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3BECAUSE  作者: Guru
130/131

第130話「友」

長きに渡ってきた善の戦いが今、終わりを迎えようとしている。



「俺がおまえを倒さなきゃ…


俺が勝たなきゃ意味がないんだ!!!



もう終わりにしよう 全部


親父のためにも、レトインのためにも



おまえを倒して俺はこの先を生きていく!!!」






BECAUSEスリービコーズ


第130話

 「友」






善とジンはエレクトの奥義


“リミテッド・ブレイク”を発動させた。


持っている力、互いにすべてをぶつける気だ。



もう善もジンの攻撃を受け止めようなんてことはやめた。


ジンの閉ざされた心の扉を、なんとかこじ開けることはできたが


いくら言葉で伝えても、深すぎる心の奥底までには到底届きそうにない。



あとはもう “拳” で伝えるしかない。





一切緊張を抜くことはできない



両者一歩も譲らぬ攻防が続いた。



「はぁ…はぁ…」



善は二つのエレクトの力を身につけ強くなったが…


決してエレクトの力を操ることがうまくなったわけではない。そこは変わらない。


すぐに善に疲れが見え始める。



しかし……



「はぁ…くそっ…なぜ、なぜ体がうまく動かない…」



それ以上にジンは疲れていた。

ジンの体は、とうに限界を越えていたのだ。


エレクトの力を使いすぎ、体が言うことをきかない。


こんなに険しい、苦しそうな顔を人前でジンが見せるのは初めてのことだろう。



「エレクトの力を極めた俺は無敵なはず…


こんなことはありえるはずがない…!!」



すでに限界のジンを動かすものは、もはや己のプライドのみ。


善に言われたことを認めたくない、信じたくもない。それだけが原動力だ。



そんなジンであったが、嫌でも感じざるをえなかった。

ひしひしと肌で感じる……




(なぜだ…なぜ橘善の一挙一動に…





“あいつ”を感じるんだ……)




レトインの存在に。




それから驚異的な粘りをジンは見せたが


とうとうジンはエレクトの反動に耐えきれなくなり、膝を地面につけた。



「善!!チャンスだ!!!」



善は右手に雷の力を宿す。


この絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。



「終わりだ!!ジン!!!!」



善はレトインの想いと魂込めた拳を


ジンに全力でおみまいした。




「ぐっ……くっ……



この俺が……負けるわけがない……


まだ終わってない…復讐は!!


俺は神に選ばれた!愛されたんだ!!そんな俺が……


負けるわけがねぇ!!!!」



ジンは善の全力の攻撃を受けても、なお踏みとどまった。

意地でも倒れることはしない。


善は手を緩めない。

今度は左手に火の力を宿した。



「いい加減目を覚ますべきだ!!ジン


おまえは神に愛されてなんかいない!!


おまえを愛した人は……



もっと身近にいるはずだ!!



気づけよこの想い……




うぉぉぉっっ!!!!」



善は雷と火の力が宿る、魂が込もった拳を


何度も何度もジンにぶつけた。


がむしゃらに、力の限りに。雄叫びをあげながら。




「おぉぉぉっっっ!!!!




届け……届いてくれーーー!!!」





何発も拳をもらったジンの意識は今にも飛びそうだ。



意識がもうろうとしていたジンの頭の中には


走馬灯のように過去の様々な記憶が飛び交っていた。






『今日はジン様のお誕生日


好きなもの何でも買ってあげなさいと、ご主人様に言われております』





(なんだこれは………)





『ジン様…残念ながらそちらはお金で買うことはできないのです


でも心の優しいジン様ですから

きっと大丈夫ですよ!』





(なんで昔の記憶が…今……)





『すごい!ジン!尊敬しちゃうなー


私もジンみたいにうまく扱えるようになりたいな!』





(!!!



レイ………)





『さすがはジンだ!おまえにはかなわねぇな!


なぁまた俺にも教えてくれよ!』





(トウマ………)






善の言うことは…“あいつ”が言うことは…



本当だったのか…?



俺は………







一人になるのが寂しかっただけなのか………?





だから……か…



だからなのか…………





『ジン!!おまえは何てことをしてくれたんだ…!!


なぜレイを殺した!?なぜレイを殺す必要があったんだ!!!』





あの時も………





『やりましたね!ジンさん!トウマは死んだ!


あとは橘善とその一味を倒すだけ!!



……?ジンさん……?』





あの時も………





そして、今も………





だからなのか………








俺が泣いているのは………





こんな意地を張り続けた俺のことを、ずっと助けようとしてくれてたのか……





『俺のことは “ジュン” そう呼んでくれ!』





ジュン……おまえはずっと………





『俺達は同じ力、同じ気持ちを共感することのできる仲間だ 同志なんだよ!!』



『……………』



『えっ?何?ボソボソ言ってて、よく聞こえないよ


もう一度言ってくれないか?』



『“友達“になってくれるのか……?



俺が……おまえに協力するのなら……』



『何言ってるんだ!当たり前じゃないか!!



俺達は “友達”だ』






親の愛を知らずに育ったジンは気づくことができなかった。



ジンは今までたくさんの“愛”をもらっていたことに……



ジンは時遅くして今、ようやく気づくことができた。


善の魂込めた拳によって。





二階堂 仁は



未だかつて見せたことないほどの安らかな表情で




そっと目を閉じた。






第130話 “友” 完

※次回、最終回です。

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