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3BECAUSE  作者: Guru
11/131

第11話「夜の世界」

善は見事、ジョーカーの刺客・水野志保を倒し、つかの間の休息を味わっていた。



「あぁ~…ただでさえ眠いのによぉ~…


志保との戦いで、すげぇ疲れちったよ…

なんかすげぇだるいんだよな…」



「無理もない

まだおまえの体はリミテッドの力に慣れてないからな」



「重い…体が重い…うまく体が動かせねぇ…」



「しかし、そこは道のど真ん中だ

邪魔になる 早くこっちに来い」



善は車道の、ど真ん中に座り込んでいた。



「マジかよ…いてててて…」



重たい体を動かし、なんとか立ち上がって歩き出した。



「もしさぁ…今ジョーカーが襲ってきたら…

確実に俺、終わるよな?」



「………



そうかもな 来ないことを願っとけ」



「けっ…神頼みかよ!」





同時刻。とある場所にて。




「リーダー!ご報告が!」



「ん…!?

どうした?“大悟”」



「それが…志保が…


橘善にやられました!!」



「………

そうか…予想以上の強さみたいだな


志保じゃ力不足だったようだな…


大悟 おまえが行け

おまえの力で橘善をねじ伏せてこい」



「はい おまかせを」



ジョーカーのリーダーは、自分の左手の甲を見つめ出した。



「リーダー…そ、それは一体!?」



「うずく…俺の左手がうずいてやがる…」



リーダーの左手には、善と同じ謎のマークが光り輝いていた。



「やるじゃないか…橘善!なかなか楽しませてくれる!」



リーダーは不適な笑みを浮かべながら、大悟に言った。



「出てくる芽はな…早めに摘んでおかなければならない

そいつが花咲かす前にな


分かるか?大悟?」



「えぇ…分かっております」



「相当しぶといやつと見た

そういうやつは、根っこごと引き抜く必要がある


芽を摘んだぐらいじゃ、またすぐに新たな芽を出す…


橘善を根絶やしにしろ

完膚なきまでに叩きのめしてこい」



「おおせのままに」



ジョーカー・大悟は橘善の抹殺に向けて、早くも動き出そうとした。


しかし、ジョーカーのリーダーは大悟を、一度呼び止めた。



「あぁ…待て大悟 それともう一つ…


ゴミ掃除をお願いしなきゃな」



「えっ…ゴミですか…?」



「あぁ 必要ないものはゴミだ 

捨てないとな…




志保を抹殺してこい



生きてるんだろ?まだ志保は」




「!!!

さすがはリーダー



どうやら橘善は志保を生かした模様で…


はい、承知いたしました


橘善、水野志保の抹殺

おまかせを」




志保が善にやられることは、ジョーカーの計算の内に入っていた。


またそれだけではなく、志保が生きていることもリーダーは見抜いた。



ジョーカーの真の狙いは、間髪入れずに、次の刺客を送り込み

志保との戦いで体力を消耗した善を楽に倒すため。


任務失敗した志保にもジョーカーは容赦しない。




善達の思い描いた嫌な“予感”は…


見事なほどに、的中した。






BECAUSEスリービコーズ


第11話

 「夜の世界」






ジョーカーから新たな刺客が送り込まれていることなど、全く知るよしもない善達。



「あぁ~…失敗だったなぁ~…あれ絶対いけたよなぁ~…」



気の抜けた善の独り言に、レトインが問いかける。



「絶対いけた…?何の話だ?」



「あぁ…ほら志保だよ」



「志保…?志保がどうした?」



「おまえも見てただろ?最後、絶対俺らいい感じだったよな!?


あそこでもっと押せば、確実に志保をゲッキューできたはず!!」



(そんな話か…)



「ゲッキュー…ん?何か違うな…ゲッツーだっけ?

これも違うな…


あらっ…?じゃあなんだっけ?

なぁ、レトイン!なんだったっけ!?」




ゴン!!!




鈍い音が聞こえた。レトインが無言で善の頭に、げんこつをかました。



「そんなもん、なんだっていい」



「痛ってぇなぁ!!何すんだよ!!

目から火出たぞ!?火花散った!!」



「フン…おまえは元から火は出るだろ」



「本当にいてぇなぁ…いきなし殴るんだもんな…


ちぇっ、こんなんなら英語の授業ちゃんと聞いとけばよかったぜ」



(さっきまで死にそうになってたやつが、何言ってんだか…


こいつが本当にジョーカーを倒すような男に思えなくなってきた…)



「レトイン…腹減ったよ~…何か食いもんくれよ~」



「フン そこらへんに食いもんはあるだろ」



「そこらへんに!?どこにだよ!?」



「おまえの目の前にある、山菜だ」



「山菜…?」



善達がいた場所は、辺り一面、草木が生い茂っていた。

人の手が施された場所などは見当たらない。



「てか…どこだよ…ここは!?」



「さぁな ここまでトラックに運ばれてきたしな…

まぁ、おまえが前住んでた場所からそこまでは離れてないだろう」



「志保と戦ったとこからは、けっこう歩いてきたけど…


こんなとこ、誰も足を踏み入れないんだろうな

街灯すら見当たらない」



わざわざ車から降りて、このなにもない地に来る物好きもいないだろう。



「誰も来ないならそれは好都合だな


よし、しばらくはここを拠点に生活するぞ」



「えーーっ!!!なんだって!!??

ここで暮らす!?


まさか野宿…?」



「そうだ 仕方あるまい」



想像だにもしていなかったレトインの発言に、善は猛反対する。



「ふざけんなーー!!嫌だぞそんなの!!

 

こんなとこじゃたいしたメシもなければ、風呂も入れないじゃないか!!」



「風呂って…女子かおまえは


わがままを言うな

もしジョーカーが襲ってきても、恐らくここなら無関係な人物を巻き込むことはない


ジョーカーを迎え撃つなら格好の場所だ」



「だからって、ずっとここで生活ってのは…」



「別に俺は構わないんだ…問題はおまえなんだ」



「ん…?俺!?」



キョトンとした顔をする善に、レトインは呆れなからも説明した。



「以前も話したろ?

リミテッドは常にリミテッドの力を放っている


その力を遮断できないおまえがいる限り、ジョーカーの連中はおまえの居場所が分かるんだぞ!?


俺は別に自由に行動できるんだ

それなのに俺はおまえに付き合ってあげてるって言うのに…」



「けどよ~…こんな何もないところじゃさぁ…


灯りすらない…夜は寒そうだし、真っ暗だなこりゃ」



「その件に至っては大丈夫だ


夜になっても、電球にストーブがあるからな

その問題は解決だ」



「電球にストーブだぁ!?そんなもん一体どこに……」



そう言いながら、レトインの顔を見ると


見たことないほどの満面の笑みで、レトインは善のことを見ていた。



「ま、まさか…電球にストーブって“俺”のことか!?

俺の“火”の力を使って…


なんて力の無駄遣い!!鬼かおまえは!!」



「はっはっは!まぁいいじゃないか」



「この野郎…

リミテッドの力を“おまえこそ”いいように利用してやがる…」



「なんとでも言うがいい!」



「けっ!しょーがねぇなぁ!分かったよ!俺がなんとかするよ!

けどよぉ…


メシは…メシだけはなんとかしてくれ!!

山菜じゃあ腹の足しにならん!!肉を…肉をくれ~」



必死にレトインにしがみつく善。

みっともない。見苦しい光景だ。



「わ、分かったよ!!

仕方ない 俺の食料を分けてやるか…」



しぶしぶレトインは背負っていたリュックを置き、食料を取り出した。



「なんだ!あるんじゃねぇか!

最初から出せよなー」



「バカ野郎 これは元々俺の分だ

数日分の食料のはずが…これじゃ足りなくるな


仕方がない 買い出しに行ってくる

だからおまえはここでおとなしくして待ってろ」



「えっ!?俺もいっしょに行くよ!!

レトインじゃ俺の食い物の好み分からなそうだし…」



レトインはため息をついた。



「はぁ…何度同じ事を言わせるつもりだ

おまえには危険が伴うんだぞ!?おまえはここでじっとしてろ!


それに…


今のおまえに、そんな体を動かす体力なんて残ってないだろ…?」



レトインに言われた通りだった。

善の体は、志保との戦いで相当疲れていた。


動くことすらままならないほどだった。



「分かったよ…



早く帰ってきてくれよ」



「あぁ なるべく早く戻る」



そう言って、レトインは善のもとを離れていった。



「あっ!!」



その時、善が何かに気づいた。



「そういや、レトインって…



あんな風に笑うこともあるんだなぁ…

ちゃんと赤い血の流れた、まともな人間だったのか」



素朴な疑問であった。



そんな変なことを考えたあと、一人になった善は退屈になったのか、木に寄りかかり眠りにつこうとした。


すると、時刻はまだ昼まえだったが、体が疲れていたため、善は驚くほど早く寝てしまった。



そんな疲労困憊状態の今の善が、気づくわけがなかった。

自分に近づいてくる“闇”の存在に…



刻々と迫ってくる。すべてを闇が覆い尽くす夜の世界が。


日も暮れて、太陽は沈む。

善はまだ眠っている。よほど体は疲れていたのだろう。



そして、とうとう訪れた…夜の世界が。



善が眠る場所は、辺り一面真っ暗…

唯一の明かりは月の光のみ。


月の明かりが、善の寝顔を映す。



その明かりを奪うように、善の顔一面に“影”が覆い尽くした。



「バカな野郎だ…ぐっすり眠ってやがる」



夜の世界は闇の世界。



闇の世界は“ジョーカー”の世界。



「夢でも見てるのか?だとしたらきっと悪夢だろうな…



じゃあな 橘善」



覆い尽くした影は、月の明かりをすべて奪い去り


唯一の“光”は“闇”に包み込まれ…



消えた。






第11話 “夜の世界” 完

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