表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3BECAUSE  作者: Guru
23/131

第23話「もう一つの闇②」

大悟が味方に加わり、明るい雰囲気となりそうではあったが…


現状、そういうわけにはいかなかった。

明らかに志保の表情は暗かった。



「どうしたんだ?志保?こわばった顔して…」



今まで気を失っていた大悟には、先ほどまで何が起きていたか分からない。



「現れたのよ…ここに“キング”が」



「!!!

キングだって!?」



大悟の反応を見て、善も志保の考えが正しかったのではないかと思い始める。



「やっぱり…そんなやばい集団なのか!?」



「善…知らなかったのか!?キングを」



「さっき知ったんだよ

レトインのバカが、今まで黙ってやがったからよ!」



「そ、そうだったのか…なら説明が必要ってわけだな

よく聞いておけよ 善」



レトインと違い、どうやら大悟はキングについて詳しく話してくれるようだ。



「キング…こいつらはジョーカー同様、リミテッドのみで集められたチームだ


こいつらはジョーカーを敵視している

ジョーカーを潰すのが目的と言っても過言ではないかもしれん」



「なんだ…俺達と考えはいっしょじゃん!」



「どうかな」



「えっ!?」



「キングは、もちろんジョーカーのように、世間の明るみに出ようとはしてこない


だが、ジョーカーとは根本的に違うところがある


ジョーカーは、数々の犯罪行為を繰り返し“悪”を貫き通している…


しかし、キングは…

リミテッドの力を使いながら“正義”と唱え続けているんだ」



「正義!?へぇ~…いいやつらみたいじゃねぇか!」



そう善が感心していると、志保が不服そうに言った。



「正義ねぇ…私にはそんなふうにはとても感じないけど…」



「えっ!?そうなのか?」



志保と同じく、大悟も頷き、話を続けた。



「あぁ…正義とは言うものの…

あいつらのやってることは、間違いなく“悪”だ


リミテッドの力を使って、世の中の犯罪者と呼ばれる者を…

やつらはためらいもなく殺す!!」



「なっ!!!殺すって…」



「リミテッドの力は強力だ まず普通の人間では太刀打ちできない

それをいいことにな…


犯罪者なんて、そんなやつらはこの世にいない方がいい だから殺してしまう…


それがあいつらの語る正義だ」



キングの思想を知って、善は思わず激怒した。



「それのどこが正義なんだ!!

ふざけるな…人を殺してるおまえらも、同じ犯罪者じゃねぇか…


そんなことにも気づかないのかよ!!」



「同感だ

だが、無差別に悪行を働くジョーカーよりは、だいぶマシかもしれんがな」



キングについて色々詳しく説明する大悟に、レトインがつっかかった。



「キングについて…やたら詳しいな」



「あぁ…実は以前俺は、キングにスカウトされたことがあってな

当然そんなのは断ったが…


最終的にもっとタチの悪いジョーカーに目を付けられ、妹を人質にとられて

やむを得なくジョーカーに入ることになってしまったんだがな…」



「そうだったか…それでそんなに詳しく…」



「キングも確かに悪い連中だが…

やつらが敵視しているのは、世の犯罪者と、犯罪組織であるジョーカー…


だからキングは、俺たちが手出ししない限り、向こうも襲っては来ないかもしれん」



そう大悟は推測したが、志保が反論した。



「いえ…キングの一員の女…


善を狙ってたのよ…偵察に来たとか言ってね…

安心できる保証はないわ」



そんな不安な気持ちを志保はもっていたが、善には…



「どっちだって関係ねぇ…


許さない 許さないぞ俺は

ジョーカーも…キングも…」



「善……」



善にとっては、すでにキングは敵。

ジョーカー同様、壊滅せねばならない組織のリストにあがっていた。



しかし、相変わらずレトインは…



「フン…いいんだよキングは…

黙ってジョーカーだけ見とけば」



それでもまだ、意見を曲げることはしなかった。



「まだ言ってんのあんた!いい加減にしなよ!」



また志保とレトインの言い争いに発展するところだったが、善がレトインに告げる。



「レトイン…キングはもう俺達の敵だ」



「………


勝手にしろ」



呆れた表情を見せたレトインは、これ以上、口を出すのをやめた。


レトインを庇ったわけではないが、大悟が自分達の置かれる立場を考えて話した。



「どちらも敵には違いない

キングも注意しておく必要はあるが…


今はジョーカーにピントを合わせておくってのは、あながち間違いではないかもしれん


きっとこれから先…あいつらが動き出す…


ジョーカーの“四天王”と呼ばれるやつらが」



「そうね…四天王が動き出す可能性は高い

そうなるとかなり厄介になるわね…」



「四天王…

けっ!何でもかかってきやがれ」



ジョーカーに長く滞在していた大悟だけに、ジョーカーの内部にはかなり詳しい。


それを先程からのやり取りで感じ取ったレトインが、今までずっと謎であったことを大悟に尋ねる。



「大悟…ずっと気になっていることがある…


ジョーカーは…なぜジョーカーは犯罪行為を続ける?

その理由…ジョーカーにいたおまえなら、その理由が分かるか?」



「………

理由か…正直それは、俺にも謎だ



と、言っても、理解できないって意味の謎だがな」



意味不明の難解な大悟の発言に、レトインが首をかしげる。



「ん!?どういうことなんだ?」



「ジンさん…いや、ジンはこう言っていたんだ…ジョーカーの存在意義は…



“復讐”



だってな


そいつが誰に対するもので、何に対してなのか、さっぱり分からなかった」



「復讐…か…」



それを聞いたレトインは、納得いったのか、いかないのか、どちらか分からない…


どちらのニュアンスも取れるように一言、呟いていた。





ジョーカー…そしてキング。


新たなもう一つの敵が、善達のまえに現れた。



このキングの存在が、後の善達を、大きく揺れ動かし、波乱を巻き起こすこととなる。







第23話 “もう一つの闇” 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ