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乱堂さんが朝起きると、姿は見えないが自分にずっと憑いてくれているらしい守護霊がそっと話しかけてきた。
「今日はアパートの皆さんにおかしなことが起こったみたいだよ。大家として、話を聞いておいた方がいいよ」
そんなことあるもんか、と乱堂さんは思った。自分が契約しているアパートの借主は五人。その五人全員が今日の朝、等しくおかしなことが起きるなんて偶然あるわけがない。そう思ったが、この声だけの守護霊はいつも正しいことを言う。そのおかげで窮地を脱してきた経験のある乱堂さんは、素直に守護霊の言う通り住人たちの話を聞くことにした。
その結果、乱堂さんが「やっぱり守護霊の言うことは正しかった」と途方に暮れることになるのは夕方頃の話である。
10/25 [日間]ホラー〔文芸〕 - 完結済 1位ありがとうございます。




