第101話「勝機0%①」
ようやく現れた。
すべての鍵を握る人物
橘 善
善は東條に言った。
「人は強くなれるんだ
不可能なんてないんだぜ?
見せてやるよ!東條!
俺の力を!!」
東條は忘れてはいなかった。
以前、善と東條が初めて対峙した時
怯えるだけで、何もできずにいた善の姿を。
「何を今更…
いくらレトインにやられ、弱りきった私でも
単なる腰抜けだった貴様に、やられるはずがない!!」
あの頃の善はもういない。
善は怖じけるどころか、少し笑ってみせた。
「へっ…あの頃の俺とは違うんだな、これが!!」
善の体は光輝き、炎に包まれる。
エレクトの奥義
リミテッド・ブレイク
「!!!
いっちょまえに、エレクトまでもかリミテッド・ブレイクまで扱えるようになったか…
(エレクトの前では、時の力は無力…
しかし、そんなことでは動じない!)」
東條はエレクトをマスターした善に驚いたが
東條同様に、大悟達も善の成長速度には度肝を抜かれた。
「善…エレクトをいつの間に…!!
相変わらずおまえってやつはすげぇ男だ!!」
驚く一同をよそに、当然のように見つめるレトインが、ぼそっと嫌みを言う。
「なんだ善…
おいしいとこ、持ってくつもりか?
ここまで苦しめたのは、俺なんだがな…」
「わりぃな…力を試すにはちょうどいいだろ」
東條は残された僅かの力を振り絞る。
時の力により、自らの移動速度を上げた。
(ヤツの背後に回りこみ、隙をついて撃つ!!)
東條が善の後ろに一気に回り込む。
それはほんの一瞬の出来事だった。
元々身体能力の高さには定評がある善。
その高水準なスペックに、高いリミテッドの力が合わさる。
善は背後からリミテッドの力、気配を即座に感知した。
「そこだ!
ブラストナックル!!!」
振り向きざまに東條を捕らえ、善は炎の拳を突き出した。
爆発するような音と同時に、大きく放たれるエレクトの光
その攻撃を受けた東條は
空を仰ぐようにして、後ろから倒れた。
エレクトとして目覚めた善の力が、東條に炸裂。
一撃でカタがついた。
「ば…ばかな…
そ…そんなはずは…」
数ヶ月まえとは、まるで別人のような動きを見せた善に
大悟は嬉しさと共に、寂しさも感じていた。
(すごい…ここまで強く…
どんどん強くなっていく…
そして…
どんどん離されていく……)
善は息を軽くついた。
「ふぅっ…こんなもんか?レトイン!
まぁ瀕死状態じゃなきゃ、俺勝てなかったかな…?」
レトインは冷静を装いながらも、静かに答えた。
「さぁな だが、上出来だよ
(今の攻撃…エレクトを完全に使いこなせていた…
なぜなら…
本当はトドメをさせるはずの東條を
あえて力を調節して、東條を殺さないようにした…
合格点とは言いづらいが
なんとか“間に合った”のかもしれん!!)」
まだ微かに息の根がある東條
仰向けになりながら、東條は言った。
「ははは……
貴様らが言う通り、“待っていた”のか…?
俺はおまえを…」
「………?」
大悟やレトインの会話を聞いていなかった善には
東條の言葉の意味が理解できなかった。
「一度会ったときは、おまえは私に何もできずにいた
私の力に怯えるだけで、死を恐れ、立ち尽くすだけ…
そんなおまえが、ここまで強くなるとは…な…
レトイン、確かこう言ったよな…?」
東條に呼び掛けられたレトインは耳を貸す。
「ん…?
なんだ…?」
「貴様はさっき、私にもっと早く会いたかった…と言ったな
貴様の言う通り、“希望”を持つことができたら…
おまえ達のようなやつらに出会っていれば…
私も…
少しは変われたのだろうか…?」
善の力、成長を認めざるをえなかった東條。
そんな東條がレトインに、安らかな表情を見せながら問いた。
しかし、相変わらずなレトインはこう答えた。
「さぁな…
けど…
もう…出会ってるだろ?
俺達に…
なぁ!善!!」
「あぁ…
言ったろ?東條?
今からでも遅くないって!
こっから変わっていけばいい それだけさ!」
善は東條の何を理解しているだろう?
どんな意味を込めて、言っているだろう?
真意は分かりはしないが、それでも東條の心には
しっかりと善の言葉は響いていた。
そして、東條はぽつりと一言つぶやいて
静かに目を閉じた。
「まったく……
不思議なやつだな、おまえは…
橘善…!!」
3BECAUSE 《スリービコーズ》
第101話
「勝機0%」
ジョーカー四天王・東條を
レトイン、善の活躍により、倒すことに成功したライジングサン。
残すは、いよいよ
リーダー・ジン
キングを裏切った、黒崎
この2つの大きな力となっていた。
メンバー達は無事、善とレトインと再会し
喜びを分かち合いたがったが…
メンバーにそんな余裕などはなかった。
大悟を含め、志保、エーコは不安な気持ちでいっぱいで押し潰されそうだったのだ。
なぜならば、先程の東條との戦い
3人はまるで戦力としてはいれず
戦いに参加することができずにいたからだ。
迎える最終決戦
いつジンが仕掛けてくるか分からない…
もうすぐ夜が明けようとしていたが
ジンの性格を考えると、今すぐ攻めて来ても何ら不思議はない…
安心できる時間、休息の時間などはありえなかった。




