1話
どうも、私は田島晃太郎高校1年生です。今回は皆様にお伝えしたいことがあります!
皆様は現代社会に何食わぬ顔で過ごしている、吸血鬼や宇宙人、天使のことをご存知していますか?
知らない?
そうですよね、当たり前です。何故なら彼女たちは姿形は人間そっくりだから。
吸血鬼や宇宙人、天使を見てみたい?
いいでしょう。今からお見せするのは、私に思いを寄せているある吸血鬼と宇宙人、天使達です!
早朝、俺は死んだ両親の仏壇の前で手を合わせている。これが毎朝のルーティンだ。
「母さん、父さん、ようやく俺も高校生だよ」
そう報告してからその場から離れる。
リビングに移動すると、何やら美味しそうな匂いがしてきた。妹が朝食を作っているのだろう。
「あ、お兄ちゃん!グッドタイミング、ちょうど今できたよ」
料理を運んでいたら俺に気づいたらしく、そう元気よく言ってくれた。妹の六花は吸血鬼だ、モノホンの。吸血鬼と言っても、ニンニクが嫌い!とか、十字架に弱いとかは特にない。
「毎朝悪いな、日光苦手なのに」
「別にこのぐらいなら平気だよ。真夏の激アツ直射日光とかは気分悪くなるけど。てか、お姉ちゃんは?」
「多分、まだ寝てる。大学生っていいよな」
そうボヤきながら、俺は椅子に座り、朝食を食べるのだった。
朝の身支度を終え、ソファーでテレビを見ていたら、俺の膝の上に対面する形で六花が座ってきた。
「お兄ちゃん、私・・・もう限界・・」
先程の元気な声とは違い、今回は少し色っぽい声をかけてくる。
「あ、悪い。すっかり忘れてたよ」
少し、首を傾げると鋭い痛みが走る。
血液を吸われるのには慣れているので特に苦ではないが、毎回色っぽい声で言ってくるのが難点だ。
「ぷぁ」
六花が飲み終わると、俺の膝の上からどく。
「あれ?ストックってそろそろ切れるか?」
ストックとは外に出る時には必ず六花が持ち歩いてる血のことだ。六花は外じゃ普通の中学生、学校に行ってる間に飲みたくなることもあるから常に俺の血を持ち歩いてる。
「でも、お兄ちゃん貧血になっちゃわない?」
心配そうな目でこちらを見てくる。人の心配ができるなんて、よくできた妹だな。
「別に平気だ。六花が毎回少量の血しか吸わないから問題はない」
俺が死ぬ寸前まで六花が血を吸えば、1ヶ月は余裕で血を吸わずに生きれるだろう。でも、六花はそれをせずに朝昼晩の3回に分けて、少量の血しか吸わない。
吸血鬼は人よりも何倍も身体能力が高いので、無理やり吸おうとすれば簡単に吸えるのに、それをしないのは六花の自制心がちゃんとしているからだろう。
「それじゃ、帰ってきたらやっとくわ。今日は入学式だけで午前で帰って来れるし」
「いいなぁー、私は生徒会だから入学式に出なきゃ行けないし、なんか喋んなきゃいけないよ。帰ってくるのは3時ぐらいかな?」
六花は学校で優秀なので、何故か教師たちからの推薦で生徒会長になった。教師の推薦で生徒会長って、それでいいのか?俺の母校。
「ピーンポーン」
俺がそんなどうでもいいことを考えていたら、インターフォンがなった。
「んじゃ、行ってくるわ」
「ちょっと待って!」
カバンを持ち、玄関に向かおうとした時、六花に呼び止められた。
「なんd」
振り返ると同時に六花の唇が俺の頬に当たる。
「何すんだよ」
「行ってきますのちゅーだよ!ちゅー」
呆れた顔をしながら、「俺らはもういい歳した学生だ。なんでそんなにも恥ずかしさもなく頬とはいえ、キスができるのか・・・」
「それはね、私の将来の夢がずっと変わらずお兄ちゃんのお嫁さんだからだよ!それじゃ、行ってらっしゃい、気をつけてね」
そんな言葉を背に受けながら、俺は玄関に向かうのだった。