プロローグ 砂漠の真ん中から、
まだ構想が練りきれていない部分も多いですが、出来れば完結まで書きたいですね。良ければ応援よろしくお願いします。
今日も日中はとんでもなく暑い。ゴールド砂漠と呼ばれる広大な砂漠地帯は一面砂と岩だらけだ。
太古、かつてサファイアの国という宝石が多く採取出来る王国があったらしいが、もう殆どの人間が知らない。
ゴールド砂漠の大体真ん中辺りには、ポツリと魔女の住む一軒家があった。
室内は魔法で焚いた、ランタンの中に火が一つ照らしているが、さほど火力も高くないので薄暗い。ちらほらと魔導書や魔法実験で使った痕跡の試験管やビーカーが散乱し、薬品の怪しげな臭いが充満していた。
地下室からのそのそと一人の金銀の髪の毛をした魔女、歳は10代半ばぐらいのサンド・ライト(注:人物の名前を差す)がパックに詰めてあるサンドイッチを持って気怠そうにハシゴを伝って出てくる。よっこしょと重い腰を上げて窓際にある椅子に座ってパックを開く。
パンにトマトとキャベツ、簡単に酸っぱいドレッシングをかけ、そのまま挟んである。砂漠の中心部分ではあるが、地下を通じて工事してあるので、多少の電力なら供給されており、冷蔵庫や洗濯機などが稼働している状態だ。
それはそうと、かぶりと噛みつきキャベツの一部やトマトの汁がこぼれるのを気にせずただ貪る。
ふと窓辺のガラスから見える、揺れる砂の大地を見ては「あー、なんで私ここに住んでるんだろう」と小声で嘆く。
残り半分以下の部分をさっさと食べては、気分転換に散歩しようと突発的に身支度をする。しっかりと水分と食料と武器、魔法杖を持ってとても大きいツバの魔女帽子をかぶり自宅の玄関を開く。
本日は風が吹き荒れるほど勢いがあり、開けた瞬間にツバを手で持って飛ばないように抑えた。
と、同時に黒い鳥が庭に生えている背の低い枯れ木に止まる。嘴には封をされた手紙が入っていた。
「ああ、滅多にスマホつけないから、アイツ手紙まで。やれやれだわ」
この鳥も"アイツ"の飼っている鳥であり、砂漠を主に生息地とする種類のようだ。
サンドは手紙を受け取ると軽くお礼に頭を撫で、アイツの元に戻るよう手放す。見えなくなるまで見送ると、手紙が強風に飛んでしまっても悪いのでもう一度薄暗い家の中に戻り、立ったまま封を解く。
「招待状? ……へえ、闘技場ねえ。2人タッグで人の命を奪わなければ何でもありと。なるほど。久しぶりにマーレ王国に出向きますか」
そう言って箒を手に取り、もう一度風の吹き荒れる外へ躍り出る。宙に持っていた箒を浮遊させ腰掛け、そのまま空の彼方へと飛ぶ。