表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/132

第六十章:恋人同士二人きり3

「じゃあ、次は私のしよう?」

 口から舌を出して、お互いの舌を()めあうあれか――絶対大変な事になる

と思うけど――

「良いじゃん! ここ私のベッドだし。お願い! 一回で良いから」

 梨花のキラキラした目。もしかして、ずっと前に百合漫画見てたら眠れな

くなったとか言ってた時読んでたのって……

 そういえば、あの時梨花はサクランボを舌で転がしていた。

「裕海の舌……食べたいなぁ……♡」

 梨花の顔が近づいてきた。こんな期待するような表情されて、断れるわけ

が無い。

「いいよ、一回と言わず。梨花がしたいだけ私もしたい」

 梨花は(うれ)しそうに、

「分かった。ありがとう」

 最初はちょっと舌の先が()れ合う程度。徐々に絡み合いながら、最終的に

はお互いの舌だけで無く――唇の辺りまで舐め始め、結局最初に私が心配し

た通りになった。

「はぁ……ベトベト」

「やっぱり、こうなるよね……」

 梨花と私の顔の間には――二人の愛の結晶ができていた。表現は何か綺麗

っぽいけど、梨花は枕下(まくらもと)のシーツをはがし――洗濯機に入れに行った。

 (かわ)くと洗濯面倒だしね……



 私が梨花のベッドの上で大の字になって寝転がっていると、梨花が新しい

シーツを持って部屋に入って来た。

「! 裕海ぃ……?」

 梨花は一瞬立ち止まり、シーツを持ったまま私をじっと見つめていた。ん?

何か私についてる?

「裕海? え、何? 良いの……?」

 待って、私何かした?

 ――梨花は持っていたシーツを床に捨て、四つん()いになりながらベッド

の上に乗ってきた。息は荒く、顔もさっきより紅潮(こうちょう)している。

「裕海――」

 梨花は何かを言いかけ――そのまま私の身体の上に覆いかぶさった。何?

待って、梨花――どうしたの?

「裕海、裕海裕海裕海裕海ぃ……♡」

 梨花は私の身体(からだ)に顔をこすりつける。ちょっとくすぐったいよぉ……♡

 私は梨花の頭を撫で、

「梨花、どうしたの?」

 梨花は嬉しそうに笑い、

「だって……♡ 裕海がそんな大胆(だいたん)な格好してるんだもん♡」

 大胆? 大の字で寝転がっている格好が……?

「何か――無抵抗(むていこう)って感じでヤバかった……♡」

 梨花は私の身体に人差し指をクリクリとした。照れ隠しなのか、少々目を

そらしている。

「無抵抗だったら……何をしようとしたの?」

 梨花は顔を赤らめ、

「え~……♡ 言えないよ~」

 言えないような事をしようとしてたの!

 梨花の表情がちょっとずつ夜の顔になってきた。毛布(もうふ)を片手でギュッてし

てるし――息遣いもちょっと色っぽくなってきた。

「梨花、そろそろ寝ようか?」

 私は枕の下にシーツをひき、梨花はお部屋の電気を消した。私は布団と毛

布をかぶり、梨花はそこに入って来た。温かいベッドの上に二人きり――私

と梨花はお互いに顔を見合わせクスりと笑いあった。

「梨花……愛してる」

「私もよ、裕海」

 お互いに身体を近づけ合い――(あし)を絡め、手を(にぎ)り合い――今日はもうオ

ールナイトキスなんてのも良いかもしれない。そう思いながら、ゆっくりと

私は梨花との愛にとろけていった。



 流石に徹夜(てつや)は無理だった。結局途中で寝てしまったらしくって――起きた

らお口とお口がくっついたまま目が覚めました。――枕にはまた二人の愛の

結晶が出来ちゃってたし……文字通り乾いて結晶のよう――まで言うと気持

ち悪いのでよしときます。



 別に唇が乾いちゃって取れないー。なんて展開も無く、私はボーッと梨花

が起きるのを待った。

「んん~……♡」

 可愛らしく身体を伸ばし、梨花は私をちょっと見て――ニコッと笑い――

ガバっと突然起き上がった。

「え? どうしたの? 梨花」

 梨花は顔を(そむ)け、しばらく黙っていたが。身体ごとこっちを見ると、

「ごめん、裕海と一緒に寝てたっての忘れてて……」

 梨花は顔を赤らめ、

「嬉しさと(おどろ)きに(はさ)まれた……♡」

 私は顔が熱くなるのを感じた。寝起きのせいもあるのだろうけど――そん

な恥ずかしい事を面と向かって言われるとは……

「梨花……」

 このムードでやることはただ一つ。

「何? 裕海――むぐぅ……♡」

 振り返りざまに唇を(うば)い、もう一度ベッド上に転がり――身体同士をすり

寄せ、()で合いながら――しばらくの間幸せな時を過ごした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ