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第十四章:保健室

「あぅ……」

「あ、起きた?」


 梨花はしばらくボーッと天井を眺めていたが、私の顔を見ると嬉しそうにニヤけた。


「裕海……。私、どうしちゃったんだっけ……?」


 梨花は覚えて無いらしい、わざわざ言う程の事かな……? もし必要なら先生に言ってもらおう。


「キスしてたら気持ちよすぎてパタッと……」


 梨花の顔がみるみる赤くなっていった。言い訳間違ったかな……?


「私……、何てこと――」


 あっちゃー! 失敗失敗。……後で正直に言おう。

 梨花は口元をペロリと舐めた。


「じゃぁ――続きしよっか」

「んぇ! ちょっと梨花!?」


 腕を掴まれて梨花にベッドの中に入れられた。ドキドキと梨花の体温で温かい……、けど。


「ちょっとこれ……危なくない?」

「ん? 何がかな~?」


 梨花は私の胸に顔をうずめ、腕を身体に回し抱きしめた。


「すぅ~……ふーっ――すぅ~」


 深呼吸してる!?


「裕海の匂い……」

「へ? ちょっと梨花!?」

「頭がボーッとする~」


 梨花の腕が下の方へ行き、制服をめくった。


「ちょっと……梨花!」

「大丈夫……見えないから」


 そう言う問題じゃなくて――ひぁっ!

 手を突っ込まれ、生の腰から背中にかけてを梨花の指がなぞった。


「綺麗な身体――スベスベしてる……」

「梨花……」

「綺麗……裕海、裕海……綺麗だよ? 別に変じゃ無いよ……」


 梨花の目から涙が溢れてきた。


「大丈夫……梨花だって――」


 私も梨花の制服をめくり――お腹なんて撫でちゃったり……。


「ひゃぅっ! 前は駄目ぇ!」

「元気出た?」

「……もぅ」


「はーい! そこまで、丸聞こえよ!」


 ベッドのカーテンが開けられ、先生が腰に手を当てて立っていた。


「イチャつくのは結構だけどベッドでは止めなさい」


 私と梨花は胸の辺りまでめくられた制服を直し、ベッドから出た。


「氷室さん、大丈夫?」

「はい……大丈夫です」


 先生は敬礼のポーズをした。


「何かあったら、いつでも私の所へ来なさい!」


 頼もしいんだかよく分からないけど……。



 ---



「梨花、傘持ってる?」

「あるよ~」

「良かった~! 入れて!」

「もしかして……私待ってたのって傘のため?」

「そっ――そんなわけ無いでしょ……!」


 梨花の透明なビニール傘に二人で入った。狭いけど……梨花とくっつけるから嬉しい。

「肩、濡れない?」

「大丈夫。裕海、小っちゃいから」

「梨花とはそんな変わらないでしょ~!」


 駅までの帰り道は今までで一番楽しかった。このまま――家まで一緒に帰りたかったな。


「じゃあね」

「うん、また明日」


 私は普段通り、碧町(みどりまち)行きの改札へと向かった。



 --- 



 私は家でシャワーを浴び、自分の身体を眺めた。

 さっき触って気づいたけど、梨花のお腹、真っ平らで凄かったなぁ――。


「私も――別にそこまででは無いにしても……」


 鏡の前でちょっとポーズをとってみたが、特定部位にどうしても目が行ってしまうので止めた。


「うん――個性だよね、個性」

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