どうやら追放されたみたいですよ?
「突然だが、シン。パーティから抜けてくれ」
パーティーリーダーのギリーから告げられた言葉の意味を俺はしばらくの間わからないでいた。
「どうしてだ、ギリー。俺はしっかりパーティでの役目を果たしていると思っていたが……」
「どうしてもなにもねぇよ。単にお前の実力不足だ。これまでお前がまともに魔物にダメージを与えたことがあったか?いくらタンクだとしても攻撃を受け止めるだけじゃ足手まといなんだよ」
「しかし、それがタンクの役目だろ」
「お前、他のタンクを見たことがないのか?他のやつらは、受けるだけじゃなく回避しながら攻撃してんだよ。それにもうパーティには新しいタンク役を呼んであるからどっか他のパーティに入れてもらってくれや」
最近では、俺みたいな防御特化型の大盾使いが少ないことは知っていた。
それが回避や受け流しに特化した小型な盾を使い、魔物の攻撃をしのぎ、またそれなりの攻撃で反撃することで魔物の注意を引き付けていることも。
その言葉を聞き、自分の居場所は既にないことがわかり、俺は仕方なくパーティを去ることにした。
「わかったよ、アリアとウィズには、もう言ってあるのか?」
アリアとウィズ、それにギリーも付き合い自体は長い、約1年ぐらいパーティを組んでいた。
俺が魔物の攻撃を抑え、ギリーが剣で前線を維持し、その間に詠唱した高火力な魔法をウィズが撃ち、負傷したらヒーラーのアリアが回復する、といったパーティとしては非常にバランスがよく基本的な構成だった。それがうまくかみ合っていたのか、俺たちのパーティはぐんぐん名をあげ、いつの間にかSランクのまで上り詰めていた。
そんな中での追放だったため、ショックはデカかったがせめて仲間に別れの挨拶くらいしたいと思ったのだ。
「アリアとウィズにはもう伝えてある。別れの挨拶はいらねぇよ」
「そうか……わかった。それじゃあな、ギリー。新しい仲間と仲良くな」
俺は、この街にいたのでは正直、元パーティメンバーに鉢合わせたら気まずいなと思い、とりあえず別の街に移るために明日の朝に出る馬車に乗るために荷物をまとめることにした。
去り際に見たギリーは、どこかにやりとした笑みを浮かべていた。
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まさかこんなにあっさりとパーティを去ってくれるとは……
ギリーはにやけが止まらず、つい漏れる笑みを隠せないでいた。
これでアリアもウィズもやっと俺のほうを見るだろう。
そうギリーがシンを追放した理由は実力不足なんかじゃなく単なる嫉妬からであった。
アリアは非常に整った顔立ちをしており、金色の髪が背中あたりまで伸びていて、その上スタイルもよく、また性格も温和で一部ではその回復魔法の腕もあってか、聖女と呼ばれていた。
またウィズもこれまた整った顔立ちをしており、水色の髪を三つ編み状に二つにまとめ、アリアと違いスタイルがよいとは言えないが、小柄で華奢な体つきで、一見すると子供のようだが、本人はそのことを気にしている姿が一部の層から受け、これまた冒険者の中で人気があった。
そんな二人が常に気にかけていたのがシンであり、それをいつも見せつけられていたギリーはついに我慢の限界に達し、新しいタンクになってくれる人をひそかに探し、シンを適当な理由で排除することに決めたのであった。
また、アリアとウィズの根回しはまだしていないが、シンさえいなければ言い訳を挟ませず、言いくるめられると思っている。
シンも仲間全員が追放を知っており、納得していると言外に伝えたので、明日にでもこの街を去るはずだ。
ギリーはこれからの生活を妄想し、にやけが止まらないのであった……




