第14話「突きつけられた真実①」
数分前。
(まずい…どこにいる…善…
この辺のはずなんだが…)
善の下へと駆けつけていたレトイン。
その時…
『!!!
あ、あれは!!』
急ぐ中、レトインは何かを発見した。
レトインが見た先には…
『志保じゃないか!!
なんで志保がこんなところに…』
志保がいたのだ。
数時間前に決着をつけたばかりの、ジョーカー・志保の姿がそこにはあった。
『!!
あ、あなた…善といっしょにいた…』
志保もレトインの存在に気づいたようだ。
『チッ!!もしや復讐に来たか!?
(この急いでるときに…なんてタイミングが悪い…)』
『急いで!!話してる時間なんてない!!』
『!?ど、どういうことだ!?』
『今、橘善がジョーカーに襲われて、大変な目にあってる!!
早く…急がないと!!』
(こ、こいつ…?善を助けに来たのか…?)
『これは一体どういうことだ!?さっきまでおまえは俺達とは敵で…』
『いいから!!早く!!善を死なせたいの!?
早く助けに行くわよ!!』
『あ、あぁ…!!』
こうして、突如出くわした志保とレトインは合流した。
善の心配をする志保…
一体何が起きたのか理解できず、困惑しているレトインであったが…
実はこの時、レトインだけでなく、志保も困惑した状態にあったのだった。
(この男…なんでなの…?明らかにこの男は…)
この時、感じた志保の疑問…
この疑問も、近いうちにすべて解けることになる。
3BECAUSE
第14話
「突きつけられた真実」
「遅くなったな 善」
「ホントだよ!待ちくたびれたぜ!!
それにしても…」
善は志保の方へと目をやった。
「どういう風の吹き回しだ?志保…
俺を助けるだなんて…」
「あんたには借りがあるから」
「……?
借りだぁ…?」
「本当は死ぬはずだった私を、あなたは生かしたのよ…
そんなこと頼んだつもりはないのにね!」
「それは悪かったな!俺が……」
善がふてくされた表情を見せようとしたが、志保は間髪入れずに言った。
「でも、今は……
生かしてくれたことを感謝してる」
「志保……」
「だが、そいつも今となっては何の意味もないぜ!志保!」
今のセリフを聞いていた大悟が、話に割って入った。
「リーダーからおまえを抹殺するように指令が下ってる
結局、おまえはここで死ぬことになるんだよ!!」
「なんだって!?
抹殺って…おまえら仲間なんだろ!?」
大悟の発言に善は驚いた。
しかし、志保は何の躊躇もなく答える。
「いいのよ 善
ジョーカーってのは、そういう組織だから」
「マ、マジかよ…」
それが当然との如く、受け入れられるジョーカー
その存在に、善は更に恐怖を覚えた。
大悟は意気揚々と言う。
「まさかおまえの方から俺のところにやってきてくれるとはな
こりゃ探す手間が省けたぜ!!」
志保は深くため息をついた。
「相変わらずね…大悟…」
そして、志保は善を静かに呼んだ。
「ねぇ…善…」
「ん!?」
「救ってよ…あいつのこと…」
「救ってって…いったい…」
「あいつだって、やりたくてこんなことやってるんじゃない…
目を覚まさせてやってよ…
私の目を覚まさせたくれた、あの時のようにさ!」
「!!
やりたくてやってるんじゃないって…
(そーいや、さっきこいつ“事情”がとか言ってやがったな…)」
善と志保の会話を、耳にしていたレトインが黙々と喋り始めた。
「“土井 大悟” 21歳
7、8年ほど前、家族旅行に出掛ける
その際、地震により引き起こされた土砂災害に巻き込まれ死亡
だが、2つ離れた姉が代わりに死亡し、リミテッドとなる」
知るはずもない素性を暴かれ、大悟は動揺する。
「!!!
お、おまえ…なんでそれを…?
さてはおまえがレトインだな…?
なるほど…俺達のことは何でも知ってるんだな
確かにこれは驚きだ」
大悟の問いかけには一切反応せず、レトインは話を続けた。
「後に、おまえはジョーカーの一員になる…
ある一つの“条件つき”でな」
「条件…?」
善がレトインの言葉に、耳を傾ける。
「条件と言うべきか…何と言うべきか…
こいつには姉だけでなく、妹も存在するんだが…
その妹が、ジョーカーの人質に捕らえられてる」
「!!!
人質だって!?じゃあ…もしかして…
ジョーカーの言うとおりにしなきゃ、妹の身が危ないって脅されてるってわけか!?」
「どうやらそのようだな」
どこまでも知り尽くすレトインが、大悟は不思議でたまらなかった。
「チッ…一体どこでその情報を手に入れたことやら…」
同じジョーカーにいた志保
大悟とは以前から親しく、大悟の事情をよく知っている仲だ。
(そう…大悟には人質の妹がいる…
私は知っている…こいつは本当は悪いやつなんかじゃない
でも、すべて大事な妹のために、やむをえなくやっていることなんだ…)




