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3BECAUSE  作者: Guru
114/131

第114話「罪悪感①」

エーコの悲鳴にも似た、叫び声が響き渡る。



「志保ーーー!!!」



志保はエーコを庇うようにして、黒崎の放った巨大な竜巻に飲み込まれてしまった。


そのあまりにも大きすぎる力は、離れた場所にいた善達の視界にも入ってきていた。



「な、なんだあれ…?竜巻か……?」



その力の存在に気づいたジンがほくそ笑む。



「嵐の能力だ


あれを出さしちまったってことは、全員死んじまったんじゃねぇか?」



「!!なんだと…!?」



動揺する善に、レトインが活を入れる。



「善 心配してる場合じゃないぞ

隙を見せたらやられる…


俺達は自分の戦いに集中しろ!」



「あ、あぁ…!!」






BECAUSEスリービコーズ


第114話

 「罪悪感」






黒崎の繰り出した竜巻も、徐々に威力も弱まり

避難していた大悟とエーコは元いた場所へとすかさず戻った。


なにより志保が心配だったからだ。

しかし、そこに志保の姿はない。



むしろ、志保がいないどころか、そこには“何もなかった”のだ。



その景色は、先程までとは大違いで


竜巻が通ったであろうと分かるほど地面はえぐれ、草や木はすべて吹き飛ばされていた。



何一つとして残っていない…

そう言っていいほどの、無の地へと化していた。




「志保は……?志保はどこ行ったんだし!」



冷や汗をかき、必死に志保を探すエーコ。


そんなエーコをあざけ笑うように、ゆっくりと歩きながらあの男がやってくる。



「はっはっは!吹き飛ばされちまったんだろうな


まぁ…生きてるかどうかは知らねぇが!!」



「黒崎!!」



黒崎は不服そうに自分の左手を眺めた。



「まだまだこの力も改良が必要だ


あれだけ巨大な竜巻を出すのはいいが、その分速度は落ちる…


これではこいつらは倒せても、ジンを倒すにはまだまだ…」



あくまで黒崎の最終目標はジンを倒すこと。

溢れ出る向上心。


もはや大悟とエーコは眼中にない。



エーコは自分の身代わりとなって消えた、志保の安否が気になって仕方がなかった。


それを察した大悟がエーコに声をかける。



「エーコ…今おまえがやらなければならないこと、分かってるな

志保は絶対生きてる 信じろ!!


志保が託したおまえの“左手”

なんとしてでも決めろ!!」



「うん…分かってるし!


一度離れたおかげで更に力は溜まってるんだから!!」



3対1でも分が悪かったのに、一人戦線離脱し

俄然不利な状況へとなってしまった。


それでも臆することなく、大悟は黒崎に立ち向かう。



(あとはもう俺がやるしかない…


エーコが一撃を決めるチャンスを、意地でも俺が作り出す!!


俺には……この手しかない!!)


「ノックアップグランド!!」



大悟は思いきった行動に出た。


握り拳を作り、地面を力いっぱい叩く。

地面は爆発し、土が舞い上がる。



「ん?何をしてやがる?何が狙いだ!?」



突然の大悟の意味深な行動に、黒崎は警戒した。


なぜなら、大悟の攻撃は黒崎にむかっていないからだ。

どうやら大悟の狙いは黒崎本人ではない。



警戒し距離をとる黒崎に対し、大悟は気にとめることなく、連続でノックアップグランドを繰り返した。


すると、次第に土煙が舞い上がり始め、辺り一面は煙に包まれる。



「なるほど…煙幕で俺の視界を奪う気か?


はっ!無駄だ!おまえの能力は俺に相性が悪いのは何度も立証済みだろ!!」



黒崎は嵐の力を使い、土煙を吹き飛ばした。

そして黒崎は大悟の姿をとらえる。



「見つけたぜ!そこだ!!」



黒崎は大悟目掛けて嵐の力を解き放つ。


先程までの竜巻とは違い、今度は速度を重視した大気を切り裂くような素早い攻撃だ。


その素早い攻撃は見事に大悟に直撃した。



「ぐっ…まだまだ!!


ノックアップグランド!!」



ダメージをくらいながらも、大悟は手を止めることはしない。



「またそれか…


何度やっても同じだぞ!!大悟!!」



同じことの繰り返し。黒崎の放った攻撃がまた大悟に炸裂する。



「大悟!!!」



大悟の謎の行動に、エーコも呆気にとられていた。



(な、なにやってるんだし…大悟

突然どうしちゃったの…?)



ひたすらノックアップグランドを続ける大悟。

黒崎の攻撃を避けることすらしない。


大悟のこの行動には、もちろん狙いがある。

大悟の体を張った作戦だったのだ。



しかし、この作戦には限度がある…

大悟がやられるのも時間の問題


エーコがいち早く大悟の策を見抜くことができるかに、この勝負はかかっている。





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