第105話「二階堂 仁①」
ジンはうすら笑いを浮かべながら言った。
「ジョーカーの存在意義…?
ジョーカーの目的…?
そんなもの決まってる…
復讐だよ…!!」
3BECAUSE
第105話
「二階堂 仁」
現・ジョーカーの頭首
二階堂 仁
彼の生い立ちは、想像を絶するほどの過酷なものだった。
ジンの父親は、大手企業の社長
母親は、これまた大きな企業の女社長
その間に生まれた子供、それがジンだった。
二階堂一族は、富と名声をも手に入れ
一見、誰もが羨ましがるような家庭であるように思えたが…
その裏では、両親は多忙な生活に追われ続け
息子の相手など、ろくにできず
ジンの育児はすべて、雇われた家政婦が行っていた。
本来あってはならないはずの出来事…
ジンは親の“愛”を知らずに育ってきた。
何不自由などはない、お金はいくらでもある。
何だってできる、好きなものは何でも買える…
しかし、ジンの本当に欲しいものは、いくらお金があろうが手に入らなかった。
ジンは両親の愛に、飢え続けていた…
思春期にさしかかると、ジンは本気で悩み始める。
果たして、自分は両親にとって必要な人間なのか…?
そもそも、こんなことならば
なぜ、自分を生んだのだろうか…?
自分の存在意義を考え始める。
例え、神というものがこの世にいるのならば
なぜ俺を生んだ?
俺は両親に見捨てられるどころか
神にすら見放された子…
ジンはそう考えるようになる。
そんな卑屈な思考を持ってしまったジンに、あるとき事件は起きた。
社会の中で、上に立つものがいれば
そこには必ず下になる者がいる。
上に立つということは、下からの反感や恨みを
買うというものは付き物…
そのひとつの妬み、恨みが
大きな事件へ、犯罪へと繋がった。
二階堂家が元部下の犯行により、命を狙われる
放火事件が勃発。
その放火の被害により、二階堂家の数名が死亡。
ジンはこの時の放火で、死を迎えることとなる…
だが、唯一の愛を与えてくれた、家政婦の命が乗り移り
ジンは“リミテッド”となった。
自分の代わりに家政婦が亡くなったことなど知るはずもなく
ジンは親代わりの存在を失い、途方に暮れた。
更に自分の存在を憎んだ…
神に見放されているんだと、本気で考える。
しかし、その数日後
ある“不思議な力”の存在に気づき、事態は一変する。
この不思議な力は一体なんなのか…
ジンは自分に恐怖すら覚えるも、不思議な力について研究する日々が続いた。
そして、その数ヵ月後、ジンは“ジョーカー”という謎のサイトを発見。
そこでジンは、自分の後の人生をがらりと変える人物達と出会うことなる…
レトイン、レイ、ヤコウ
三人との出会いにより、ジンの心境は目まぐるしく変化していった。
ジンはジョーカーでの研究成果にて、その不思議な力の正体、真実をついに知ることとなる。
それは“リミテッド”という奇跡…
そして
“リミテッド・エレクト”という、奇跡の中の、更なる奇跡。
その奇跡の存在を知り、ジンのすべては覆されていった。
俺は神に見放されていた…
いや、違う!!!
それどころか、俺は神に愛されていた。
俺はこの“エレクト”の力を手に入れるために生まれてきたんだ…!!
ジンは誓った。
俺は神に選ばれた
俺こそが必要な人間…
決して、いらない人間なんかではなかった…
むしろ逆だ…!!
選ばれるべき者は、こうして必然として選ばれる!!!
その者こそが、この先必要とされる人間
“リミテッド”の俺達の力が、これからは必要なのだ!!!
なのに、“ただの”何の力も持たない人間共が
散々俺を苦しめた…
間違っている…
おまえ達は間違っていた!!
復讐を…人間に復讐を…!!
すべての人間に復讐を!!
俺は“リミテッド”
神に愛され、神に必要とされた者だけが、この先生き残っていけばいい!!!




