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ドラえもん登場

 ガラの悪い男たちで埋め尽くされた会場。轟音ヘヴィメタルとともに、あちこちから野卑な声が上がる。酔っぱらっているのか、それとも薬物でもキメちゃっているのかはあたしにも分からない。


 まあ、そんなことはいい。あたしが集中すべきは対戦相手だ。


 選手の入場は二人同時に行われる。4回戦の試合と似たような感じだ。


 反対側からいかにもヤバそうな奴が歩いてくるのが見える。


「なに、あの青いハゲ……?」


 向こうから歩いて来る選手は全身に刺青を入れていて、墨を入れ過ぎたせいか頭全体が青くみえる容貌となっていた。


 ――ヤベー奴が来たな。


 ナチュラルにそう思った。おそらくぶーちんとか菜々さんもおんなじことを考えているんだろう。気持ち悪いから、さっさと倒してしまおう。


 リングに上がると、前歯が何本も欠けているチンピラ風レフリーが立っていた。なんか札束でも握らせればすぐに買収されそうな顔をしているけど大丈夫だろうか。


 リング下には一丁前に関係者席みたいなのがあって、そこからリングアナみたいなのが選手のコールを始める。リング上に出て来ないのはここが危険過ぎるせいだろうか。


「本日初登場の初女子選手、志崎~由奈~!」


 あちこちからブーイングが起こる。表の世界では英雄扱いでも、地下に潜るとアウェーになるのか。


 っていうかそもそも男女の試合が組まれている時点で狂気の沙汰でしかないのに、女子選手にブーイングを浴びせるとかカオス過ぎる。こんな魔窟が日本になるなんて思いもしなかった。


「対するは、今日もキメてる、ドラえも~ん」

「え」


 アナウンスとともに爆発する完成。リング上の青いスキンヘッドが「ぼくドラえも~ん!!!」と叫んでいる。いや待て。藤子不二雄に謝れ。お前どう見てもスキンヘッドの青いオッサンやんけ。


 なぜか大人気のドラえもんコールが起こる中、レフリーにリング中央へと呼び寄せられる。


「いいか、蹴りは出すなよ。つまらない試合をしたら殺すからな」

「……」


 それだけ言って、レフリーはあたしらを分けた。一体こいつはどういう視点で試合を裁いているんだろう?


 もう面倒くさくなってきたので、気にしないことにした。


 試合開始のゴングを待つ。観客たちのテンションは異常に高かった。きっとドラえもんに賭けている人が多いんだろう。


 コーナーでセコンドに何かを囁くドラえもん。セコンドが注射器を取り出す。


「ちょ……」


 セコンドが「何か」を注射するとドラえもんが恍惚とした顔で天井を眺める。すぐにその目はギンギンになってあたしを睨みつけた。


 ――ああ、それでドラえもんなのね……。


 しょうもないネーミングだけど、なぜか腑に落ちた。ドラえもんのドラはドラッグのドラだった。母親にはドラちゃんって呼ばれているんだろうか。どうでもいいけど。


 しかしあいつ、試合前に薬物をキメてから闘うっていうの。


 驚きと呆れしか出てこないけど、とりあえずここがとんでもなくヤバい場所だというのは分かった。


「ラウンド1」


 ゴングが鳴った。


 これから命懸けの闘いが始まる。

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