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3BECAUSE  作者: Guru
117/131

第117話「サイン②」

志保はエーコを庇い、黒崎の強力な竜巻にのまれた。


志保は苦肉の策で、竜巻にのまれる直前、水の壁を作っていた。


嵐の力は強力で、壁もろとも吹き飛ばされてしまったが、その壁は意味をもたらした。


微量ではあるが、水の壁は竜巻の威力を弱め、そのおかげで志保はかろうじて一命をとりとめていたのだ。



そして、偶然にも志保が吹き飛ばされた先には善達の戦いが繰り広げられており、善の身の危険を察した志保は


残された僅かな力を振り絞り、善の危機を間一髪のところで救った。




「志保……貴様!!!」



突如現れた志保の乱入に、ジンは怒り狂った。


善を討ち取り損ねたことに怒っていたのではなく


エレクト同士のみに許された、この戦いに介入してきたことにキレていた。



ジンが血眼にして、一目散に志保目掛けて走り出す。



「善!!志保をいったんここから連れ去るんだ!!」



ジンの動きを読んでいたレトインが、雷の槍でジンを食い止める。


レトインがジンをなだめるように言った。



「まぁいいじゃないか おまえもまだ暴れたりないだろ?


志保は大目に見てやってくれ」



「ふざけるな!!

どっちが先に邪魔したと思ってる?


志保ごときが…なめやがって!!」



「行け!!善!!早くしろ!!」



「あ、あぁ!!」



善はまともに歩けもしない志保を抱えて、一目散に走り出す。ひたすら遠くへと逃げた。


一気に善の姿が見えなくなると、ジンは舌打ちをして振り返り、レトインを睨み付けた。



「チッ……まぁいい


善が戻ってくるまでに貴様の命が持つかな?レトイン」






BECAUSEスリービコーズ


第117話

 「サイン」






志保が生きていたことも、奇跡的に善の命の危機を救っていたことも

もちろん知るはずもない大悟とエーコ。


大悟・エーコVS黒崎


勝負の鍵を握るエーコは、大悟の奇妙な行動のまえに、頭を悩ませていた。



「大悟!!!


(な、なにやってるんだし…大悟

突然どうしちゃったの…?)」




『なぜ相手の攻撃を避けない?』



まず最初、エーコはそう思っていた。


しかし、繰り返し繰り返し大悟の動きを見ていくうに、エーコの見る目は変わっていく。



(もしかして今のって…


『避けようとしないのではなく……



自ら当たりにいってる……?』) 



馬鹿のひとつ覚えのように、同じことしかしない大悟に、黒崎も苛立ち始める。



「なかなかしぶといやつだな!いい加減に死にさらせ大悟!!」



何度大悟は黒崎の攻撃を受けただろう…


土煙に紛れては移動し、居場所を見破られて攻撃をくらう。

いつ大悟が倒れてもおかしくない状況だ。


それでも手を止めない大悟の姿を不気味に思い、黒崎は警戒していた。



(なぜやつは俺に直接攻撃をしてこない…?


何が狙いだ…)



苛立ちを見せた黒崎だったが、それでも肝心なとこは忘れていない。


いくら大悟に目をやろうと、気を付けなければならないのはエーコ。それは分かっている。



(エーコの必殺の“絶対零度”


こいつを防ぎさえすれば、俺は負けるわけはねぇんだ!


ん!?

ってことは……)



大悟の真意は見えないが、黒崎はひとつの答えを導きだした。



「なるほど……おまえはただの“囮“か


俺を侮るなよ?いくらおまえが身体を張ろうと、エーコから俺は目を離さねぇ!!」



足をよろめかせながら、ふらふらになっていた大悟が、苦笑いしながら答えた。



「そうだ…!俺にはいつだってこれしかない!!


俺の母親が俺をこんなに大きい体に産んでくれた


俺の家族が、ねぇちゃんが俺を強く育ててくれた!!


この頑丈な体、俺にはこれしかないんだよ!!」



大悟は潔く自ら囮だと暴露した。

それを聞いた黒崎は、エーコを煽る。



「こいつはおもしれぇ!自ら囮と認めるとは!!


だとよ、エーコ!!

さぁ、エーコ!おまえはどうする!?」



黒崎嵐 この男もジン同様、命をかけた戦いを楽しんでいる。



(分からない……どうすれば…


大悟の狙いは一体……)



エーコは大悟の方を見た。

大悟はうつむいた姿のままエーコと目を合わそうとしない。


何か合図を送ったところで、それが黒崎にバレたらすべては水の泡。


エーコ自ら大悟の策を読み、黒崎に一撃を与えるしか手はない。




一向に答えは出ないまま、耐え続けた大悟にも、とうとう“終わり”が近づいてきた。



「はぁ…はぁ……」



黒崎も今にも意識が飛びそうなぐらいの無惨な姿の大悟を見て、驚きを隠せないでいる。



「なぜ立っていられる…何度くらった?


もういいだろう…意識があるのが不思議なくらいだ…」



そう黒崎は静かに言うと、リミテッドの力を溜め始めた。


志保を飲み込んだあの巨大な竜巻をもう一度作る気だ。


それに気づいた大悟は、阻止すべき動き出した。

最後の力を振り絞りながら、大悟は吠えた。



「これが最後だエーコ!!あとは頼んだ!!


最後に勝つのは俺達だ!!」




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