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3BECAUSE  作者: Guru
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第122話「越えていく②」

そんな嫌な流れを変えるかの如く、“あいつら”が善達のもとへとやってきた。




「善!レトイン!!


そんなしけた顔するなよ!!」



その声のする方を振り向き、善は驚いた。




「!!!


大悟!!!」



黒崎を撃破した大悟達が、善達のまえに姿を現したのだ。


善は驚きと共に、生きて帰ってきた仲間の存在に喜んだ。



「あたし達、嵐に勝ったんだし!


あとはあんた達だけ!残るはジンだけだし!!」



「エーコ!!それに……」



やって来たのは大悟とエーコだけではない。


エーコの肩を借りて、ボロボロになりながらもなんとかして歩く、志保の姿がそこにはあった。



「志保!!おまえまで!!」



「ちょっと聞けし善!ありえないのよこいつ


あたし達が必死に戦ってたってのに、こいつ寝てたのよ?許せないし!」



志保が命がけで善の危機を救ったことなど知るわけもないエーコ。



「あのね、私にもあのあと色々あったのよ!何も知らないくせに…」



もはや志保に言い訳する元気も残っていない。



大悟とエーコは、黒崎を倒したあと、すぐさま善とレトインのもとへと向かっていたが


その途中、力尽きて道端で寝ていた志保をたまたま見つけ、合流していたのだ。



「志保…!!よくもさっきは邪魔してくれたな!!」



ジンは志保を見るやいなや、忘れかけていた志保への怒りがまた甦った。



「善達を殺した後はどのみち貴様らも殺すつもりだったんだ


自ら出向いてくれるとは、探す手間が省けた

よくものこのこと俺のまえに出てこれたものだな!!」



殺気立つジンに、臆することなく大悟は強く言った。



「構いやしない

善とレトインがやられればすべては終わり


殺したいなら殺せ…!

俺達だってそのくらいの覚悟はとうにできてる!!」



「フン…生意気な しかし、まさかおまえ達ごときに嵐がやられるとはな


こればかりはさすがの俺も計算外だ」



黒崎の実力だけは認めていたジン


その黒崎が負けるはずないと思っていた。どうも合点がいかない。



「東條が来てくれたんだ

あいつがいなきゃ俺達も危なかった…」



「東條!!!あの野郎……」



志保、大悟 そして手助けしくれた東條


これらすべては元ジョーカーのメンバーだ。



みなジンの恐怖に怯え、ジョーカーとして活動していたに過ぎなかったが


ジンは自らの部下の手によって、ジョーカーを壊滅状態に追い詰められた形となってしまっていた。



この突然の吉報は、善とレトインに漂っていた、どんよりとした空気をガラッと変えた。



「あとは善 あなたがジンを倒すだけよ!



帰ろう あの場所へ!!」



「志保……」



善はみんなに勇気をもらった。

しかし、何一つ不利な状況は変わりやしない。



それなのに善は笑った。



なぜなら、志保がエーコの肩を借りて寄り添って歩いているのを見たからだ。


あんなに仲の悪かった二人なのに、引っ付いて歩く様はなんだか滑稽に見えた。



「あいつら!ははっ!!」



笑いを溢す善に、ジンは苛立ちを覚えた。



(こいつ…なぜこの状況で笑っていられる?


ふざけているのか…なめやがって…)



ジンは侮辱された気分だった。

怒りのおさまらないジンは、善をその怒りの感情のままに殴りかかる。



すると、善はその動きを見切ったかのように、ジンの拳を手のひらで完全に受け止めた。


そしてお返しとばかりに、ジンを殴り返し

ジンは炎に燃え上がりながら吹き飛ばされた。



突然の善の動きのよさに、ジンは慌てふためいた。



「な、なんなんだおまえは…さっきまで俺の動きにまるでついていけなかったはず…


それがど、どういうことだ…?一体何が起きている…?」



ジンが驚くの無理はない。


初めは手も足も出ないどころか、ジンの揺さぶりにやられ、善は一度自分を見失う。


そこから立ち直り、力を増し、ジンに本気を出させた。


そして今度はそのジンの本気と渡り合えるレベルまで善の力は上昇している…




ジンが動揺を見せていたのは明らかだった。


それに気づいたレトインが言った。



「ジン これが“橘善”だ



誰かを守ろうとする度に強くなる…


そして戦いの最中にも強くなっていく…



これが善という男


善はこの戦いの中でもっと成長し、おまえを越えていく!!」



「俺を越えるだと?そんなことはありえない…

だが……」



ジンは少し黙り、小さな声で言った。



「橘善 こいつを次の世代と託した気持ち


分からなくもないかもな…」



ジンもいよいよ善の素質を認めた。悔しいが認めざるをえなかった。



「それでもまだまだだ!!まだ俺に勝つには早すぎる」



レトインがすかさず反論した。



「違うだろ おまえは『いつか善に抜かされる』



そう思ったから、今この頂上決戦を作り出したんだろ!

まだまだ発展途上の善なら勝てる今のうちに!!」



ジンはレトインの言葉を聞いてうつ向いた。


数秒間黙ったあと、ジンは顔をあげ、笑みを見せながら答えた。



「さすがはレトイン!やはりおまえは頭がキレる



当たり前だ 俺が負けちゃ意味がねぇ


俺が勝つから面白いんだ!死んだら何も残りはしないだろう!!」



あのジンが自分を認めた…善も自信満々になり強気に出る。



「俺はもうおまえの動きについていける!


なのに何の根拠があるってんだ!今ここで俺はおまえを倒す!!」



「根拠か…ならば見せてやろう


これこそが……“エレクト“の真の使い方だ!!」



そうジンが叫ぶと、ジンの左手にあるマークは強く光り輝いた。



エレクトの奥義


“リミテッド・ブレイク”



一瞬にして、ジンの体は全身炎に包まれた。






第122話 “越えていく” 完

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