表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3BECAUSE  作者: Guru
128/131

第128話「心の叫び①」

『来てくれてありがとう!嬉しいよ!



俺のことは “ジュン” そう呼んでくれ!


それで、君の名前は?』



『ジンだ…』



『ジン君!よろしくね!』



『ジン そう呼んでいい』



『そう?じゃあそう呼ばせてもらうよ ジン


いや~今まで大変でさ!冷やかしや勘違いした偽物ばかりで…


こうして本当の“不思議な力”を持つ者にやっと会えた!


俺達は同じ力、同じ気持ちを共感することのできる仲間だ 同志なんだよ!!』



『……………』



『えっ?何?ボソボソ言ってて、よく聞こえないよ


もう一度言ってくれないか?』






BECAUSEスリービコーズ


第128話

 「心の叫び」






善はレトインに秘められた名前の想いをジンにぶちまけた。



「おまえを今でもレトインは“仲間”だと思ってたんだぞ!!!」



ライジングサンの一同も初めて知った、レトインの名前の意味。



「レトインの名前にはそんな意味が込められていたのか」



大悟は感心した様子でいたが、それでもジンには何も響かない。



「そんなの知るかよ!勝手に仲間だと思い込んでただけだろ!


うんざりしてるんだよ 昔の過去には!

俺にはもう一切関係ない!!」



「そうか……残念だ


まだ分からないか…レトインの想い



分からないなら…教えてやるよ!!」



善は一度寂しそうに肩を落とすも、今度は感情を爆発させる。


リミテッド・ブレイクを発動した。


善の体は炎と雷、両方に包まれた。



二つのエレクトに覆われた善の姿を見て、ジンは笑う。



「やはり何度見てもリミテッドはおもしろい!


貴様に与えたはずの傷は何ひとつ残ってない」



リミテッドから甦った善の体は、ジンの攻撃を受け、ひどくやられていたにも関わらず


まるで何事もなかったかのように、きれいさっぱりなくなっていた。



「なぁに…また貴様をさっきと同じように殺すだけ!!


もう一度あの世へ送ってやるよ!!」



ジンも善に負けじと、リミテッド・ブレイクを発動させた。


度々、ジンの体は光り、炎に包まれる。



出し惜しみ一切なしの全力勝負。


いや、できるわけがない。手を抜こうものならやられる。


お互いが肌でそう感じ取っていた。



「サンダーボルト!!」



まず先に仕掛けたのは善。


ジンは瞬時に反応し、火の力を放つ。

雷の力と火の力は衝突し、相殺された。



(もうサンダーリミテッドの力を扱ってやがる…


やはりこいつのリミテッドとしての才能はただ者ではない)



ジンは改めて善の素質を知らしめられるも、驚いている暇はない。


今度はジンが攻める。善に向かって拳を突きだした。


すると善も対抗して、同じく拳を出す。

リミテッドの力に続き、拳と拳が衝突する。


衝突と同時に爆発が起こり、二人の体は吹き飛ばされた。



「善…!!」



「だ、大丈夫だ!!」



吹き飛ばされた善はすぐさま起き上がり、間髪入れずジンに立ち向かう。


善は右手に雷の力を発しながら、もう一度右手を前へ出した。



善に遅れてジンが立ち上がった。


目の前まで善の拳が迫り、回避できなかったのか、真っ向勝負を受ける形でジンも再び拳を突き出した。


度々爆発は起こり、まるでリプレイを見ているかのようにして、二人は同じように吹き飛ばされた。



いつもならすんなり回避するはずのジンが、拳で受けた。


そんなジンの行動に、大悟が引っ掛かった。



(ん…?今のジンの動き……)



ジンの様子がおかしいと大悟が察するも、それはすぐに形となって現れる。



「はぁ…はぁ…くそっ…」



明らかにジンに疲れが見え始めている。


やはりレトインの読みは当たっていた。

エレクトの力が無限なはずがない。



そのジンに対し、一度敗れはしたが新たにリミテッドとなり復活した善。


善は雷の能力も手にし、力はみなぎっていたが…


この対照的な状態にして、ようやく互角の勝負となっていたのだ。



「やっぱりあんたは相当強い…


だけど今度こそ絶対に負けるわけにはいかねぇ!!


レトインの分も俺が生きてくんだ!!」



ジンは善のこの前向きな発言が、心底気にくわなかった。



「何があいつの分もだ!



認めろよ!死んだんだよ!

貴様が今ここで死のうが、生き延びようが


あいつはもういない!何も変わりやしねぇ!!

失ったものは二度と取り返せないんだよ!!」



「失ったものは取り返せない…?



それはおまえ、自分の話か?ジン!!」



「なんだと?何を知ったような口を…」



この悪魔のようなジンにも、痛いほど分かっていたのだ。


ジンも善達と変わらない同じリミテッド

大切な人を失って、辛さを味わった、その一人である。


今の善にはそのジンの心の奥底に眠る本心が、手に取るように分かっていた。



「だから分かるんだって


レトインの気持ちが伝わるんだ…

今の俺には分かるんだよ」



「はっ!レトインの気持ちが伝わる?


死んだ人間が話すとでも言うのか?くだらねぇ!!


今すぐにでも、そのくだらねぇ冗談を言えなくしてやるよ!善!!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ