第110話「次世代②」
ジンの発言に反応し、レトインの動きが突如鈍り、レトインは足を止めた。
明らかに様子がおかしいレトインに、善が声をかける。
「お、おい!大丈夫か?レトイン!」
「………
あぁ、大丈夫だ!俺の心配はいらない!
善は自分の心配だけしてろ!!」
再度レトインは雷の槍で、ジンに立ち向かう。
だが、今度は攻撃をかわされるどころか、ジンの反撃を食らった。
「ぐはっ……!!」
「レトイン!!」
剣で切られたレトインのもとに、急いで善は駆けつける。
「問題ない…少し切られただけだ
こんなかすり傷、なんてことはない」
どこまでも強がるレトインに、たまらずジンが声高に笑った。
「はっはっは!相変わらず強情っぱりだな!
どうやらおまえは俺を甘く見ていたようだ
このジョーカーのトップにいた数年…
俺の腕がなまっていると思ったか?
そんな淡い期待を抱いていたようだな!!」
図星だったのか、レトインは何の反論もせずに黙った。
黙るレトインに、ジンは話を続ける。
「これもすべて嵐のおかけだよ」
「黒崎が…!?」
「言ったろ?さっきも
あいつは俺を出し抜こうとしてやがる
あいつは常に俺の首を狙ってる
そんなやつが身近にいたんじゃ、さすがの俺も気が抜けねぇ…
いつ嵐に殺られるか分からねぇからな
すると自然と俺も腕は磨かれていく…
この数年間、腕が鈍るどころか…
俺は日々強くなっている!!」
「!!!」
レトインの額から冷や汗がだらだらと垂れ落ちた。
善の目から見ても、レトインが焦りを見せているのは歴然…
それも無理はない。
身体能力、リミテッドとしての力
すべてのトップに君臨する男
それが 二階堂 仁
そんな最強の男に、唯一弱味に漬け込めるとしたら、それはひとつしかなかった
“勝負勘”
戦闘において最も大事と言っても過言ではない。
レトインが勝機を見いだすとしたら、これしかなかったのだ。
ジンの勝負感が長年のブランクにより鈍っていること
これこそがレトインの唯一の希望だった。
しかし無情にも、開始早々でその希望は消えてなくなってしまった……
意気消沈のレトインに渇を入れるように、善は声を荒げた。
「何のための二人だ!このために特訓してきたんだろ!
行くぞレトイン!一斉攻撃だ!!」
「あぁ……!!」
レトインはなんとか気を持ち直し、善といっしょに、二人は同時に攻撃を仕掛けた。
「それも無駄だ…!!」
ジンは厚い火の壁を瞬時に作り上げる。
突然目の前に立ちはだかった壁に、二人の動きが一瞬止まった。
その“一瞬"をジンは見逃さない。
二人を火の剣で斬りつけた。
「がっ…!!
(は、速い…こいつ今何をした!?)」
善には今のジンの太刀筋が速すぎて、まったく目で追うことができなかった。
そして善はここに来て感じる。
(こ、これが…ジン…
ジョーカーのトップの強さ…!!)
今までの四天王達とは違う…
リミテッドに特殊な能力はない。
むしろ、善と同じ“火"の使い手
なのに……ここまでも強い……
つまらなそうに蔑んだ目を、ジンはレトインに向けた。
「二人がかりで挑んでも俺には到底かなわない、無理だ
レトイン…おまえは俺に勝てないと悟り、後継者を探した…
次の世代に託したというわけだ
そこでようやく見つかったのが、こいつ 橘善」
「………」
「その代わりおまえは前線から一度身を引いた
そんなやつに今の俺に勝ち目はねぇ
それにも関わらず、隠居生活を送ってまで期待した橘善がこの程度の力とは…
笑わせてくれるな!!」
善は悔しさから黙ってられず、負けじと吠えた。
「くそっ!!今に見てろ!!
笑ってられるのも今のうちだ!」
「どうやはおまえも威勢だけはいいようだな…
ならばもっと見せてみろ
おまえの力…神に選ばれた“エレクト"の力をよ!!」
第110話 “次世代” 完




