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3BECAUSE  作者: Guru
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第118話「サイン③」

エーコはヒントをもらおうと、その苦しそうな大悟を見つめる。

やはり大悟は下をうつむき、一向に顔を合わせようとしない。


そして、とうとう大悟は最後の力を放った。



「ノックアップグランド!!


(気づいてくれ…エーコ!!これが正真正銘の最後の力…頼む……)」



幾度と見た光景。地面は爆発し、土煙が立ち上がる。


黒崎は力を溜めていない、もう片方の手でリミテッドの力を使って土煙をまいた。



「この煙が消えたが最後、大悟、エーコ!!


おまえ達の敗けだ!!!」



煙が晴れると黒崎は大悟の姿をとらえる。



(待て…慌てるな もう大悟に避けるほどの体力はない


肝心なのはエーコ

どこだ…どこにいる…?)



黒崎は辺りを見渡した。しかし、エーコの姿はどこにも見当たらない。



「ど、どこにいきやがったエーコは!?」



あの冷静沈着な黒崎が焦りを見せた。


その一瞬のスキを見た大悟が叫んだ。



「今だ!!やれエーコ!!!」





「ここよ 嵐!!」



先程まで姿をくらましていたはずのエーコが、黒崎の背後の“下から”飛び出るようにして現れた。



「“絶対零度“!!!」



エーコの溜めに溜め続けた左手は、黒崎の肌に直接触れた。



「し、しまった……!!!」



黒崎は氷付けのカウントダウンが始まった。



姿を消したエーコ そして突如姿を現し、背後をついたエーコ


一体何が起こっていたのか……?




黒崎をターゲットにせずに、ひたすら地面の爆発を引き起こしてきた大悟


何も大悟は適当に力を放っていたのではない。すべては計算つくされていた。



答えは“下”


地面の中にあったのだ。



大悟の攻撃により、地面にはくぼみができており、一見地面の上からは分からないが


地面の下には空洞を作るように、穴が空いていたのだ。


土の力を操る大悟にしかできない芸当だ。


空洞を作るのも決して簡単なことではない。何度も何度も、時間と回数を重ね、なんとか作り出した代物。


大悟の忍耐力と耐久力がなければ、完成することはできないだろう。

 


土煙が舞い上がり、黒崎の目眩ましをしている間にエーコは地中へと潜り込み


大悟の発声と共に地上へと飛び立ち、絶対零度を黒崎に見事ヒットさせた。



この大悟が考えた作戦も、エーコが気づかなければ意味がない。


だからそこで大悟は、ひたすらエーコにサインを送り続けていたのだ。



(あ、危なかったし!大悟のあの“姿勢”…)



エーコは大悟に助けを求め、何度も大悟のことを見た。


しかし、大悟はエーコと目を合わせることはなく常にうつむいていた。


本当に体力的に辛かったのはもちろん、アイコンタクトを送れば黒崎にばれてしまうという理由も確かにあったが、実はあれは



“下を見ろ” という、大悟が必死に送っていたエーコへのサインだったのだ。



そのサインにギリギリのところで気づいたエーコは、大悟の意図をくみ取り行動に移せた。


この大一番の舞台で、見事なまでの連係プレーを決めて見せたのだ。



「やった!よくやったぞエーコ!!」



大悟とエーコは嬉しさのあまり、ハイタッチして喜んだ。



「これで…これでようやく……」




二人は勝利を確信した。

それほどまでにエーコは自分の技に絶対の自信を持っていたからだ。





しかし…………





「ふざけるな……俺が…俺がエーコに負けるわけがねぇ!!!」



“絶対零度”



エーコの一番の必殺技 この技は強力だ。

たが、この技にも唯一弱点がある。



それは相手を氷付けにするまでに時間がかること。

相手の体を徐々に氷で固めていくため、時間を必要とするのだ。



「まだ…まだだ!!まだ終わらねぇ!!」



黒崎の体は完全には固まっていない。

わずかに動けるところから、嵐の力を使う。



すると……




ピシッ!!


と、氷の砕ける音が響き渡った。




「!!!

氷にひびが!!や、やばい…


このままだと氷付けになるまえに壊れされちゃうじゃん!!」



志保、大悟がエーコへと繋いだ必死のバトン。



その望みを繋ぎ続けた最後の切り札も

黒崎嵐の力を前にして、粉々に砕かれようとしていた。






第118話 “サイン” 完

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