第一章 人生がうまくいかないときは大体腹減ってるとき
初小説です
無理しない程度に頑張ります
異世界転生。
そりゃ誰しもが一度は憧れ、空想にふけり、朝起きたら突然異世界に転生してないかとか考えるだろう?
俺、氷室 涼も例に漏れずそんなことを考えるひとりの高校生だったんだ。
そう…だった。
俺だって異世界転生したらちょー強いチート能力とかもってて、イケメンで、魔王とか倒して可愛い女の子たちとあんなことやこんなことできるんだろうなーとか思ってたんだ。
でもね、冷静に考えてみてくれ。
世の中そんなに甘くはない。
まあ例えば転生したのが現代でいう中世くらいの王国だったとしよう。ゲームとかでよく出てくる感じのやつな。
で、その中で身分ごとの割合がどうなってるかって言ったらさ
そのうち王族が0.3パーセント貴族が5パーセント
と、まあこんなもんだろう。
さて、ここからが問題だ。
残りの95パーセントはただの平民。そりゃ貧富の差はあるし大金持ちだっていりゃ、乞食だっている。
でもね、大切なのはその割合なんだ。
このくらいの時代だと、貧富の差ってのがとってもわかりやすくて、上位20パーセントが問題なく生活できるんだとしたら下位80パーセントは食うに困る。つまり税金を納めて毎日食ってくのに必死ってことだ。
さて、ここまでの話を理解できたら、僕の身の上話と照らし合わせてみてくれ。
ある日、夏休みの最終日10日連続でネトゲをしていた俺は、寝落ちして、気がついたら知らない部屋に居たんだ。
寝不足で朦朧とする脳みそで、俺は「こんなボーナスステージあったっけ?」とか考えた。すると、突然目の前にどー考えてもサイズ感がおかしいバレエ用のドレスを着た化粧の濃いガチムチおじさんが現れて脳内に直接語りかけてくるような声が聞こえたんだ。
…なぜかイケボで
「おぉんッ!迷える子羊がまたひとり!私の愛の部屋にさ迷い込んできてしまったみたいっねッ!」
考えてみてくれ。この時の俺の気持ちわかるやついるか?
俺は寝起きに油たっぷりコッテリとんこつラーメンを胃の中に無理やりねじ込まれたような気分になって吐きそうになった。
…あ、最後に飯食ったの10日前だったから吐いてはないけどね。
でもまあ今の状況を整理するために、俺はその人に話しかけたんだ。
覚めた頭で考えたらどう考えてもゲームじゃなかったから。
夢なら早く覚まそうと思って。吐きそうだし。
「あのーすいません。ここはどこで、あなたは誰ですか?」
するとガチムチおっさんはなぜかポージングをしながら答えたんだ。
「ここは…ッフ!…死後の世界…ッハ!…あたしは今日より転生課に所属になった…ッセイ!…潤 サイなのよ!…サイ…サイ?…」
「はあ」
サイドチェストォォォォォオ!と叫ぶ潤 サイを無視しながら、俺は考えた。俺は物分かりはいい方だ。学校の勉強は苦手だが、知恵は回る方だ。と自負している。
だからというわけではないけれど、わりとすぐ自分が死んだことを理解したし、さらに、死んだことに関しては、別にどうでも良かった。
別に学校でいじめられてるわけでもなく、容姿も中の上くらいだった俺だったけど、特にこれといった才能もなく、このまま人並みの人生を歩んでいくんだろうなぁと思っていて、そんな自分の未来に未練はなかった。
そんなことよりも…
まさか…ラノベやアニメのような異世界転生が俺の身にも⁈これは来たんじゃないか?!という方が勝ってしまい
恐る恐る聞いてみた。
「あのぅ、僕はこれからどうなるんでしょうか?」
するとサイはこの世の終わりのような気持ち悪さのウィンクをしながら、
「そうねぇ、アハッ、あなたにはこれから生まれる家、国を決めてもらいましょう。ッン、それから転生することになるわねェッ」
なぜか頬を赤らめながら迫り来るサイを見ながら、俺は一刻も早くこの人物から離れることに重点を置いて、話を続けた。
「その家とやらはどうやって決めるんですか?」
「そうねぇ先代はみんな貴族か王族として転生させてたみたいだけど…わたしそういう依怙贔屓嫌いなのよねぇ?」
なにやら話が良くない方向に向かっているような気がしながらも、俺は先を促した。
「で、その方法なんだけどぉ、くじ引きとかどうかしら?公平でいいわよねぇ?」
そう言って彼が取り出したのはいかにも安っぽそーな箱に入ったくじだった。こんなんで俺の人生決まるのかなぁとか思いつつも促されるままにくじを引いた。
さて、ここで思い出して欲しいのはさっきの確率の話だ。貴族とまではいかないでもせめてなに不自由なく暮らしたい…そんな思いでくじを引いたわけだが、よく考えたら5回引いて4回はハズレくじな訳だ。
くじ引きとしてはなかなかいい確率だけど、自分の人生を掛けるとなるとそうもいかない。
この時俺は、もっと慎重になるべきだったんだ。
他の決め方はないかサイに聞くべきだった。
でも引いてしまった。
平民
ボンビ村
レストランオーナーの息子
「あら、大変そうねぇ」
サイが覗き込みながら言った
「え、レストランオーナーってそんなに悪いのか?」
ちょっと不安になりながら俺が聞く。
「いいえ、レストランオーナー自体は悪い職じゃないわ。最悪な場合によっては乞食だったりするし」
「じゃあなにが…」
と言いかけて俺の体が青い光に包まれた。
「あら、時間切れね、残念だけどお話はここまでだわぁ」
「ちょっと待て!なにがやばいのか教え…!」
そう言い終える前に俺の目の前は真っ暗になった。
後に部屋に残ったサイが床に落ちた紙切れを拾う。
「ボンビ村…確か貧乏な上にすっごく変人が多いって聞いたけど…あの子大丈夫かしらぁ…」
それをみたら神でも嘔吐するような変態的な表情を浮かべながら、サイは不安げに言った。
しかし紙の裏を見てみると、
「…あら?これは…スキル?へぇ…生まれながらににスキル持ちねぇ…」
これは面白そうなことになりそうねぇ…と言って、サイはその場から姿を消した。
スキル
自産自消
書いてわかるプロの凄さ
スマホで書くのやばい