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3BECAUSE  作者: Guru
119/131

第119話「あの海の見える場所①」

エーコの最大限まで溜めた“絶対零度”をくらった黒崎。


勝負は見えたと思われたが、氷付けにされながらも黒崎の闘志はまだ消えてはいなかった。



「まだ…まだだ!!まだ終わらねぇ!!」



「氷にひびが!!や、やばい…


このままだと氷付けになるまえに壊れされちゃうじゃん!!」



黒崎の嵐の力により、黒崎の身を包む氷にひびが入る。


信じがたい光景を目の当たりにし、エーコは慌てふためいていた。



「うそ……うそでしょ!

あたしの技が破られるわけないし!!」



エーコ同様に、勝利を確信していた大悟も焦りを見せる。



「エーコ!なんとかしてくれ!!


もう一度、黒崎が動けない今のうちにもう一発かますんだ!!」



大悟がそう言うも、エーコは下をうつ向き黙り、一切動こうとはしなかった。



(大悟…もう無理……



あれは今までずっと力を溜めてきた最高の一撃……


もうその時間もメンタルも、残ってない……)




この一撃にすべてをかけてきた。

エーコは体力も気力もすべて使い果たしていた。


エーコは完全に諦め、目を閉じた。


黒崎が氷を破壊して脱出し、エーコと大悟は終わる…


このままエーコが目を開けることは、もうないのだろう……




エーコは死を覚悟した。








その時だった。



まさかの救世主は、ここしかないというタイミングで現れた。





「あいつの動きを僅かの間、止めればいいのでしょう?

私には容易い話







“ストップ”」





そう謎の男が言うと、嵐の力を使っていた黒崎の動きが完全に停止した。


もう開くことはないと思われた、エーコの目がゆっくりと開いた。


そして、その目でエーコは謎の男の方へと視線を向ける。



その救世主の正体は…………






「東條!!!」





東條だ。


元ジョーカー四天王 時の力を操る


東條 時宗 の姿がそこにはあった。




願ってもない突然の東條の出現に、大悟は驚きを隠せないでいる。



「なんでおまえがここに……」



「私がエレクト同士の争いに参加するのはあまりにも無謀


来るならこちらに来た方が賢明かと思いましてね

どうやら来て正解だったようですね!」



そう涼しげに語る東條だったが、ここでようやく黒崎にかかっていた時の魔法が解けた。



「東條!!!てめぇ!!裏切りやがったな!!!」



時の呪縛が解かれたと同時に、怒号を飛ばす黒崎。

完全に氷付けになるまであと僅か…


残すは顔のみとなってもなお、黒崎は怯まない。




「裏切り…?何を言ってるんですか…




私は昔っからあなたのことが大嫌いでね!!」



「おまえ!!許さんぞ!!おまえなんかジンさんに殺されちまえば…………」




そう最後まで吠え続けながら、黒崎の体は完全に氷付けになっていった。

もう黒崎が動くことはない。



「勝った…!!勝ったんだ!!あたし達!!」



今度こそ勝利を確信したエーコは、がくりと膝を落とし、喜びのあまり、泣き出してしまっていた。



「あ、ありがとう!東條!


あ、あんたが来てくれなかったら、い、一体どうなっていたことか……」



泣きながら話しているため、エーコはうまく話せないでいる。


傷だらけの大悟も笑顔を見せ、東條の肩をポンと叩いて冗談を言った。



「最後おいしいとこ持っていきやがって!


来るならもっと早く来てくれよ!何度死にそうになったことか……



けど、本当に助かった!

どういう風の吹き回しか知らねぇけどな」



「何を言ってるんですか…


“あの時”…私を生かしたのはあなた達ですよ…?」




そう、東條がライジングサンに敗れた時…



善の意向により、東條の命を奪うことはしていなかった。

敵であるはずの東條を生かしたのだ。


それは決して、東條を味方につけようといった考えではない…


リミテッドの命の痛みを知る善に、“どんな命でも奪わない”という信念があったからだ。



東條はその時に救われた恩を返したに過ぎない。



「借りっぱなしは癪ですから…


これで貸し借りなしですからね!

それともうひとつ……」



東條はどこか遠く、一点を見つめた。

不思議そうに大悟が東條を見る。



「ん……?」



「見てみたくなったんですよ


抗うもの達の執念で作り出す 未来をね」




その東條の見つめる先には



きっと“あいつ”がいるのだろう……





ジョーカーも残るは最後の一人


二階堂 仁 ただ一人




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