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姿なき王

作者: あかね
掲載日:2026/03/10

 姿なき王のことを聞きたい? 物好きねぇ。もう百年は昔のことなのに。


 恐ろしき王は、英雄に討たれた。そうでしょう? 本当にそうか、なんて意味はないの。勝者こそが正義、でしょ?


 違うというけどねぇ。私も勝者として、正義を執行したことあるから否定しずらいのよね。


 ええ、私が最凶だから、この一帯は私の領地だし、私が法なの。独裁国家でもないけどね。憲法は遵守する所存なので。


 そうそう、興味ある? ……ちっ。そうよ、話をずらして、話したくなかったの。


 我が王は、汚名返上を望まない。残念無念ながら、歴史の中で悪と断じられるのも仕方のないこととお思いだった。

 聞いたのかって? そうね、聞いたわ。


 だから、今、良き王であったという話はできない。この世に完璧な王もいないから、あのお方も良いだけの王でもなかったからね。


 それでも姿が残されていないのはおかしい。そこまで消された者はいない。歴史の波間に消える庶民ならばともかく、王とまで言われたなら、確かにそう思えるかもしれないわね。


 例えば、悪しき王が、国の中で少数の髪色だったりしたら、どうなるかな?

 私は、差別されると思う。あの王と同じならば、中身も同じになるのではないか、愚かな同化思想だけど。皆と同じ金髪だとしたら、次は、目の色が、肌の色がと小さく分けられて、誰かを否定する道具とされる。

 色がなくても、顔立ちがと言われる。

 そういうものよ。気に入らないときの言いようなどいくらでもあるけれど、討伐された王のようというのは良くないわ。


 おまえが、似てるから同じものになるかもしれないから、殺す、とか言えちゃうのよ。治安が悪いと。あの教育ね。

 中々ね、そのあたりは難しい。


 そういうことをわかっていたのでしょうね。あの方は姿を消してしまうことにしたの。できるのかって? しちゃったのよね。不完全な、存在の消去魔法。

 この世のすべてから、自分の姿だけを消しちゃった。

 まあ、これは阻害魔法の一種で一定期間、思い出せないというものなのだけど。ま、人は100年もたてば姿も忘れるので効果はそれくらい。


 そんなのできるなら、いなくなったふりくらいできるでしょうに。愚かな人。


 ということよ。

 ご本人が肖像権を行使し、利用の拒否をしたので、今も利用不可です。お姿は誰も覚えていません。そして、姿を描くことも許されません。


 ご納得いただけて?


 私は覚えているのかって?

 どうでしょうね? まあ、覚えていても意味はないわよ。


 なぜって?

 そりゃあ、絵が、すっごく下手だからよ。普通、何十年もチャレンジすれば上達しない!? おまえに絵の才はくれてやらぬという神の采配を感じるわ。


 ……なに? あの壁の絵って。

 …………なんでもないわよ。ほんとよ、さあ、さっさと帰りなさい。


 魔女に食われたと大騒ぎされる前にね!

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