パーティメンバー探しは難航しているようですよ?
あれから何度かギルドに足を運び、1週間が過ぎたが、依然進展がなく、パーティメンバー探しは難航していた。
シエラさん曰く、シンさんの実力をみな知っているため遠慮しているらしいが……まぁ、十中八九嘘だろう。
誰も追放されたSランクと組みたい奴なんていないだろう。
自分より強い危険な奴に近寄るもの好きはいない。自分の身が危ないからな。俺だってそう思う。
このままでは体がなまってしまうため、Cランク当たりの討伐クエストを受けようとクエストボードに向かう。
Cランク程度ならソロでも討伐できるが、やはり時間がかかる。
そもそもCランクくらいになるとパーティで受けることが前提のような討伐クエストばかりなのだ。
俺の攻撃は並みのCランク冒険者のアタッカーと大して変わらないはずだが、攻撃を受けながらなので攻撃回数も減り、魔法の支援もないため、パーティで受ければすぐに倒せる敵でも俺一人だとやはり相当な時間を食うだろう。
そうしてクエストボードの前でしばらく悩んでいると、すぐ近くにいた少女たちから話しかけられた。
「あの…シン様ですよね?」
「ん?あぁ、そうだが…というか敬称はやめてくれ。背中がむずがゆくなる」
「いえ…そういうわけには…と、とりあえず自己紹介させていただきますね!私の名前はリン、こっちにいる猫耳の子はエチカ、その後ろにいるのはエリンといいます」
どうやらその少女たちはパーティらしい。
リンはブラウンの髪が肩のあたりまで伸び、どこか快活な雰囲気を感じる。
エチカは赤色の髪の中にひょこっと生えた猫耳がありどことなくなでたくなる容貌だ。
エリンは深くフードをかぶっているため顔が見えない。
「えーと…まさかとは思うけどパーティを組んでくれるのか?」
俺はこのタイミングで話しかけてくるならそうなのかと聞いてみたが彼女たちは首を横に振った。
「そんなことできませんよ。実力差がありすぎて申し訳ないです」
「俺は構わないんだが……」
俺はそうつぶやくと、「私たちがかまうんですよ!」と強めに返され、断られてしまった。
ちなみに彼女らのランクはDランクらしい。
ランクについて説明すると、一番下がFランクで最高ランクはSランク。
Dランクともなればそれなりに一人前として扱われる。
クエストは自分のランクの一つ上まで受けられるため、DランクならとりあえずCランクを受けるのに丁度よかったのだが……
その日は、なぜか同じようなことが7度くらい繰り返され、クエストを受けるような時間ではなくなってしまった。
やはり、追放された冒険者は新たにパーティを探すのは難しいようだ。