仲良くなりたい!
寮の自室に戻ってきた私は、これからのことについて考えることにした。
今日は私や殿下が二年生に進級した日だった。ゲームのプロローグで、ヒロインが学院に転入してくるのは確か、この一週間後のはずだ。
安全のために関わらないのが一番だが、彼女は私たちと同じクラスになるのだ。完全に関わらないというのはほぼ不可能だ。
「まあ、必要以上に近づかない方が良いのだろうけど…」
わかってはいる。
しかし、私が今生きているこの世界、『ライラックの絆』は私がプレイしていた乙女ゲームの中でも特に気に入っていたのだ。
自分の分身であったヒロインもとても好きだった。
───できることなら、仲良くなりたい。
そんな欲求に逆らえそうにない自分がいる。
(…嫌がらせをするわけではないし、断罪されたりしないわよね?)
せっかく転生したのだ。私だって人生を楽しむ権利はあると思う。
大好きな世界を満喫したいのだ。
「仲良くなったら、恋バナとかもできるかもしれないわ!」
前世では現実の恋愛に興味がなく、恋バナをしたことがなかった。
友人とそういう話をするのに密かに憧れていたのだ。
「…フフッ、一週間後が楽しみね!」
私はこれからやって来るゲームの始まりに思いを馳せた。
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