初代プレステを縦置きにしてはいけない部屋
親友の美沙が一日だけマンションの部屋を留守にするというので、私が留守番をすることになった。
留守番とはいっても、じつはお願いしたのは私のほうだ。彼女の豪華なマンションの部屋にぜひとも住んでみたかったのだ。
「置いてあるものは動かさないでね。ゲーム機は好きに使っていい……けど」
「けど?」
「初代プレステだけは、縦置きにしないでね」
美沙は旅行用の大きな荷物は持たず、襖の奥の部屋に引っ込んでしまった。
ゲーム機。ゲーム&ウォッチとか、スーパーカセットビジョン、ゲームギアなどに紛れて、初代プレステが置いてある。
「A列車で行こう4」も有ったが、とりあえず「リッジレーサー」で遊ぶことにした。
数分後、レースの途中でCD-ROMを読み込まなくなった。蓋を開けて息を吹きかけてもダメだし、レンズクリーナーも効果が無かった。
仕方ない……。
禁断の技で、本棚にあった本で谷間を作り、初代プレステを縦置きすることにした。その刹那、隣の部屋から……。
「初代プレステを縦置きしたわね!」
私は、クロゼットの向こうに案内されることになった。簡素な作りの懺悔室で、なぜか横のバケツの水が満杯になっている。
神父の格好をした美沙が言う。-- 心ゆくまで、懺悔をなさい。
「神様。私は初代プレステを縦置きにしないという誓いを、どうしてもゲームで遊びたくて、それで」
神父(神様)の判断は、マルかバツか。バツなら大量の水が降ってくる(黒子が何人かでバケツを傾けようと準備中)
判定。
「……○よ! 私は本体裏返しまでやったけどね」
そして、飽きるまで美沙とリッジや、「闘神伝」で盛り上がったのだった。
作中のゲームソフトは1994年に合わせてあります。