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3BECAUSE  作者: Guru
121/131

第121話「越えていく①」

ジンの顔つきが変わった。

9年前に起きたレトインとジンの決闘。


当時の苦い記憶がレトインに甦る。



(ジン…本気だ…!!


善の目覚めにより、どうやらジンを、とうとう本気にさせてしまったようだ…)



ジンの本気の怖さを知るレトインは息を飲んだ。






BECAUSEスリービコーズ


第121話

 「越えていく」






ジンは両手に作り出していた、火の剣の放出を突如やめた。



「ん!?なんだ?丸腰で来るのか」



善が戸惑いを見せるも、ジンは静かな声で答えた。



「あぁ これが本来の俺のスタイルだ


言っただろ?剣なんて今日初めて使ったと」



昔の自分達を思い出すように、レトインが当時の事を語った。



「そう…俺らがよく集まって研究していた9年前

 

その時はリミテッドの力で武器ができるなんて知りもしなかった


なにせ、その必要性もなかったしな


元々俺が創ったジョーカーは暗殺集団じゃない!

武器を作る必要もなかったんだ!」



呆れるようにジンが目をつぶりながら首を振る。



「昔話はもういいだろ…?十分だ……




かかってこい 橘善!!」



そして、ジンはカッと目を見開き、善を睨み付けた。



臨戦態勢のジンを見て、再度善は気合いを入れ直す。

善は火の剣を両手に作り出し、得意の剣術でジンに立ち向かった。


武器も何も持たないジンに、容赦なく斬りかかるつもりだ。



「まずはその火の剣…封じさせてもらう」



ジンは向かってくる善に対し、即座に蹴りの素振りをした。


その蹴りは目にも止まらぬ速さで、異常なほどまでに速い蹴りは “風圧“を巻き起こす。


あろうことか、その風圧で善の手に持つ剣の燃え盛る炎はフッと消え、一切の力を失った。



(なにっ!!蹴りの風圧で火が消された!?そんなばかな…)



丸腰で飛び込んだのは善の方だった。


不意を付かれた善に、ジンは強烈な蹴りの一撃をかます。


善は吹き飛ばされ、炎で燃えながら地面に叩きつけられた。



「ぐわっ…!!」



叩きつけられた善はゆっくりと立ち上がるも、動揺を隠せずにいた。



「はぁ…はぁ…

な、なんださっきの攻撃は…!!


これじゃ…俺の火の剣が使えねぇ…」



善の主な攻撃は剣によるものだ。

それが封じ込められたとなると、善にとってはかなり分が悪い。


焦り続ける善に、レトインが声をかける。



「よく考えろ 頭を使え善


やつの動き、キレが悪くなれば先程みたいなことは不可能


それに、攻撃する直前に火の剣を出せばいいはずだ

ずっと剣を出しっぱなしで突っ込むからそうなる」



「た、確かに……」



もっともなレトインの意見に、素直に納得する善。



以前、ジンのことをよく知るレトインや大悟は、ジンを幼稚な男と例えたことがあるが


決してジンは頭が悪いわけではない。



身体能力、リミテッドの素質、それに加えて高い頭脳も持ち合わせている。


だからこそジンは、ジョーカーのこの地位を築くことができているのだ。



「ここからは俺ももうおまえに助言してやれる余裕はないぞ、善


あとは自分で考えて行動しろ!

俺達が力をうまく合わせなければジンに敵いはしない」



「あぁ!!分かった!

俺だってもう足手まといになんかなりやしねぇ!!」



本気となったジンに、レトインも善の心配をしている余裕はない。


隙を見せれば、自分もやられてしまう。レトインは身を引き締めた。


二人のやり取りを聞いていたジンは、この状況を楽しむかのようにして笑った。



「はっはっは!二人で来ようが俺には勝てないがな!

絶望を思い知るがいい!!」



にやけた表情のまま、今度はジンから攻撃を仕掛ける。


高い身体能力から繰り出される蹴りの攻撃に、リミテッドの火の力が加わる。


ジンの蹴りの軌道には火花が散り、触れるものすべてを焼き尽くす。



ジンの素早い攻撃にレトインも対応しきれず、レトインも善同様に、燃えながら吹き飛ばされた。



「ぐっ!!


くそっ…


(ここまでの強さとは…


善が見違えるような動きを見せ、これでようやく対抗できると思ったのだが……)」



想像の何倍もの強さを見せるジンに、レトインも半ば諦めムード…


二人に重たい空気が流れる。

ジンの力のまえに圧倒され、立ち尽くしていた。




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