表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/25

ヒロイン リーリア・ジェイド

 私は仮婚約について考えて考えて───、結局考えることを放棄した。

 正直、考えても意味がない気もした。


 それに、今日はついに『ライラックの絆』のプロローグの日なのだ。


 (やっとリーリアちゃんに会えるのね!)


 朝起きた時からずっとワクワクしていた。今日ぐらい、他のことは忘れたいのだ。


 私は逸る気持ちを抑えながら、時が来るのを待った。


 ◇◇◇


「り、リーリア・ジェイドです。よろしくお願いします…!」


 (実際に目にするともっと可愛い!!ヴィオレットはちょっときつそうな美人だから、あんな感じに憧れるわ…)


 サラサラのビスケット色の髪は(つや)やかで、不安に僅かに揺れる翡翠の瞳は輝きを失わない。桜色の小さな唇は微かに開いたまま。

 ザ・ヒロインといった出立ちで、庇護欲を掻き立てられる、私とは正反対のタイプだった。


 (あんなに可愛いんだもの、皆が夢中になるのも無理はないわ……殿下だって)


 ずっと会いたかったリーリアちゃんを目の当たりにして嬉しいはずなのに、何処か寂しさを感じている私がいた。


 そのことを不思議に感じながらも、まずはリーリアちゃんと話してみないと…と思い、いつの間にか始まっていた授業にとりあえず集中することにした。


 ◇◇◇


「えっと…、リーリア・ジェイドさん?」

「は、はい…!あの、何かご用でしょうか…!?」


 さすがに初対面でちゃん付けで呼ぶ訳には…と思い、さん付けにしたのだが…、どうやら怖がられてしまったかもしれない。

 普通にしていても少し吊り上がった目のせいか、怯えられている。


 そもそも転入初日で不安なところに、こんな風に声を掛けられたら、目をつけられたと考えられてもおかしくない。


 (ちょっと失敗したかしら…?)


 心配になりながらも、少しでも印象を良くしようと、できる限り優しく微笑んでみる。


「私、ヴィオレット・イキシアといいます。よろしくお願いしますね?」

「はいっ…!こ、こちらこそよろしくお願いします…!」


 ……やっぱり怖がられている。


 それでも、優しく(当社比)微笑み続けると、リーリアちゃんもぎこちなく笑い返してくれた。


 (ぎこちなくても、こんなに可愛いなんて…。さすがヒロインといったとこかしら。恐るべし…)


 そう感じながらも、やはり心からの笑顔を見たいと思ってしまう私だった。

感想、評価を頂ければ幸いです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ