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三日目の昼

リアルの方がまだ落ち着きそうにないので、余裕がある時に少しずつ更新していきます。

不定期更新になってしまいます。

読んでいただいている方、すみません。

よろしくお願い致します。






目が覚めたら丁度お昼時。11時半だった。


ちょっと寝過ぎたかもしれないけど、あの三人にとっては、ちょっと短い睡眠時間のはずだ。

・・・でも、これ以上寝たら、夕方になってしまいそうだから、起きることにする。



少しだけゆっくり服を着替えて、相変わらず化粧はせずに、化粧室からリビングに出た。


彼らは私が起きたら部屋を訪ねるように言っていたけど、流石に起きてすぐに彼らをたたき起こすようなことはしづらいので、少しリビングで時間を潰して、彼らが起きてくるのを待とうと思うのだ。




リビングには、予想通り誰もいなかった。



先にご飯を作るのは、彼らとの約束に反するので止めておく。


しかし、この一人の時間をぼーっと暇して過ごす気はない。


なぜなら、何気にこの世界に来てリビングに一人でいるという状況は初めて。

リビングの探検をするには、ぴったりの状況ではないか・・・!


この家に住んでいて、この家のことを一番分かっていないのは私だ。

膝掛けの場所とか、エプロンの場所とか、きっと他にも、私が知らないけど彼らは知っていること、いっぱいあるはずだ。


その知識の差を実感すると、同じ家に住み始めたのは同じタイミングだったのに・・・と、少し劣等感を持ってしまう。


というわけで、その差を縮めるには、今ここで探検するにこしたことは無いだろう。



「よし、タイムリミットは、誰かが起きだすまで!」


そうして、向井さんが起きだしてくる12時まで、私はリビングを探検して回るのだった。








「えり、起きていたのですか・・・!」


向井さんは、慌ててキッチンへ向かった。


「すみません。お腹がすきましたよね!すぐにご飯を作りますので・・・!」


慌てて向井さんが冷蔵庫を開けて、中の食材を確認しながらぶつぶつと何かを呟いている。

そんなに慌てなくても良いのに・・・。

確かにお腹はすいたけど、我慢なんてしてないし、むしろ探検に夢中になっていたから、それほど気にしなくて良いのになぁ・・・。

謝られても困る。


「私もさっき起きたばかりですし、あんまりお腹もすいていないので、気にしないでください。」


向井さんの慌てる様をなんとかしようと、彼の横に行って声をかけた。

すると、ぴたりと身体は止まった。

良かった。焦った彼を止められて。

寝起きに慌てさせたら、さすがに申し訳ないからな・・・。


と思っていたら、向井さんは少し悩むように眉をしかめた。


「お腹がすいていない・・・となると、あまり腹にたまらない軽い昼食の方が・・・。」


って、そっちかい!!


そこに気を取られなくても良いからね!


「ま、まぁそれは作っていたら空いてくると思うので、献立は普通の昼食で良いと思いますよ。」


「そうですか・・・?分かりました。それではえりは・・・」


そこまで言って、彼は私の視線に気付いた。


「・・・、一緒に作りますか?」


うん。向井さんは、私がご飯を作るのを一番反対してたから、ソファでくつろいでいてと言われるかと思ってたけど、私の視線の意味を察してくれたようだ。

少しぎこちないお誘いは、私にとって、私の意見を尊重してくれたということになるから、とても嬉しい言葉だった。


「はい。二人が起きてきたらすぐに食べられるように、一緒に作りましょうか!」


嬉しくて、ちょっとだけはしゃいで返事をしてしまったけど、向井さんはサッと顔を逸らして見ないふりをしてくれた。

気遣いが出来る人だ。

ちょっとはしゃいだことが恥ずかしい。


「ね、寝起きなので、お腹に優しく・・・和食にしましょうか。どうでしょう、えり?」


ちらりとこちらを伺いながら、尋ねてくる。

冷蔵庫の中身はたくさんの食材があるし、どれも新鮮なので、食べたいものを作れる。

和食かぁ。それなら・・・。


「良いですね。お米と、卵と、みそ汁と・・・野菜炒めはどうでしょうか。」


「そうしましょうか。あと・・・ウインナーがあると、武田あたりは嬉しいかもしれませんね。」


え、武田さん、ウインナー好きなの?

私の表情を読んだのか、向井さんは慌てて訂正した。


「ああ、いえ・・・。なんとなく、武田はお肉が好きそうなので・・・。」


・・・確かに、武田さんっていかにも男の子が好きな食べ物が好きそうだもんね。

イケメンで、お姉様方に好かれそうな見た目だけど、その見た目が与える印象を裏切らない、明るい性格で、人なつっこい感じだし。私含めた全員の中で、一番年下ってのもあるんだろうけど・・・。

うん。確かに、お肉が好きそうだ。

気持ちは分かる。


「それじゃあ、ウインナーは必ず焼かないといけませんね。」


これで武田さんの好物がウインナーだったら、それはそれで彼のことを知れるわけだし。





向井さんと、必要な食材を冷蔵庫から出して、役割分担をしながら料理をした。


役割分担という言い方をすれば聞こえは良いが、向井さんと私で役割を決めると、やはりと言うか・・・怪我をする確率が高いものから向井さんが買って出て、私は野菜の皮むきとか混ぜたりする役目でした。


分かってましたよ、ハイ。

料理に関して、もう少し信頼を得られるように頑張りたいと思いマス・・・。






それから少しして、ご飯が炊き終わって、みそ汁と野菜炒めができて、玉子焼とウインナーは焼くだけのところまで出来たら、石川さんが起きてきた。


「悪い、起きるのが遅かったな・・・。」


石川さんは、私と向井さんの姿を見てから驚き、ご飯を作っているのを察したのか、あくびを噛み殺して、テーブルを拭こうと布巾を濡らした。


「あ、座っててください。石川さん、起きたばかりでしょう?」


起きて早々に何か手伝おうとしてくれるのは、有り難いけど申し訳ない。

私が何か作業をしていると、彼らはそわそわと見守るか、自らも何かしら作業をしていることが多いので、きっと座っているだけなのが居心地悪いんだろう。これも、この二日間で分かったことだ。


でも、寝起きの人を動かさないといけないほど、人手が足りないわけではない。


むしろ足りてます。



「あとは武田さんが起きてきたら、サッと卵とウインナーを焼いて、おかずとみそ汁を温めるだけですから。」


「そうなのか?」


石川さんは私の言葉を信用していないらしい。本当にそうなのか確認しようと、私ではなく向井さんの方に視線を向けた。


「はい。それまで、目覚まし代わりに飲み物でも飲みましょうか。」


「そうか・・・。ありがとう、えり。」


別にいちいちお礼を言われるようなことをしてないしな・・・。

って、それより、なんで私だけお礼を言われたんだ?


「向井さんと一緒に作ったんです。むしろ、私は野菜洗ったり、鍋を混ぜたりしかしていません。」


一応、私が一人で作ったんじゃないんだぞーアピールをしておく。

というか私、家事をしたり男の人の世話をしてお礼を言われることなんてほとんどなかったのに、今はお礼を言われない向井さんのフォローをしようとしている・・・。

状況がかなり変わったなぁ・・・。


しみじみと今の状況に感じ入っていたが、向井さんは「当たり前のことですので。」と返すし、石川さんも「そうか。」だけでした。


ちょっとカチンときた・・・。



家事をするのが当たり前とか言われると・・・ちょっと前まで私が“当たり前だから”って、家事したり男の人を立てたりしていたことを思い出しちゃうわ。

その、“当たり前”って言葉、自分の行動に対して、心の中で思っている程度だったら良いと思うんだけど、他人の行動に対して“当たり前のことをしている”、って認識を持ってしまうと、それは後々揉める元だと思うんだよね。

私は小さいころからずっと言われてきた分、その言葉が好きじゃないから、例え自分が言われていなくてももやもやしてしまう。


これは主張するとわがままになってしまうんだろうか・・・。



どう伝えようか、と考えていると、再びドアが開く音が聞こえ、武田さんがリビングにやってきた。






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