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3BECAUSE  作者: Guru
22/131

第22話「もう一つの闇①」

「ジョーカーじゃなきゃ、残るはひとつしかないでしょ…



“キング”」



(キング!?それって一体!?)






BECAUSEスリービコーズ


第22話

 「もう一つの闇」






善は聞いたことのない名前に、戸惑いを見せていた。



「キング!?なんだよそれ…どういうことだよ?」



「!!!

あんた…本当に分かってないの!?


ちょっと!レトイン!」



「………


善には“キング”のことは、何も話していない」



まさかのレトインの発言に、志保は動揺する。



「!!

なんでこんな大事なことを…」



「大事なこと…?そんなに重要なことなのか?」



「当たり前じゃない!


“キング”


ジョーカー同様、リミテッドのみで構成されたチームよ」



「!!!

なんだって!?


(リミテッドのチームって、ジョーカーだけじゃなかったのか!?)」




善がリミテッドとなって、どれくらいの時が過ぎただろう。


過去二回。善はチーム・ジョーカーと、命がけの激戦を繰り広げ、乗り越えてきた。



ジョーカーを倒すこと…壊滅させること…


善はそれを目標に、レトインに協力し、共に行動してきた…



しかし、リミテッドのチームはジョーカーだけではなかった。



なぜ教えなかった?なぜ話さなかった?


善はレトインに対する怒りが、ひしひしと込み上げてきた。



「おい!レトイン!!

なぜ今まで話さなかった…なぜ隠してきた!?」



善はレトインの目の前まで詰めより、不満を爆発させた。



「キングだ…?そんなの今初めて聞いたぞ!!


なんでそんな大事なことを、ずっと黙っていやがった!!」



レトインは熱くなる善を軽くあしらう。



「別に隠してたつもりはない…


第一、おまえに一度たりとも聞かれはしなかった


『ジョーカー以外にも、チームはあるのか?』


などと言ったことはな

だから俺はおまえに説明する理由がない」



「なんだそりゃ…なんだその理屈は!!ふざけんなよ!!


知らなかったんだから、質問のしようがねぇじゃねぇかよ!!

こういうことは、まず先に話しておくことなんじゃねぇのかよ!?」



「あまり熱くならないで

落ち着きなさい 善」



志保が善をなだめた。

しかし、志保にも疑問は残る。



「けど…まさかキングの話を、まるでしてなかったなんてね…


一体どういうつもりだったの?レトイン」



「………


いいんだよ キングは」



呆気にとられた善が、レトインに聞き返した。



「えっ!?いいんだよって…?」



「俺たちが注意しなければならないのは、ジョーカーだ

ジョーカーのリーダー、ジンだ


キングはどうだっていい 善が気にする必要はない

だから話さなかったというのもある」



「どうだっていいって…キングは放っておくつもりなの!?」



「あぁ 相手にする必要はない


善…キングのことは一切気にするな

おまえはジョーカーと戦うことだけ頭に入れておけ」



極論を言うレトインに、慌てて志保が訂正する。



「そ、そんな!だめよ!

キングにも一目置いておくことは必要よ!」



レトイン、志保の二人の意見が完全に割れている。


何を信じればいいのか分からない…善は一人取り残された。



「おいおい…一体どっちの言うことを信じればいいんだよ…

俺にはさっぱり分からねぇよ!!」



「キングには注意すべきよ 決して間違っていないわ!!


何せ、キングのリーダーは、リミテッドの中でも“最強の能力”と、うたわれる力を有しているのよ!?」



「さ、最強の能力だって!?」



「そんなやつを野放しにしてていいはずがない!!


何を考えてるのか知らないけど、レトイン…あなたはおかしいわ!!」



「………」



リミテッドのみで構成されたチーム・キング



このキングを危険視する志保…


キングは相手にするなと、唱えるレトイン…


どちらを信じていいのか、何が本当なのか、うまく事をつかめていない善…



互いに意見は食い違い、話はヒートアップしていた。


そんな中、水を差すように、ある一人の人物が声をあげる。



「あぁ~あ…なんだよ…でかい声出しやがって…うるせぇな…」



やつが目覚めた。

善達に敗れ、気を失っていたジョーカー・大悟が意識を取り戻したのだ。



「!!大悟!?」



三人の熱は一気に冷めた。

いったん話は止めて、注目は大悟に集まる。




「痛ててて…動かすと体が痛てぇや…」



「大丈夫か!?大悟!?」



「俺をこんな目に合わせた張本人が、大丈夫かって!?

変な話だな…


なぁに、こんぐらいじゃ俺は死にやしねぇよ!」



「そりゃよかったぜ


おまえにはこれから、俺たちといっしょにジョーカーを倒すのを手伝ってもらわなきゃなんねーんだからな!


まさかやっぱ嫌だとか言いやしねぇよな?」



大悟は少し嬉しそうに応えた。



「バカ言え…俺がおまえ達に負けたら、俺はおまえらについていく…


そう“約束”しただろ?今更なにを言ってんだ」



「へへっ!そうだったな!


まぁ実際かなりラッキーだったけどな!

雨さえ降らなきゃ、俺達の勝ちはありえなかった」



「俺だっておまえが志保と戦って、疲れきったところを襲ったんだ

正々堂々というわけじゃなかった…


今度はおまえが万全の時に、また戦ってみたいもんだな」



「そん時は、また勝たしてもらうぜ!」



「よく言うぜ…志保の力がなきゃ、何にもできなかったくせによ!」



「なっ、なんだとー!!」



なんだかとても楽しそうに話す二人。


傍観者の志保とレトインには、二人がまるで昔からの仲のよい友人であったかのように映っていた。



「なんなのよ…あの二人

すっかり打ち解けちゃって…


さっきまで敵同士だったのが信じらんないわ…」



「昨日の敵は今日の友ってやつかな」



「いくらなんでも急接近しすぎ

よほど馬が合う二人だったのかしら」



ジョーカーの一員として、やりたくもないことを脅されながら続けてきた大悟。


理不尽な“約束”でさえも、姉との誓いを胸に、決して破ろうとはしなかった。



そんな頑なな大悟を、善が変えた。

善のすべてを込めた拳で。


難しい言葉などはいらない。

その拳にはすべてが詰まっている。



そのおかげで、大悟も真っ直ぐな自分になることができた。


姉の誓いも…妹の想いも…

大悟は背負って生きていく。



自分が行きたい方へ。進みたい方へ。

一歩前に足を踏み出して行けばいい。




「これからよろしくな!大悟」



「あぁ ジンを相手にするんだ…

おまえらだけじゃ大変だろうからな!俺も加勢する!」



土井 大悟。

生真面目な彼が、善と打ち解けた瞬間だった。




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