表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/25

記憶

 いきなり“断罪”、“婚約破棄”と言い出した原因は、ほんの数時間前にあった。


「きゃあああ!!」


 ガタン、と音がして、身体に衝撃が走った。それと同時に、令嬢たちから悲鳴が上がる。

 それが全て、何処か遠くに感じて。


 (…ああ。私、倒れているのね)


 そう思いながらも、頭が痛くてどうすることもできなかった。


「───!!」


 そして、先ほどまでの比ではないくらいの痛みが私を襲う。


 そのまま私は、意識を手放した。


 ◇◆◇


『ねぇねぇ、レナ!アレス皇子が攻略できないんだけど!?ヴィオレットの妨害がすごくて…』

『確かにあれは大変だったな…』

『…もしかしてレナ、もうクリアした?』

『もちろん!徹夜して頑張ったんだ』

『さすがレナ!私はまだまだだな〜』


 (あれは…、誰…?)


 部屋───講堂に似ているが、少し違った場所で、二人の少女が向かい合って話をしていた。

 周りには彼女たちと同じ年頃の少年少女もいたのに、二人の声しか聞こえなかった。しかも、先ほどレナ、と呼ばれた少女の顔以外、はっきりとしない。


 (どうしてかしら。懐かしい気がするわ…)


 知らないはず、だった。なのに何故か、ほっとするのと同時に、涙が溢れそうになっている自分がいた。


 ふと、彼女たちに触れようと手を伸ばす。しかし、その手は何にも触れず、空を切るばかりだった。


「え…?」


 私の手が触れる瞬間、見えていた景色は跡形もなく消え、別の情景が目に映った。


 そこでは、先ほどのレナという少女が歩いていた。


 彼女の目の前の灰色の道路には、馬のいない馬車のようなものが走っていて。それが一人の幼い少年に迫っている。


 それを目にした彼女は走り出して───


 ◇◆◇


 (あの子は…、“レナ”は…)


 ───彼女は、私だ。


感想、評価を頂ければ幸いです。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ