ…

レトイン!メシをくれーー!! 」



「あぁ!そうだったな 忘れてた

今出してやるから、あまり騒ぐな!!」



レトインはパンパンになった重い荷物を降ろす。



「早くレトイン!メシメシー!!」



エサを与えたペットのように、飛び付くように寄ってくる善。


善だけでなく、大悟もお腹が空いてたのか、喜んでいる様子だ。



「助かるぜー!俺もちょうど腹減ってたからな」



レトインがビニール袋から食料をすべて取り出した。



「えっ…これっぽっち…?」



そのあまりの量の少なさに善は驚いた。

人数四人に対し、明らかに量は少なく足りてない。


不服そうな善を見て、レトインが言い訳する。



「仕方ないだろ!

俺と善の二人の予定だったからな


まさか四人に増えるとは、あの時は思うまい…」



「ふざけんな!こっちは楽しみにしてたんだぞ!!

どれだけ俺がメシの時間も心待ちにしたことか…」



「知るか!!文句言うな


おまえがむやみに動けないから、俺がわざわざ買ってきてやったというのに…

そんな文句言うなら、善にはやらんぞ!!」



完全に善が圧されている。


このままでは分が悪い善だが、謝るのが嫌いな善は簡単には引かない。



「あーいいよ!分かったよ!それなら俺はいらねぇよ!

今から自分の足で買いに行って……」



“いらない”の一言を耳にした大悟が、ふて腐れている善に言った。



「いらないのか…じゃあ全部俺たちでもらっちゃうか」



「そうね


てかもうほとんどあんたの分はないけどね!」



「えっ……!?」



善とレトインが言い争っている隙に、大悟までもか、志保まで先に食事を始めていた。


善が気付いた頃には、もう半分くらいすでにない状態だ。



「ひでぇぞ!おまえら!!

何勝手に先にメシ食ってんだ!!」



大悟が口いっぱいにご飯を頬張る。



「まだまだ甘いな!善!

どの世界でも戦場だぞ?メシの世界でもな」



レトインが食料を手に取り、嫌み満載で善に言った。



「まぁ、いらないって言うんだから…

気にすることはないだろ!」



善はあたふたし、ようやく自分の立場をわきまえ非を詫びた。



「い、いや、全部冗談だから!


ごめん!!俺が悪かった!!」



それでも容赦なく、手を止めない一同……



「だからごめんって、許してよ!!


待って!残して…

俺の分も残して~~!!!」




善の雄叫びがこだまする。 魂の叫びが響き渡った。




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